このエッセイは、河北新報(朝刊・東北六県版)の「楽遊食人」コーナーに掲載されたものです。
2004年1月にスタートし、2005年3月に連載終了となりました。
食にまつわるエッセイをpatty?メンバーが書き、イラストはasamiちゃんが描いています。
「楽遊食人」の連載をここにバックナンバーとして、まとめることにしました。
お時間があるときにでも、ちょこちょこ、読んでいただけると嬉しいです。

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  〜〜contents〜〜
「パティ・カフェ」 peppermint patty?
「オムライス!」 nozomi kimura
「父が教えてくれた味」 miki takahashi
「北海道に片思い」 akiko goto

「新食感!」 reiko mishima


「パティ・カフェ」

  フリーペーパー「peppermint patty?」を作っている、わたしたち女のコ五人は、編集会議と称してカフェに集合。ほっこりできる飲み物、幸せ気分のスイーツ、手触りのいい食器、ツボにはまる音楽がさりげなく流れるカフェがお気に入り!ある時、「パティがカフェを開いたら、どんなハッピーな時間が過ごせるのかな?!」って盛り上がった。
 そんな夢と、仙台を離れ、夢に向かうために東京へ旅立つことになったメンバー、アサミちゃんちゃんの壮行会を兼ね、一日だけの「patty?cafe」を開いたのはちょうど二年前。春の日差しがポカポカ暖かい日のことだった。
 カフェのスタッフはもちろん、わたしたち。テーマは当時、メンバーの間でブームだった“小鳥”に決定。小鳥のモチーフで、Tシャツやエプロン、三角きんをおそろいで、せっせと手作りした。メニューブックは、ほんわかタッチの手描き。空気がゆるりとなごむBGMも選曲して、お花やポスターを飾り、コースターやカードをちょこんと置いてみると…、わぁ、カフェのムードが漂って興奮状態!!
 「ピンポーン」。ゲストのフリーペーパー仲間が来店、いよいよオープン!ランチは「ヒヨコ豆のカレー」。ワンプレートに、ニンジンのくちばしに黒ゴマのお目目を付けたゆで卵の小鳥も飾って、お子さまランチの気分。ゲストが持ち寄ったオススメビデオ&本の話題でおしゃべりはヒートアップ、気分は最高潮。小鳥マークの旗が立ってる「黒ゴマとミルクプリンの二色盛」のおやつもペロッと平らげちゃった。
 あっという間に、お外は真っ暗!名残惜しくもゲストに「小鳥クッキー」のお土産を渡して、カフェはおしまいです。
 この様子をまとめて「peppermint patty? Vol.4」を発行。読者から「まるで本当のカフェみたい」って感想をもらって、夢をかなえたわたしたちは、超満足!

(peppermint patty? ) 2004年3月23日河北新報より



「オムライス!」

  おなかがグゥとなったら食事をするお店探しのスタート。どこのお店にしようかあれこれ迷っていると、ふと目に入ったメニューの中に私が夢見ていたようオムライスを見つけました。それは、卵がとろ〜りふわ〜りとしていて、甘〜い茶色のデミグラスソースがたっぷりかけられていて…。瞬間的に「ずっと憧れていたあのオムライスに出会えるかもしれない!」と思い、迷うことなく店内へ入りました。
 昔ながらの洋食屋さんという言葉がぴったり似合うそのお店は、中にあるテーブルもいすも、長年使い込んでたくさんの人の「おいしい」が詰まったようなあめ色になっていて、私は店内へ入っただけなのにその雰囲気だけでおいしい食事をした気分になっていました。席に着くと、その店ではベテランの域に入っているようなウェイターさんがお水とメニューを持ってきてくれました。一通りメニューを眺め、迷わずオムライスを注文。見回すと、あめ色のテーブルにかけられたテーブルクロスがかわいらしい赤のギンガムチェックだったり、上からつり下げられているライトがすてきだったり。店内の小さな一つ一つを見つめて出来上がりを待ちました。
 すると、大きな黄色い山をウェイターさんが、運んでくるのが目に入りました。それは私の目の前に置かれ、ほかほか湯気を立てながら早く食べてと言っているようだったので、私はそっとスプーンで黄色の山をすくい、ふんわりとろとろの卵を、上にかけられたデミグラスソースと一緒に口に入れました。
 そこから先ははっきりと覚えているような、いないような。気が付いたらおなかはオムライスで満たされていました。その後に冷たい水をぐっと飲み干して、昔ながらの雰囲気を持ったその洋食屋さんを後にしました。

(peppermint patty? nozomi kimura ) 2004年5月18日河北新報より


「父が教えてくれた味」 

 週末のお出掛けは父がナビゲーター。カボチャの馬車ならぬ、タクシーに乗った家族四人は仙台の繁華街へ。円卓から取り分ける中華料理店や物腰柔らかい接客のイタリアン食堂は、まるで舞踏会に招かれたような世界で、私を“シンデレラ”気分にしてくれた。喫茶室併設のケーキ店や閑寂な甘味処のたたずまいには、チビッコ心に、こんな場所が似合う大人に早くなりたいなぁと、あこがれを抱いた。そしてデパートの地下で、あれこれお菓子を買って持ち帰ることのうれしさ…。
 おでかけは、ウキウキしたり、ウットリしたり、楽しい気持ちが胸いっぱいによみがえる小さなころの大切な思い出だ。
 ある日、なじみのお店でのこと。父は不意に「大きくなったら、お父さんが教えたお店に恋人を連れてくるといいよ」なんて言い出した。まだチビの私は、目の前のラーメン一杯を残さずに食べたことで、一人前の大人になった気分に浸り、満足しているのに。デートだなんて、はるか将来のこと。自分がカップルになっている姿を想像しても、しっくりこないし、照れるし、恥ずかしかった。父のおかしな発言は、印象的で大人になった今でも忘れられずにいる。
 今になって当時の父の発言のことを考えてみた。チビの将来に伝えたいことが、ふと父の口をついて出たのだろうか?娘が幸せになるよう、一歩離れたところで見守り、ひっそりと願うような男親の愛情って、なんだか切ない。
 父から教わった味は、今でも育った町で愛され続け、私の外食を楽しむ基準になっている。父から教わった味を友達に薦め、コミュニケーションを取ることもある。私の慣れ親しんだ味には、父の格別な思いが通っていたかと思うと、
一層おいしく感じられ、晴れやかな気持ちにもさせてくれる。

(peppermint patty? miki takahashi) 2004年5月4日河北新報より


 
「北海道に片思い」 


 旅行に行くとしたら?の問いには「北海道!」と答えます。祖父が北海道旭川市在住ということもあり、よく家族で遊びに行きました。苫小牧までのフェリー移動もなんのその、家族が船酔いで倒れる中、一人食堂で食事をしたことも。
 毎年、祖母が四季折々の野菜を送ってくれました。「ジャガイモもニンジンもこっちで買えるのにな」と子どもながらに思ったものです。けれど細かくて黒い土の付いた野菜はかみしめるほど濃い味がし、祖母が毎年私たちにおいしいものを送ってくれる心遣いが分かるようになりました。どこかハイカラな雰囲気を醸し出すパッケージのお菓子が同封されていることもあり、特別な味としてとても楽しみにしていました。こうやって幼い私に、味の記憶が少しずつ刷り込まれていきました。
 修学旅行も行き先を選択できたので、迷わずに北海道に。「大仏見物(京都・奈良方面)よりも、おいしい食べ物との出合い」を最優先し、それは楽しい修学旅行になりました。自主見学の内容よりも、ご飯の相談が先。昼食を迷いに迷った小樽では食事中に集合時間となり、先生たちを待たせてしまったことも。コレは反省すべき出来事でした。
 去年は友人と三人で雪まつり期間中に札幌へ。十年ぶりの札幌は見るものすべてが新鮮。居酒屋で食べる「じゃがバター」がこんなにおいしいなんて!新しい味の記憶が私に刷り込まれる旅行となりました。
 積み重ねられた味の記憶を確かめたく、カレンダーに長い休みを見つけると、北海道に行こうかな…との思いが頭をもたげてしまいます。まだまだ味わい尽くせない北海道。心置きなく食べ歩きたい!札幌や旭川以外で、私の知らない味を巡りたい!な〜んて、まだまだ今のところは空想旅行の域を出ていませんが…。

(peppermint patty? akiko goto) 2004年4月20日河北新報より


「新食感!」 

 
 出勤前のささやかな楽しみは、コンビニに立ち寄ること。毎日の新製品チェックは欠かせません。「新食感!」と書かれたデザートを発見すると「おっ、これは食べなきゃ!」とためらうことなくレジへ直行。デザートやお菓子のパッケージに「新食感!」のキャッチフレーズを見つけると新し物好きの血が騒いで、買わずにはいられません。
 この「新食感」というあいまいな言葉は、噛み心地や舌ざわりが目新しいということを表現していると思われます。「新食感」と銘打たれた製品は、大きく分けて「もちもち系」「シャキシャキ系」「クニュクニュ系」に分かれていると感じました。
 「もちもち系」は、グミやタピオカなどにみられる食感。噛んでいる間の程よい心地よさが魅力です。グミの中に軟らかいゼリーやちょっと硬いコンニャク片が入っていると、噛み心地に変化があって「新食感」度数は倍増!
 「シャキシャキ系」は、最近話題の野菜ヤーコンなど。ヨーグルトに入っているヤーコンの独特のシャキシャキ感にはやみつきになりました。
 そして私が一番好きなのが「クニュクニュ系」。その代表格は葛切り風デザートです。「もちもち系」よりちょっと硬めで、長時間、程よい噛み心地を味わえる点でポイントアップ。気軽なコンビニデザートでも、デパートに売っている吉野葛使用の本格的な葛切りでも、あのクニュクニュ感が味わえるなら、それでもう大満足です!黒蜜やゆずシロップとの絶妙の相性も見逃せないポイントですが、たとえ味がなくても、葛切りはいつまででも噛んでいられる自信があります。葛切りガムなんて発売されたら即買います。
 今日もまたどんな「新食感」に出会えるか、ワクワク期待しながら、コンビニに吸い込まれる日々は続きそうです。

(peppermint patty? reiko misihima) 2004年4月6日河北新報より



 
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