初恋の消息

僕を呼び続けているコールに 背を向けて歩き出す
ポストに放りこまれたダイレクトメールは
読まないまま くずかごの中に

見上げると 空は眩しい程に澄んでいる
咲きはじめたリラが 君の香りを運んでくる

風の噂にこの街に帰ったと聞いたけど
すれ違っただけで 僕がわかるかい
あれから何年たったんだろう
全てが変わってゆく
街も 人も この僕さえも

郊外のゴルフ場の照明が 星空を駆逐してゆく
隣のビルに阻まれて
君がいた家も もう見えない 気づかぬうちに

夢見るように 時間だけがそっと流れてゆく
自転車で風を切れば 昨日に戻れるだろうか

リメイク版のヒット曲が ラジオから流れている
あの頃 君がよく歌ってた
あれから何年たったんだろう
全てが変わってゆく
景色も 夢も そうさ君まで

あれほど 純粋にはもう愛せないよ
17歳の少女の君だけ 僕の胸に焼きついている
今も僕は あの恋の行方を追いかけている

五十年たっても 愛してると誓ったけれど
すれ違っだけで 僕がわかるかい

あれから何年たったんだろう
全てが変わってゆく
街も 人も 想い出さえも