[コチはワームで底をズル引きすると良い。
湾内、河口、船道などをズルズル・・・]

新潟日報
平成12年8月
 【マゴチ】

 お盆が過ぎると、にわか に薄れる夏の匂い。道行く 車も潮が引くように少なく なった。山ではススキの尾 花(穂)が風にゆれ、夕方 にはひぐらしに交じってコ オロギが日増しに声を大き くし、朝晩が過ごしやすい 時期になった。海水浴はク ラゲに邪魔され、釣り魚は カマスやサヨリ等、秋の魚 が小型ながら顔を見せ始め た。
 初夏から初冬にかけて釣 れるマゴチ(コチ)は、漁 獲量が少なく魚屋の店頭で は馴染みが薄い魚。数釣れ る魚ではなく専門に狙う釣 り人は少ないが、美味しい ので喜ばれる魚である。最 大で70cm程になり、夏 の照りゴチといって夏が旬 [松ヶ崎でヒラメを狙う筆者!ここでもコチが釣れたのだった] の魚である。上から押しつ ぶされたように偏平な体型 で、頭は特に幅広で誰かに 踏まれたようである。体型 から英語でフラットヘッド と呼ぶ国もある。浅場の砂 泥底にへばりつき大きな受 け口で小魚やエビ、カニ類 にすばやく襲いかかるゲリ ラ的な餌の取り方、単独行 動するところなどはヒラメ とそっくりな生活である。
 生きたハゼやエビを使っ た船での泳がせ釣りが本来 の釣り方であるが、専門に 狙う事の少ない佐渡では、 釣れたキスや小アジに飛び 付いてきたり、夜のクロダ イやマダイの流し釣りの外 道として良く掛かり、スズ キ釣りのルアーにもヒット し喜ばれている。高校の夏 休みに国府川の下流でクロ ダイ狙いのドジョウ餌に良 く掛かり、魚体からは想像 できない鋭い引きと食べて 美味しい記憶が好印象で残 っている。狙えば結構釣れ る魚である。
 よくしまった淡白な白身 は洗い、刺身はもとより煮 付け、塩焼き、フライ、唐 揚げ、汁種、鍋にも最高の パフォーマンスを見せてく れる高級魚である。
[結構でかい50センチ。これを料亭で食ったらいくらに??]  今年の夏は雨が降らず海 も荒れない。釣れる魚も今 ひとつ。うなだれたひまわ りが夏バテ気味の私みたい であるが、旬の旨いコチ尽 くしで残暑を乗り切ろうと また竿を握り直す釣り好き の私である。