[クーラー一杯のサヨリ君、餌釣りとギャング釣りでの釣果]

新潟日報
平成11年11月
 【サヨリ】
  スレンダーな大和撫子

 日に日に紅葉が里へと下 りてきた。柿もたわわに実 り、葉の少なくなった枝は どこか寂しい感がする。 秋 もたけなわ、こたつに入り 鍋でもつつきたくなる季節 である。
 海も秋らしく小荒れの日 が多く、北交じりの風は肌 に冷たくなってきた。しか し水温はすぐに下がらず釣 った魚をつかむとまだまだ 温かい。
 ついこの間まで小さかっ たと感じていたサヨリがも う、20センチを超えるま でに成長し格好の釣り魚と して堤防の人気者になって いる。体型は細長く透明感 のある銀青色をしている。 口は受け口で長く突き出た 下顎の先端が鮮やかな紅色 に彩られている。まるで口 紅を付けたきゃしゃな女性 のよう。水面下1m以内の ごく表層を群れて泳ぎ、プ ランクトンを主食とする沿 岸内湾性の魚である。
 誰でも釣れるファミリー 向けの釣りであるが、人よ り多く釣るにはやはり工夫 が必要となる。午後からが 良く、ウキ釣りが一般的。 餌はアミエビを使い、米ぬ [両津港でのサヨリ釣り風景!
夕方、そろそろ釣れなくなってくる頃] かや市販の撒き餌をコマセ に使用する。また3本針を 使ったギャング(引っ掛 け)釣りは数を釣るには効 率がいい。中には7百匹も 釣る人もいて、誰が料理す るのだろうと余計な心配を するほどである。
 寿司ネタなどでもお馴染 みのサヨリ。刺身はもとよ り天ぷら、フライ、塩焼き、 吸い物、酢もの等が一般的。 開いて2匹の腹を合わせ、 一夜干しにしたアワセザヨ リは佐渡特有のものである。 料理して気付くのは腹の内 側が黒い事。腹黒い人の事 をサヨリのようだと形容す る地方は多い。
 これから冬にかけて数は 釣れなくなるが40センチ もあるサヨリが混じる事も あり、まだまだ釣り、食味 ともに楽しませてくれそう である。晩秋の昼下がり、 晩御飯のおかずを仕入れに 竿を片手に堤防へと足を向 けてみるのも悪くない。