
山は緑濃く海は凪。夜に
は蛙の声が田んぼに響く。
日一日と変わる自然のスピ
ードに生命力を感じる季節
である。採れたての竹の子
とワカメの味噌汁が至福の
一時を与えてくれる。
今年は雨が足りないと田
畑の持ち主は快晴の空を仰
いでいる。水路へと引かれ
た川水は残り少なく、海か
ら上ってきたアユが細い川
の中で苦しそうだ。
海は例年の半月遅れだと
いう。沖磯ではクロダイや
マダイ狙いの釣り人が花を
咲かせたようにカラフルな
格好で竿を振っている。
時節がわかる名前を付け
られた魚もいくつかあるが
タケノコメバルもその一つ。
佐渡ではツラナゴと呼ぶ。
顔が突き出たように長い事
からであろう。タケノコが
出る頃に良く釣れる魚で、
体色は黒っぽい黄、茶、黒
褐色のまだら模様。東北の
太平洋側ではベッコウゾイ
と呼ばれる。大きいもので
は四十�pを超え、異様な迫
力がある。藻の多い岩礁帯
を好み、小魚やエビ、カニ
などを餌としている。
ソイやメバル、アイナメ
等、岩などの障害物を棲み
家にしている魚を根魚と呼
び、味の良い種類が多いが、
タケノコメバルも同様でプ
リッとした白身は刺身や煮
付け、塩焼き等が一般的で
あるが、味噌汁にするとい
いダシが出て絶品である。
干潟の埋め立てやダム建
設等による自然環境への影
響が話題になる近年である
が、釣りを通して未来を探
る時、釣り天国といわれる
佐渡においても無関心では
いられない。自然は無言の
教師である。一釣り人とし
て我々の子供たちに良い環
境を残していきたいと考え
つつ、少年の目で竿を出す
今日この頃である。