November
〜冬の足音〜

止まることのない砂時計の中に君を見つけた
流れ落ちる想いの中 君はロンドを踊る
幽かに聞こえるメロディさえ 僕は想い出せない

明日は何処にある 僕はここにいるのに
想いを伝えたくて ペンを走らせるけど
そう 僕は君の名前も知らない
ガラス窓の向こうの風景のようさ
手を伸ばしても届かない

あの日確かに 約束した 信号が変わり
歩き始めた二人が再び出逢う為に

明日は何処にある 君はそこにいるのに
三日月が横たわる夜空の下で
冬の足音が静かに僕を連れ去ってゆく
そう 僕は君の姿が見えない
捻子を巻きすぎた人形のようさ ぎこちなく微笑んだ

止まらない砂時計は 零れ落ちる想い
心だけが見知らぬ国を彷徨っている
約束だけが心を繋ぎ止めている

11月 遠い異国から 手紙が届く


1988.11.