ホームフェルメールの研究エピローグ真珠の耳飾りの少女(少女と過ごした日々)

真珠の耳飾りの少女

U.少女と過ごした日々


 レジーナ・ユイ・メイが、この家に来たのは、カタリーナとフォスが結婚して、この家に住み始めた時だった。

 
 彼女は、テキパキと家事を手伝い、よく笑う少女だった。結婚して、すぐに子供が出来た、カタリーナにとって、彼女が1番頼りになったし、年も1番近かったので、心も1番許していた。


 また、レジーナはフォスの評判も良かった。友人たちが沢山訪れる、家にとって、愛想よく、いつも迎えてくれるお手伝いさんは、有難いものだった。ドアに張り付いているのかと思うほど、すぐに扉を開けるので、フォスは、一度レジーナに尋ねた。

 
 フォス「レジーナ、ひとつ、訊いて良いかい。」


 レジーナ「はい。何でも・・・。」


 フォス「お前は、何時も私が帰ってくると、すぐに扉を開けてくれるが、何かコツがあるのかい?」


 (^-^)ながら、レジーナは答ました。
 レジーナ「足音でわかるんです。だから、足音がしたら、すぐに傍に行くようにしています。」


 フォスは、感心しきりだった。また、彼の先輩の画家、ヘラルト・テル・ボルフは、彼女を一目見て、気に入った。そして、フォスに言った。



 テル・ボルブ「フォス、彼女を描いてみたらどうだ。十分モデルになると思う。君が描かないのだったら、私が描きたい。」


 フォスは、自分より15歳も年上の先輩画家の言葉に、驚いた。今まで、そういう対象としてレジーナを見たことはなかった。確かに、零れるばかりの大きな目と、奇麗に通った鼻筋、薄いピンクの唇、と注意深くみると、確かに美人だ。

 フォス「しかし、先生。本人に尋ねてみないと・・・」


 フォスは、真剣に真顔で、レジーナに尋ねてみた。


 レジーナ「そんな馬鹿なことを言わないでください。私なんか・・・、そんな・・・」 と、笑って相手にしなかった。


 その時は、フォスも、それ程思わなかった。ところが、その後、ある事件をきっかけに、レジーナを描きたいと思うのだった。

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