ホームオマージュ・ゴッホ自画像とガッシュ博士の肖像

自画像とガッシュ博士の肖像

 この2枚の絵は、オルセ美術館にあります。『オーヴェルの教会』と供に、眼に焼きつき、忘れられない作品です。妻と結婚したのが、平成5年4月3日(5・4・3で覚えやすい)ですから、もう10年以上たってます。


 この二つの作品を並べたのには、それなりに理由があります。ガッシュ博士は、ゴッホの主治医になるのですが、このゴッホの自画像を観て、私の絵もこのように描いて欲しいといわれたそうです。ゴッホは、その意を汲んで描いたのが、ガッシュ博士の肖像というわけです。この2作品を再び、今年の春オルセ美術館で、観ることができました。その時の私は、ルーブル美術館を徘徊した後、ほとんど休まず、土産も買って、大変疲れてました。もし、ホテルに帰ったら、疲れで動けなくなると判断したので、そのままオルセ美術館に向かって、ともかく絵を探しました。絵を観た瞬間、足の痛みも、重たい荷物も忘れました。名作は、全てを忘れさせてくれます。


 まず、ゴッホの『自画像』からお話します。1890年の5月の制作で、縦65.0cm×横54.5cmで、キャンパスに描かれてます。怖いくらいの自画像です。こういう風な目で見つめられたら、ゾッとします。ただ、私の中では、ゴッホの自画像の中で、1番強く印象に残っていています。今も時々夢の中に出て来ます。これを作製した時、ゴッホは、サンレミ滞在中で、精神的にはかなりまいっている状態です。そのことが、背景の渦巻きの模様にあらわれてます。確かに、この渦巻きは、炎のように見えます。狂気が描かせた絵かもしれません。


 ゴッホは、ガッシェ博士を大変尊敬慕ってました。彼を信頼して、オーヴェールに行くわけです。博士に3枚の作品を残したと言われてます。この作品から、博士の優しそうな雰囲気が伝わって来ます。左手の花は、すずらんでしょうか?きっと、博士は、患者ゴッホの前で、このポーズで、話を聞いていたのでしょう。この名作は、1890年の6月に描かれ、縦68.0cm×横57.0cmで、キャンパスに描かれてます。

自画像 ガッシュ博士の肖像

 後にゴッホは、いつものようにガッシュ博士とも上手く行かなくなります。ガッシュ博士の娘さんのこと、食事のことが理由と言われてますが、悲しいことです。


(2003年8月27日作成)

オマージュ・ゴッホ