第二節:しょっぱなから体力不足全開、しかし奇跡の三日目が…。

<8月8日(火)天気:晴れ>
旅程:小樽〜蘭越(ニセコ)

 いよいよ出発である。先ずは函館までの長い道のり、走って走って呪いをかいくぐってJINGさんの待つ函館を目指す。ルートは√5を基本線に、森からは√5を離れ、恵山岬を満喫してから函館を目指すという、そんな感じだ。天気も良好、走るにはちと暑いくらいか。
 小樽市を抜けて、余市町へ。余市といえばやはりニッカウヰスキーのふるさと(左写真がニッカの工場です)。
ってもまぁ、工場見学する時間はちとないし、飲酒運転は…ってことで、写真だけ撮って次へ。余市町の次は仁木町。ココはフルーツが有名な町だそうで、道端のいたるところにフルーツの直売所がありましたよ。買いたいのは山々なんだけど、こういうとき自転車は持ち運ぶのが大変だし、何せ冷やす手段が無いのが辛い。泣く泣く諦めて先を目指す。
そして、まず北海道からご挨拶。
早速小さいとはいえ、一つ峠越えである。稲穂峠、大体200mUPで。
まぁ、この程度の峠ならそこまで苦しまない、そんなに厳しい坂でもないし、ゆっくりだらだらと200UPするようなものである。程なく峠の頂上が見えてくる。一休みして汗をぬぐう(汗はさすがにダラッダラ出ますけどね、汗っかきですし)。
峠を越えたら共和町、降りたところにセイコーマート(以下:セイコマ)があったので一休み、朝ごはんはちゃんと食べたけど、ここでもサンドウィッチを食す、だってお腹減るんだもん!!ついでにコンビニの近くに郵便局もあったから、ツアー葉書用の切手を購入、こういうときは北海道版の記念切手が都合が良いですね。
集落を離れ、√5に戻るとまた峠。今度も200m程度の倶知安峠である。これを越えれば倶知安町に入る、倶知安といえば羊蹄山。あの雄姿はなかなか見ごたえがあって好き(昔合宿で通ったことがあるんです、この辺は)。で、峠道はさっきと似たようなもの。じりじり登ってあっという間に頂上である。とはいえ、さすがに二つ越えるとしんどい…

 そして倶知安町に入り、峠を降りていると羊蹄山来たぁ!!今日は天気もいいから非常に綺麗に見えます。いやいや、しょっぱなからいいもん見せてもらいました!!
やっぱりこういう地元のシンボルがある町っていいですよね。我が故郷松山なら松山城だし、奈良市であれば若草山みたいな…それを見ると『あぁ、帰ってきたんだなぁ。』って思わせる場所。そういうのがある町に生まれて本当に良かった(っても実家からは松山城見えないんですが・笑)。
倶知安の人たちも、お盆や正月に故郷に帰ってきたとき、こうやって羊蹄山の姿をみて、『あぁ、帰ってきたなぁ、』って思うんでしょうね、きっと。
丁度時間もお昼時になったので、昼食にすることに、駅前を色々走ってみるも、北海道の田舎町の駅前ってのは、お店も限られてて(それでも倶知安はまだ大きな町です)結構探し回って、地元色強そうな定食屋に入る。
そこで見かけたのがホッケの煮付け。内地でホッケといえば開き位しか見かけないので、ちょっと珍しい。ってことでそれを食べる〜んん、美味い♪(ちょっと店が汚いのが気になったが。あ、北海道はハエ多いです、ワンサカ居ます。ゴキブリは居ないんだけどね)
倶知安であと、スパナ(持ってきた奴がサイズ違いだった、オイオイ)を購入して、もうひと頑張りして今日はニセコを目指すことにする。ニセコといえば一大リゾート地で有名で、夏場は高原風景が美しく、冬場はスキーを中心としたウィンターリゾートが盛んで…
温泉も沢山あるんだな。道の駅で絵葉書を購入したり、色々情報を仕入れてみていたが、温泉の中には混浴のところもあるってー!!
そりゃ、もう、行くしかないっしょってことで、今日泊まるキャンプ場を決めて(ニセコサヒナキャンプ場にした)そこに先ず荷物を置いてから、近くの昆布温泉郷で…といざニセコへ!!
が、ニセコ恐るべし、ってかさすが『高原リゾート』。高原=山→坂。
もう、登る登る、あきませんがな、今までの二つの峠以上に登りますがな。登っても登っても温泉に着きません。結局途中で諦めて押して上がりましたサ。もう『登りで押すことは敗北』ってあんまり思わなくなったし(←ヘタレチャリダー)、でも押すとどうあがいても時速4km/hだからね、自転車乗ってると7,8km/hは出るから、やっぱり自転車押すとそれなりに時間かかるんだよねぇ。
それでも何とか昆布温泉郷について、湧水で顔洗って、後は少し下って(=また温泉来る時には登る)キャンプ場へ。
なんかこのキャンプ場が、なかなかお高級なキャンプ場で、炊事場はログハウス風のいい建物だし(炊事場に壁があるというのが凄い、普通屋根はあっても壁は無い。)、照明とかもちょっと凝ってある。サイト数も少なく、オートキャンプやコテージもあって…料金もちょっと高めでした(笑)それでも¥1,300なんですけどね。

 とりあえずテント立てて、防水加工をする(え、現地で!?)。思ったより早く乾いたので、荷物一式もしっかりテントに入れて、風呂道具&ツアー葉書道具だけ持って、いざ風呂へ。もちろん目指すは混浴露天のあるグランドホテル。ペダルこぐ足にも力が入ります(ほら、どうせ風呂入っちゃうからさ、汗かいても問題ないんだよ、そういうことにしときましょうや、ねぇ)。
しかし、グランドホテルにいってみてビックリ。
『本日貸しきり営業の為、日帰り入浴ご遠慮ください』
くぅぅ、北海道のバカァァ!!
結局、グランドホテルは諦めて、キャンプ場に近い鯉川温泉(これも昆布温泉郷内にあります)にいくことに…うらびれた感じの日本の秘湯っ!!って感じのいいところなんですけど、ここでも悲劇が起こったのである。
フロントでお金払って、いざ温泉へ。時間が時間だから(まだ16時前)客が少ない。親子連れの声が聞こえる程度だねぇ…とか思いながら服を脱いでいると…
『ゴンッッ』
って、凄く鈍い音、そして、湯船からは泣き止まない泣き声が…
すぐに、家族連れが出てくる。お父さんが抱えているのは娘かな?ってか、頭からかなりの流血が…おいおいおいおいおいおい、だ、大丈夫かよ。
でも、お父さんは結構冷静におかーさん呼んできてとか言ってたし、まぁ、もう殆ど服脱いだ輪駆はこれまた何もすることが出来ずに…結局そのまま風呂に。案の定(!?)まだ血が残ってましたから…何事もなかったように流しておきました。
…複雑だなぁ…と思いながら風呂に入る。露天風呂(混浴ではありません)行ったら虻の襲撃にあうし、正味いい思い出はこの温泉には無かったなぁ…初日からこれだとさすがに呪い!?とか思っちゃいますよね。あ、風呂上りに体重計乗ったら昨日と比べて2キロ減ってた!!そんな状況の中、風呂上りにツアー葉書を書きました。葉書自体書くのって凄く久しぶり!!(受け取った方も同じこと言ってたな)
ただ、普通にツアー葉書書くのじゃもう面白くもなんとも無いんで、これは受け取った人に参加してもらって…なんか来るのが楽しみになるような(いや、普通にきても十分楽しいはずだけどー)ものにしなきゃな、って思いついたのが。
『輪駆の他人任せ北海道旅日記』
(上のクリックすると、まとめてくれた聖哉さんのBlog記事に行きます〜)
なんですね。で、その第一号が聖哉さん宛になったのも、色々と理由があるわけで…そりゃCOSfan友達第一号のGA GA姉や元彼女なたねちゃんって手もあったけど(実際この3人で迷ったのも事実)。何せ天性のブロガー聖哉さんなら、きっとこんな葉書が来たら即UPしてくれる。次受け取った人は「あれ?続き物?んじゃ私もUPしないと〜」っていうプレッシャーを与えてくれる。
とか、まぁ、色々考えて(1)は聖哉さんに送ることにしたんですよ。
まぁ、届くか届かないかの日に実家に帰られるとは完全に予定外でしたけどね(笑)
でも、↑の形に全部まとめて見られるようにしてくれるとは思ってなかったから、その辺はさすが電脳2トップの一角だけあるなぁ、と素直に感心しちゃったわけです。

 葉書を書いて、近くのポストから投函(これが翌日の昼収集だったことが、到着の遅かった原因だな)。キャンプ場に戻る時は、できるだけ汗をかかないようにゆっくり走ります。キャンプ場にもどったら早速夕飯。ってもお米炊いて、さっきセイコマで買ったハヤシライス(3袋¥278って安いっ!!)をかけるだけなんだけどね〜
そうそう、このお米も『だはんこき舎』で一緒の部屋だった男性から貰ったんです、しかも2キロも!!(買えば¥1,000はしますぜ)いやはや、ありがとうございました。(あとマグカップ用のインスタント味噌汁も頂いた)
で、久々の米炊き。水加減とかは結構適当なんですよ。だから、感覚を忘れちゃってて、これが大変で…今日の米はこれでもかって位硬かった〜ガリガリ食ってましたから(笑)まぁ、ハヤシライスで味誤魔化して食えるけどさ、米単品だったら絶対無理だったね。危ない危ない。
風呂入って、飯食ったらもう後はやることもないので寝ちゃうだけです、19時過ぎにはもう眠り始めてたと思います。でも、久々でなれないのと、やっぱり夜は寒くなるので、ちょこちょこ目ぇ覚ましてたんですけどね。

今日の走行記録
走行時間6:03:22走行距離95.67km
最高速度53.7km/h平均速度15.7km/h


<8月9日(火)天気:晴れ>
旅程:蘭越〜長万部

 2日目。4時前には目が覚める。もう、外はうっすらと明るいんですよ。ってわけでご飯炊いて再びハヤシライスを作る。昨日の晩よりはましだったけど、まだ美味くは無いレベル(笑)
で、準備して5時40分頃にキャンプ場出発。まずは近くにある薬師温泉に向かうのだ、6時から開くということなのでちょうどいいじゃないの、って。で、温泉までは自転車でも15分くらいだったかな?気になったのはやけに下った先に温泉があったことか。ってことは温泉後にまた登らなきゃいかんってことじゃないか…くそぉ。
で、薬師温泉着。ここは昔、「水曜どうでしょう〜大泉洋闘痔の旅〜」で出てきた温泉でもあり、温泉の入り口には『奇跡的に病が治る』とまでかいてあるこの素晴らしさ。そりゃ入るほうはもうドキドキもんですよね。
で、建物の前で待つ…6時が過ぎる。
…開かない。
ノックとかしてみるも無反応。定休日でもないはずだし、道の駅で貰ったチラシに6時からってかいてあるんだから間違ってることはないと思うのだが…と、10分位すると、ようやく中が騒がしくなって、おばちゃんが開けてくれた。ん?寝坊?
入浴料は¥300。にごり湯ととうめい湯に分かれていて、にごり湯は混浴である…っても俺しか待ってる人が居ないんだから当然一人風呂じゃないのさー、ってことで、一人風呂満喫。写真も撮っちゃった(左上のがそうね)。でも、お湯はぬるめで少しにごってて、湯船のそこからぷくぷくと泡がうかんできて、湯船が深くて立って入るような感じだけど、これは結構好きな感じだ。これで可愛い娘さんでも居れば尚更…(まだいいますか?)

 また来よう、と思いながら薬師温泉を後に(ちなみに、後でネットで調べると露天風呂もあったみたいだけど…全然わかんなかったぞ、これはまたいずれ行ってみないとな)。そこからは√5に出るべく坂を下って、JR昆布駅あたりにでる。
 そこからはふらりふらりと走って…いつの間にやら目名峠へ。ってもココも200m級のユルユル峠なんですけどね。
峠を越えると黒松内町ですよ。っても√5は黒松内の市街地を通らないので、道の駅でホットドッグ(道の駅で焼いているパンと行者ニンニク入りのウインナーのコンビネーション)を食べて、√5をひた走る。最北限のブナ原生林とかが少し外れたところにあったんだけど…行きませんでした。
そんなわけで、黒松内町を越えたらいよいよ長万部町。ここからはいよいよ噴火湾沿いを走ることになる…のだが、その前に寄らなきゃならないトコがある。

 それが、√5を外れて山の中、約8km行ったところにある『二股ラヂウム温泉』ここも昔「どうでしょう」で…なんですけど。この√5逸れてからの8kmが峠3つ&ニセコ山登りしてきた輪駆にはキツかった!!もう、途中から全然足が動かなくなって、押してばっかり…
ようやく宿に着いたよーと思ったら…最後の駐車場までの激坂、これがもう押しても辛い、乗るのは不可能…ホントに気力だけで上に上がって、何とか温泉までたどり着けました。でも、やっぱりそんな状態で風呂入っちゃいけませんですよ。
風呂に入ってるうちに体が痺れてきちゃって…全然風呂を楽しめる状況じゃなかった。温泉成分の濃さも影響してしまったかな(ここは世界に二つしかない石灰華ドームがある…ほどに泉質が強いと思ってくれ)、まだ昼飯を食ってなかったから一種のハンガーノック状態ってやつです。もうこうなったらとてもじゃないけど動くのは無理ー。
ってことで、甘いジュースを飲んで、休憩室で仮眠。一時間位寝たら少しは楽になったかな?それでもまだ身体は全然本調子ではない…でも、少し無理を押して温泉を出発。
なぜかというと、長万部の某観光市場では昼飯にバイキングをやっていて、¥900ほどでなんとかに飯が食べ放題になるという…まさに夢のような食事ができるのだ…が、それも14:30まで。現在14時前…む、無理かな、と思いつつも頑張って走ってみる。
でも、市街地着いた時にはもう14:30過ぎ、やっぱし無理でしたか(笑)
だからして、昼飯を食べる場所を探していると、駅前によさげなお店発見。それがお食事亭「かなや」。えぇ、長万部の駅弁の『かにめし弁当』作ってるところなんですよ。そこがやってる食堂なんだからそりゃまずいはずがないっしょ?
それがこの左の定食。
『かにめし内浦膳』(¥2,000)なり。
写真じゃ見えませんが真ん中のハートの器にはいくらが入ってます。それをかにめしに少し入れて一緒に食べると…美味っ!!さすがに北海道は金出せば凄いもの食わせてくれますよ。しかもそれが高級なお店とかじゃなくって、駅前にある食堂やら、漁協が経営してる小さな食堂で、内地で食べるよりはるかにお安く食べちゃえるんだからね。ってわけで、バイキングできなかったのは悔しかったけど、きっとあそこのは質が悪いんだ(っても十分なレベルが出るのは火ぃみるより明らか)って言い聞かせて今日のキャンプ場に向かうことにします。
今日は長万部町内にある長万部公園キャンプ場へ。駅から自転車で15分ほどのところにあるので、アクセスもいいし、(長万部)温泉までも15分ほど。ライダーやチャリダーも結構活用しているキャンプ場でございます、一泊一人¥500なり。
でも、テント張ってる時になんかちっこい虫が足に張り付いてくる。何してんだ…と思ったらどうやら血を吸ってるらしい、別に痛いわけじゃないし、とか思っていたら、この虫にかまれた後だけは、いつまで経っても消えやしないんだ、しかも、忘れた頃に痒くなるし、これが一番大変だった。
温泉に行った時に(銭湯料金だけど、出てるのは温泉っていう長万部温泉ホテルってのがある)コインランドリーで一緒に着替えも洗って、乾燥機かけている間を利用して他人任せ旅日記を書く。今回はたねちゃん向けなのだが…何故だかUPされたときに本文そのまま掲載じゃなかったなぁ…まぁ、そういう人だったか(笑)
そういや丁度我が家(大阪の)に泊まっているマキイチにも電話したね(自分の位置を知られるのが嫌だったのでこの事は内密にと言っておいたの)。

 キャンプ場に戻って、虫(さっきの)や虻に怯えつつご飯炊いて(当然カレーです)、とっとと就寝。明日も虫が多いと嫌なので、明日の朝飯はテントの中で食べられるようなお惣菜(巻&イナリ寿司)を買っておく。
しかし、2日目からこんな自転車押しまくってて大丈夫なんだろうか…不安だ。

今日の走行記録
走行時間5:41:08走行距離94.33km
最高速度57.2km/h平均速度16.5km/h


<8月10日(水)天気:曇り>
旅程:長万部〜函館(旧:椴法華)

 起きたのが5時…昨日の疲れもあってか起きられなかった…とりあえずテントの中で寿司を食って、6時前に出発。先ずは√5の分かれ道、森を目指す。長万部から函館までが、√5利用で大体100km程度なのだが、輪駆は恵山方面をぐるりと回り函館を目指すので多分かかる距離は倍位になるんじゃないかな?
とりあえず、長万部を出発して、海沿いの√5をひた走る。海沿いを走るのは、風の向きがとにかく重要で、これが向かい風だったりしたらもう最悪(特に噴火湾は風が強いので有名)なのだが…今日はそこまで風は強くないみたい…むしろ追い風気味??
比較的調子よく走り、八雲駅に着いたのが8時。で、15分ほど休憩して再び走り、森駅に着いたのが10時。約60kmを4時間弱で走るのは、結構調子が良い証拠(サイクルメーターはタイヤが回ってる間しか時間計りませんからね、実質的な旅程は時速15km/h程度で組むのが基本です)。しかし、天気が微妙に悪いので、期待していた駒ケ岳は全くその姿を見せてくれないまま…残念。

 森駅といえば、いかめし。
いかめしといえば、森駅ってくらい有名な森駅の駅弁、『いかめし』。
ちっちゃいいかにもち米をたっぷり詰めて、甘辛く炊き上げたそのバランスは絶妙だとかどうとか…まぁ、要は安くて美味い駅弁なんですよ、物凄くシンプルなんですけどね。
でも、もち米だから結構お腹一杯になるし、手軽に食べられるのはうれしいですねぇ。ってわけで森駅でいかめしに舌鼓を打って、さぁてココからどこまで走ろうか、という話になってくる。当初の予定では、函館市(旧:南茅部村)にある大船あたりのキャンプ場を目指そうかな、と思っていたんだけれど、昨日までのヘロヘロ具合が嘘のように今日は快適に走れているので、ひょっとしたらもうちょっと先までいけるんじゃないのか?いやむしろ恵山の麓、旧:椴法華までいけるんじゃないだろうか、と欲が出てくる。まだ10時である。まぁ、16時に着くと考えて残り6時間、約70〜80km。ん、まぁ、いけない距離じゃないんだな、これが。
一度そう思ったらやらなきゃいかんのが男の生き様。んじゃ、今日の目標を旧:椴法華に定めて森駅を離れる。旧:砂原町(現:森町)を通り抜け、鹿部町へ。ここのコンビニで昼飯を食べ、後は一気に走りきる…と思ったら、ちょっと走ったところに間欠泉公園が。
これは見ておかないとなーってことで、入場料払って公園へ。大体10分程に1回、間欠泉が吹き上がるとのことだが、結局2回見ちゃった。30分位休憩して…足湯にも浸かり、ちょっと元気回復ってことで、一気に走り始める。
そして、鹿部町を越えると、いよいよ函館市に突入である。
ってもまだココは旧:南茅部村…まだココから南茅部→椴法華→恵山→戸井→函館と4つの町を越えてようやく旧:函館市になるわけでして、近くにあった距離表示板によると、函館市街(√278終点)まで約80km…まだまだ先は長い。でも、とりあえず函館に着いたよ〜とJINGさんにメールしておく。
しばらくしてから返信が。
『どこかで待ち合わせしましょうか?』
…いや、今日中には着かないから大丈夫だって…
まぁ、少しでも近づく為に、走る。もう函館市に入った頃で、13時半位である。後2時間でどこまで進めるかが今日の宿を左右することになる、頑張らないと!!
その南茅部。
ここは、昆布漁で有名なところ、川汲の昆布なんてのは、もうちょっとした高級品(←ツーリングマップルの知識)らしい。
そんなわけで、町のいたるところで昆布干し風景がみられ、街中は昆布の香りや磯の香りが充満…本当にそんな感じである。こういった町の特色が強く出ている風景ってのは凄く好き。
それは、昔行った鰊漁の面影もそうだったし、牧草地帯の牧場風景もそうだし、近い未来にいくことになる炭鉱町の寂れた風景なんてのもそう。
北海道って言うところは、そういう栄光と衰退を繰り返しながら育ってきた土壌なんだな、っていうのが分かる風景が、そしてその風景を作った歴史が好きなのだろうな。
昆布だらけの街を走り、楽しさからか、先ほどの足湯の効果か、ペースも非常に良い。
そして、南茅部と椴法華を分ける、長いトンネルが見えてきた。あのトンネルを抜ければいよいよ椴法華に着く…
椴法華は、本当に小さな村だったのだが、その名が示すとおり!?ホッケをはじめ、昆布などの漁業資源豊かなところ。そして、背後にそびえる恵山の恵でもある、温泉でも有名なところである。その代表格が『水無海浜温泉』。
まぁ、これも「どうでしょう」でその存在を知ったのだが、要は海の底からお湯が湧いていて、干満の差によってそこに海水が入り込み、限られた時間だけ、温泉として入ることが出来るという、そんな場所。一日の中でも数時間しか入ることが出来ないから、幻の温泉なんていわれてもいたりする。
ま、それは恵山の先っぽのほうなので、まだ少し後の話。
とりあえずは役場で情報収集。
これ、結構便利ですよ、皆さんも困った時は役場に行きましょう。
で、まずは宿泊場所についてきいてみる(私の地図だと椴法華にはキャンプ場が無い)、すると、宿泊施設は岬の先端にある恵風(「けーぷ」と読む)しかないとのこと。そして、空室は無い(役場の人が問い合わせてくれた…暇、なんですね。)とのこと…ちょっと焦る。焦っていると役場の人から助け舟。
「『恵風』の前に公園があって、そこでキャンプしても…だめってことはないからなぁ。」
キタッ、来た。
役場からお許しが出たんなら、安心してそこに泊まろうじゃないか(笑)
でも、そこは公園じゃないから…あくまでテントは張らせて貰うという形で。そして、炊事などはしないということで自分の中で決め事を作っておく。まぁ、恵風のほうで食事も出来るということらしいので…問題ないでしょう。
って訳で安心して岬のほうへ…と、その前にもう一つ。
『水無海浜温泉の入浴出来る時間って、わかります?』
と聞くと、やっぱりそういう表を持っていた(ちなみにこの表は、温泉現地にも掲示してあります)。今日は朝と昼…はもう時間過ぎてるから、後は夜21時頃〜23時頃までと、もしくは明日の朝8時過ぎ〜のどちらかということ。21時といえばいつもはもう寝ている時間だけど、これはちょっち頑張って起きてみるべきかな…?
それだけの情報を元に、岬へ向かう。といっても恵山は一周できる道路が無く、水無海浜温泉より先には道が無いので、また明日にはココ(役場付近)まで戻ってこないといけないのだが…
少し登りがあったが、無事に恵風到着、確かに目の前には大きな公園がある(灯台公園というべきかな?でも遊具などもあるし、敷地も広い。確かにこれはキャンプも出来そうな…)
とりあえず一度水無海浜温泉がどういうものか見ておきたいので、自転車を置いて温泉へ降りる(また自転車で登るのが面倒なので歩いて降りた・公園から温泉までは徒歩でも10分程度)。確かに15時半頃の今は完全に水没してしまっていて、温泉というよりも海水プールである、ちょっと手を入れてみたが、これは温泉とはいえない…(ただ、大泉さんはこの中へ入っていった)
でも、この場所が温泉だったらと思うと…これは絶対入りたい!!ってことで、善は急げ、21時まで起きておくことにする。
また公園まで戻り、テント張っても目立たなさそうな場所を探す。丁度良さそうな場所があったので、そこにテントを張り、恵風にある日帰り温泉に〜♪¥400でシャンプーも石鹸もあるし、良い所だぞ!!でも、一日ずーっと走ってたせいか、ノースリの肩の後ろを日焼けした模様…日焼け止めは一応塗ってたんだけど、多分塗れなかったんだろうな(一度に焼けて赤くなるのを防ぐ為にも、日焼け止めは塗ってました、っても日焼けはしたかったんですけどね)。
風呂に入って、休憩室で夕食を食べて(牛丼と蕎麦とかそんなんだった)、旅日記(3)はGA GA姉向けに送る。そして、ゆっくり日が暮れてゆくのを待つ…
19時頃にテントに戻り、仮眠してると、ドーンドーンと遠くから…そういえばこの日、椴法華では祭りが行われていて、丁度花火大会が始まったところらしい。花火は先日大阪で見た&一人で見るものじゃないのだが…この日は周りに誰もいなかったし、テントから出てぼーっと一人花火に目を向けていた…
そして、21時がやってくる。
待ちきれない、最適時間は21:20〜とは書いてあったが、21時過ぎにはもう温泉着(そりゃ、徒歩10分だし)。丁度同じくらいの時間にカップルが着てたけど…さすがに風呂には入っていかなかったな。
でも、帰り際に階段登る際、何故だかお姫様だっこしてた(笑)
ま、まぁ、そんなカップルはいいとして、だ。
この温泉…凄い。
何が凄いって雰囲気がもう、ヤバイ。
(いかん語彙力が足りない)
真っ暗な夜には、満月が浮かび、波の音が絶え間なく流れ…その波の高さと同じ視線で温泉に浸かることが出来る…しかも、まだ時間が早いこともあって、お湯もぬるく、それこそ月と波と湯と…全てが上手に絡み合って、何時間でも入っていられそうな、そんな絶妙のバランス。
これまで道内で、色々と温泉には入ってきたけれども、ココに勝るところは今までなかったような気がする…カムイワッカ湯の滝(知床、'98ツアー参照)がこれに近い感動を覚えたけど、あそこは人が多い分どこか興ざめしてしまう感じになるのだが、ココは今でもたった3人しか居ない(カップルではない)。人もまばらで、本当にゆっくりと風景と音と湯を楽しむことが出来る…これに勝る贅沢はないなぁ、とずーっと一人で感動してました(1時間位入ってたかな?)。
お湯から上がった頃に、2人組みが降りてくる。挨拶してもらえたので色々と話をしていると、なんと温泉のすぐ上にある民家から降りてきたとのこと。そこのその人の祖母が住んでいて、今丁度帰省でこちらに帰ってきているのだということ。
色々話していると、本当に面白い話も聞けて(「どうでしょう」の裏話的なこととか)、ちょっとゆっくり入っててよかったな、って得した気分。丁度その人らと別れ、公園に戻る最中に、バイクが何台か通り過ぎていったから、アレ以上いたら逆にうるさくなったかもしれないし…
なんにせよ凄く良い時間を過ごせました。呪いどころか、函館に入ってから凄くいいものを沢山貰ってる気がする…明日、いよいよ彼と対面するわけだが、いよいよ楽しみになってきた!!

 でも、今度来る時は…一人じゃなかったらいいな。

今日の走行記録(赤色は今ツアーの最高記録)
走行時間7:01:28走行距離136.53km
最高速度32.5km/h平均速度19.4km/h


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