僕が見つけた少女〜承前〜


〜承前〜


 時折夢を見る。
 桜が舞っていた。
 雪のように静かに花片が舞い降りる中、彼女が立っていた。
 あの人が行ってしまったの。
 私を見捨てて捨てて行ってしまったの。
 忘れてしまいなさい。
 僕はそう言う。
 忘れてしまいなさい。
 私は姫様の傍にいます。
 一生何処にも行きません。
 彼女は迷子の子供の目をしていた。
 誰かが傍にいなければ、立っていることも出来ないような気がした。
 だから僕はこういった。
 あのお方の代わりになれるとは思いません。
 ですが、私は私なりの方法で、姫様を御守りします。
 姫様、だからもう泣かないでください。
 夢はいつもそこで途切れる。
 そして、僕は目を覚ます――。