Prologue
〜蒼天〜
天には澄み切った春の青空。申し分のない好天気だ。
「いよいよ今日だね」
竹本偲が空を仰いで告げた。
「うん」
学校指定の体操着姿の北原莉奈が、振り向いて笑う。臙脂色の長袖で、白いラインが上着に腕と襟に、ズボンはサイドに入っているシンプルなデザインである。
「やっと約束が叶うの」
「あれ? そんなこと言うと、また敬一パパに反対されるんじゃないの?」
そうからかい顔の親友に莉奈は首を振る。
「大丈夫。もう宿題はすんだから」
「莉奈、今は体育よ。宿題って?」
体操着だと大人びた肢体が余計目立つ。隆起した胸元に集まる男子生徒の視線をものともせず、佐橋美夜がおおぼけをかました。
「体育に宿題があるはずないじゃん。莉奈が歌手になるための宿題だよ」
くすくす笑って偲が言った。
何のことかと一瞬考え込んだ美夜が次の瞬間、納得したように大きく頷いた。
「あれね」
「青少年会館で六時半だからね。美夜ちゃん、ちゃんと来てね」
夜遊びが過ぎる友人に莉奈は言った。
「わかってるって」
笑顔で美夜が答えたところに体育教師の