[美味しそうな真野湾のシロギス!]

新潟日報
平成11年7月
 【キス】

 強い陽射しと、あぶらぜ みの声が梅雨明けは間近と 思わせる。海も穏やかで時 化の日が少ない。いよいよ 夏らしくなってきた。夏と いえば、太陽と砂浜と海を 連想する人も少なくない。
 夏に釣れる魚のひとつに キスがいる。正確にはシロ ギスと呼ぶ。砂地や砂泥地 を好み、6月の初め頃から 浅場へと移動してくる。キ スは姿形よく、味覚にも優 れ、ビギナーにも比較的簡 単に釣れることから馴染み の深い魚である。人の少な い海水浴場や漁港の内側な どでも釣れ、朝夕には波打 [半漁師のような真野湾のプロ。外道のヒラメも羨ましい] ち際まで寄ってきてエサを 探している。
 夏の日中、泳いでいると よくキスの群れに出会う。 数匹から数十匹の群れで海 底から10cm程上を泳い でいる。きらきらと波によ ってできる光のカーテンの 中で海底の砂紋に映る影が 動く。よく見るとキスであ る。淡い黄色の背中とパー ルホワイトの魚体が光と砂 に溶け込み、影だけが見え た瞬間であった。子供の頃、 午後の真野湾に腰上まで浸 かり竹竿でキスを釣る人を 良く見かけた。キスはそん な浅場にもいるのである。 現在はイソメやジャリメを エサに投げ竿にリールで1 00m以上も飛ばす人もい る。船で釣ると広く探れ、 数多く釣れる。じっとアタ リを待つよりも、ごくゆっ くり仕掛けを引きずったほ うが良く釣れる。体長は1 5〜20cm程だがアタリ は竿先に明確に伝わり小気 味良い。時に尺近い大型も 釣れる時がある。頭を持つ と尾が肘にあたるのでヒジ タタキとも呼ばれる。
 食の方も天ぷらを筆頭に 吸い物、塩焼き、フライ、 刺身、タタキ、酢の物等誰 もが一度は口にしているで あろう魚である。さばくの も簡単でファミリーにもお 勧めのシロギス。堤防や砂 浜に出かけて見ませんか。 [やっぱ、きれいだなあ〜] このスピード社会。静かな 湾内にボートを漕ぎ出して のんびり釣るのもオツな休 日の過ごし方ではないだろ うか。