新潟日報
平成１２年１１月
　【鯵】

　ずいぶんと日が短くなっ た。里の木々たちも色を変 え冬支度。枝に残った一枚 の葉がさびしげであるが、 足元に広がる色とりどりの 落ち葉のじゅうたんにどこ か心を落ち着かせられる。 夜は暖房無しでは過ごせな くなり、鍋が恋しい季節が やってきた。
　海ではカキの出荷が始ま ったが、今年は出来がいい という話である。寒いとは いえど釣り魚は豊富でサヨ リにアジ、シロギス、イナ ダやマダイ、クロダイ、イ シダイ、メジナ、スズキ等、 大小様々な魚が竿を曲げて くれる季節となった。
　堤防で人気者のアジはフ ァミリーで釣るのにも最適 な大衆魚である。誰にでも 簡単に釣れ、食べて美味し いのが魅力である。小アジ はスーパーや魚屋で安く手 に入るが、釣りの楽しみは 別物で、自分で釣り上げた 新鮮なアジを食べられるの はやはり釣り人の特権なの である。大型は４０センチ 以上になる。釣れる大物は 水深も深く潮通しの良い釣 り場に多い。
　アジはマキエサで寄せな いと多く釣るのは難しく、 掛かっても口が柔らかいの でハリが外れやすい。ハリ が数本ついたサビキで狙う のが普通で、いい時にはハ リ全部に掛かっていること もある。ハリ１本でのウキ 釣りも小アジから大アジま で楽しめ、餌はアミエビや オキアミを使用する。
　アジは側線上にゼンゴと いう棘状の鱗が並んでいる のが特徴で、料理をするに は必ず取り除いてからとな る。中、大型であれば刺身 やたたきが美味しい。小型 のアジは天ぷらやフライな ど。他に揚げて南蛮漬けに したり、塩焼き、干物、煮 付けなど何にしても美味し く、様々な料理で食卓を楽 しませてくれる。
　近年では漁港の整備が進 み、冬でも港の中でアジが 釣れるようになった。今年 は海水温が高くまだまだ釣 れ続きそうな感じである。
　秋晴れの午後、おにぎり 持って堤防に車横付け。気 軽にできるアジ釣りを楽し みに出掛けませんか？。