[二見で狙って釣った1匹。ちゃんとルアーで釣れまっせ〜]

新潟日報
平成12年4月
 【アイナメ】

 桜前線が通り過ぎた道端 に、水仙や黄色いたんぽぽ の花が目に入る。田んぼの 畦にはつくし、空にはいつ のまにかツバメが飛んでい るのに気付く。川にもシロ ウオが春を告げにやってき た。全てが躍動的に変化す る季節だ。
 海の春は一足遅くゆっく りとした足取りでやってく る。冬魚のホッケに混じり メバルやカレイ、ウミタナ ゴなど春らしい顔ぶれが釣 り人を楽しませてくれる。 アイナメもワカメを採る季 節に良く釣れる魚である。 晩秋にも良く釣れ、佐渡で はシジュウ、マシジュウな どと呼ぶ。語源は一年中(始 終)釣れるからとか、いつ 食べても美味しいから、と いう説があるようだ。ちな みに同じ仲間のホッケはド モシジュウと呼ぶ。
[船でのジギングに来たアイナメ!
ジグに来る奴はでかいのが多い]  アイナメは日本各地に生 息し、人気の高い釣り魚の 一つ。数多く釣れる事はま ずないが、引きが強く何よ りも美味しい事が喜ばれる 理由だろう。大物になると 50cmを超え、竿を絞り 込むからたまらない。岩礁 帯を好み、住む環境により 体色がちがう。魚の耳にあ たる側線が5本もあり、他 の魚が1本なのに比べると 地獄耳といえそうだ。見た 目以上にどう猛で、近くに 寄ってきたエビ、カニから 小魚にまで襲いかかる。居 る場所が解れば釣り易い魚 といえる。磯、堤防の投げ 釣りや船釣りで釣れるが、 磯のクロダイ釣りの外道と しても良く針に掛かる。意 外と足元に居る事が多く、 水深のあるテトラポットの 穴などは好ポイント。
 白身でクセが無く、大物 は刺身か洗いが一般的。小 型はカラ揚げや煮付け、バ ター焼きや塩焼きも美味し い。また吸い物、味噌汁な どにも向く万能選手だ。
[メバル狙いに来たいい型!
常夜灯の有るところでは夜釣れる事も]  好奇心が強くどこか憎め ない顔をしているこのアイ ナメ。どこぞの誰かに似て いるような気がする。現代 は情報社会、アイナメの地 獄耳は重宝されそうだ。し かし穴に入っていては遠く を見渡せないような。もし かすると似ているのは自分 なのかもしれない?。