[見よこの食欲!!これがソイのゲームフィッシュたるゆえんなのだ!]

新潟日報
平成12年6月
 【クロソイ】

 梅雨もようの空、つやつ やのカタツムリが気持ち良 さそうにアジサイの葉の上 を動いている。モリアオガ エルも覗き込む私を見返 しているようだ。反対にク モの巣の持ち主にとって霧 雨は迷惑そうである。
 海の中はちょっと中休み。 春の産卵期を終えた魚達は まだ食欲が回復しきれない ようだ。荒れる日は少なく ふ化した稚魚には過ごし易 い日々である。イワシやト ビウオが多くなりシロギス 等の夏魚が釣れ始めた。沖 では型のいいハタやクロソ イが釣れ、マイカ(スルメ イカ)も沖漬けにするには 少し大きいくらい育った。
 クロソイは深場にいる大 きいもので50cm3kg にもなる。身近な漁港から 水深100m位と生息域が [会心のダブルヒット!ルアー入門にも最適?] 広く、網や釣りで獲れるた め誰もが一度は食べたこと があるだろう。地域により 呼び名が違うことが多く、 ソイ、ドウコ、シラタバチ メ等様々である。岩の割れ 目や藻の間にいて目の前を 通る小魚やカニ、小さ目の イカなど何にでも飛び付く 待ち伏せタイプのゲリラの ような魚。どう猛な性格の ため比較的釣りやすく引き も強い。近い仲間にキツネ メバル(クロカラ)やムラ ソイがいる。これらどのソ イを見ても悪役顔である。
 ソイは深場ほど大型が多 く食味が良い。脂が乗った 白身は刺身、塩焼き、煮付 け、味噌汁、揚げ物と何に しても美味しく喜ばれる。 浅場では夜行性が強くなる ので夜釣りが適している。 特に漁港の内側に多く、エ ビやイソメ、ルアーなどで 25cm前後が釣れる。現 在ではヒラメと並び稚魚放 流の盛んな魚種で効果も見 え未来へと期待は脹らむ。
 梅雨空の合間を縫って沖 へ出ると日中は暑くて汗ば む陽気。海の上にいるとま るで別世界にいるようだ。 選挙も地震も感じず考えず に集中し、そら豆とソイの 刺身で、とビールのつまみ を釣りに竿を出している自 [釣り場とウデ?が揃えばこのくらいは夕飯前??] 分に気付く。釣りは現実逃 避の手段でもあるようだ。 まあ、たまには息抜きも必 要でしょ?。