8月15日(日)天気:晴れ。
行程:金沢〜糸魚川〜諏訪湖〜松本。
乗車距離(営業キロ):約277km、運賃:約¥4,940(途中下車なしの場合)

 11時22分金沢発直江津行普通電車。
それが、今回の旅の始まり。
. ただ、それ以外は何も決まっていない、そんな旅。
石川の友人たちに会いに行き、彼らと別れたあと、どこを目指すでもなく、ただ、お盆期間を一人で、ぼーっと過ごしたいと思っていた。
この上半期は色々なことがあったし、仕事のことなんかもあってちょっと疲れているのだと思う。
だから、石川の友人宅にお世話になった後、15日〜17日の3日間。気の向くままの旅でもしてみようかな、と思ったのだ。
時間はあるけど、金のない輪駆としては、結局、それをするには「青春18きっぷ」が一番妥当だ、と漠然と思っていたが…
何せ、まったく何も決めていない旅というのも始めてだ。
目的のない旅。
そんな旅でも、得るものはあるだろうな、と思いながら最初の電車に乗りこんだわけだ。

 四人掛けのBOXシート、最初の道連れはサイバーな親父だった。
ここで輪駆は腕時計型PHSを初めて目の当たりにする。奴はPDAも二つ持っていたし、本当に顔に似合わずサイバーな親父だった。
その親父も石動で降りてゆき、金沢をたった頃には活気のあった電車も富山に向かうにつれ、乗客も減ってゆく。
ただ、高岡を過ぎる辺りから乗客も増えてくるだろう、と思っていたのだが、まぁまさにその通りであって、高岡駅ではかなりの乗客が乗りこんできて、そこからは車内の活気も幾分か戻ってくる。
電車が富山に到着すると、乗客の7割が電車を後にし、今度は乗りこんできた乗客で半分近くが埋まる。輪駆の道連れは、途中の駅で乗りこんできて、富山でも降りなかった(気持ちだけは)若そうなおばさんだ。
今日は天気も良い(雲は少し多いが)ので高山連峰が綺麗に見える。
トゲトゲとした稜線を見ていると、遠くへ来たんだなぁ〜と改めて思いださせてくれる。
東滑川の駅に近づいたとき、久々に海が見えた。沖のほうには能登半島が見える。昔はあちらがわから立山を見ていたのかと思うと何か懐かしさと、嬉しさを感じる。
電車は魚津に到着し、また乗客の半分を入れ替える。道連れのおばさんも降りて、BOXシートは再び一人席に。快適ではあるが、少し寂しいなぁ〜(あまりおばさんとかばっかりだと困るけどね)。
親不知は、まさに天下の剣。海側キワキワまで迫ってくる崖の中の小さな平地に、鉄道線、国道、高速道路の3路線が並んでいる(といっても国道と高速道は海の上にあったのだが)。この辺りはトンネルが多いために、輪駆も少しウトウトしてしまう…

 そして、13時40分頃、糸魚川駅に到着。ここから輪駆は北陸本線に別れを告げ、大糸線に乗りかえることにする(これは金沢を発つ頃に決めたことだが)。
が、この糸魚川駅では何と乗り換え所要時間が約1時間半、いや、もうほとんど2時間であるといっても過言ではなかろうか(南小谷行15時12分発)。
久々の長い待ち時間だから一寸面食らうが、実際2時間なんていうのはあっという間。
とりあえず事前に購入しておいた「ますの寿司」を駅前(駅の真正面にある小さな芝生)で豪快に食らい、後はあたりをぷらぷらしたりとか、駅構内でボーっとして残りの時間を過ごしているとあっという間に出発時間になるわけだ。
しかし、この大糸線、路線の割には南小谷、信濃大町と2回乗り換えなければ終着の松本につけないというのがなかなかにくい。さらには、ちょっと行ってみたかった「フォッサマグナパーク」(根知駅下車)にも、どうやら寄れそうになさげ(降りたら、次の列車が2時間後)…ちょっとローカル線をなめてかかってたようだ。
(こんなことは時刻表さえ見てれば楽勝で防げるんだけどね、それがまた面白いのよ)

 で、列車自体は14時40分頃入線。帰省に都心へと向かう特急に乗る家族連れなど(1番ホーム)を後目に人もまばらな4番ホームへ。待っているのは1両編成の小さなディーゼルカー。そして、乗っているのは「旅人」な人か「鉄」な人たち…輪駆はというと…どっちも、かな?
とにかく写真撮ってる人が多い。まぁ、最近はローカル線が脚光を浴びているっていう背景もあるし、別に悪いことじゃないと思うぞ。俺も撮るしな(笑)
発車時間が近づくにつれ、乗客も増えてくる、ディーゼルエンジンの細かい振動が今まで乗ってきた電車とはまったく違う感覚に輪駆ら乗客に与えてくれる。
そして、今回の相棒はおじさんだ、しかも、今回の旅で初めて話し掛けてくる。
で、話してみると結構面白いおじさん、いや、もう65ったからおじいさんか?結局糸魚川〜南小谷〜信濃大町〜松本の間(間の駅は乗換駅)、ずっとおじさん(やっぱりこっちのほうがしっくり来る)と話してました。
何の話をしたかって?そりゃぁもう色々な話ですよ。
おじさんの武勇伝から、旅の話から、恋の話まで…輪駆はこういうとき、基本的に聞く側です。だって、そっちの方が断然面白いもの。
何せ2時間40分ほど時間があったわけですからね。有意義な時間がすごせちゃいました。
でも、どうせなら可愛い女性の方が嬉しいな…と思うのだがこっちから話しかける勇気もないしなぁ〜
ホント、そういう出会いってないもんですかね(笑)

 で、そのおじさんとは松本駅で別れ、そこからは一人で諏訪湖のほうへ向かう。
まぁ、諏訪湖に行ってみたかったのも一つなのだが、今日は運のいいことに諏訪湖で花火大会が行われるというのだ。折角だし、それはちょっと観てみたいな、何せ一石二鳥じゃないか(諏訪湖も見られて、花火まで!!)。
ちなみに輪駆は、花火大会というものを見に行ったことは今まで一度もない。
何せ人ごみが好きな方じゃないし(雑踏は好きだけど、人ごみは嫌い)、まぁ、遠くで見たってそれなりに楽しめるでしょ、という思いがあったからだ。
そんな花火大会をはじめてみるのが、まさか人生初めて訪れる信州長野は諏訪湖で、しかも一人でなんて…寂しすぎるぞ、おいっ(笑)
電車の中は、信濃大町から少しずつ浴衣の人間なんてのも乗っては着ていたが、松本、塩尻を過ぎるとさすがにそういう人も多くなってくる。
そして、諏訪湖の最寄り駅、上諏訪駅に付いた頃には、電車の中はぎゅうぎゅう詰め。
ま、輪駆は座ってたからなんの苦もなかったけど、これから人ごみの中を荷物背負って会場まで歩くことを考えるとちょっと気が重い。荷物、コインロッカーかなにかに預けるべきカナ?

 改札を抜け、駅構内から出る時にまず第一発(花火がね)。
回りから歓声が上がり、群衆の足も速まる。
輪駆も、そこそこに急いで会場の方(だと思われる方)に向かう。諏訪湖岸に着いた(と思われる場所)に来ると、もう人は一杯だ、それぞれ、花火見物を楽しんだり、久々の友人との再会に興じたり、愛する人との二人の時間を過ごしたりしている。
輪駆はそんな群集を掻き分け、人の少ない方へといってみる。
とはいえ、花火は湖上で行われているから、結構歩いたなーと思っても、花火の良く見える湖岸には常に人が居るわけで、なかなか諏訪湖の姿を拝むことが出来ない、まぁ、実際湖面を拝めたとしても、夜だから何も見えない真っ黒なんだけどさ…

 それでも駅から離れるにつれ、人は減ってくる。ようやく落ち着けそうな場所を見つけて、ボーっと花火を見ている…と、なんだか無性に凹んでくる。
「俺、なんでこんなとこで一人花火見てるんだ…」
「これやったら一回くらい彼女と花火見に行くべきやったなー」
一人で時間を過ごしていると、とにかく悪いことばかり考えてしまうのが人の常だが、とくにこうやって、何事もなくボーっとしている時は、その傾向がやたら強くなる。
別に、列車に乗って移動しているときはそんなでもなかったのに…
ま、先のおじさんに、彼女のこととか聞かれて、そこでちょっちだけ凹んだことも大きな要因なのだろう。
とにかく、じっとしていたらどんどん凹んでくるので、良い場所を探すため、そして食べ物のにおいに負けないため、さらには湖面を拝むためにちょろちょろと動きまわる。
そうこうしているうちに、花火大会もいよいよクライマックス。諏訪湖名物の花火(名前までは聞かなかった)が上がる。いや、上がるという表現はおかしいか、何故なら、その花火は湖面すれすれで破裂するのだ。だから、我々に見えるのは大輪の上半分のみ。その代わり、普段は上空で上がる花火が、僅か2、300m先で破裂するのだから、その衝撃は普通の花火の倍以上になる。
まさに空気が振動するという、そんな感じの花火だった。
コレに関しては、観る価値があったと思うな。

 そして、花火大会が終わると、人の流れは駅方面に向かう、ただ、輪駆はまだ諏訪湖を拝むという大きな目的が残っている(一応花火大会中に何度か見れはしたものの、まだ足りない)。というわけで人の流れに逆らって、湖岸に向かう。
ようやく着いた諏訪湖岸では、もう帰り支度する人や、まだのんびりしていたいという人でまだごった返してはいたが、それでも座る場所を見つけ、ひとり湖面を眺めてボーっとする。
30分位湖面を眺め、楽しんだ後、そろそろ駅に戻ろうかな、と一人立ち上がり、駅方面に歩いてゆく、と、そこにあったのは驚きの現状。
なんと、駅に向かう人の列が大渋滞となっているのだ。それも、電車に乗る列というわけではなく、駅構内に入る人の列なのである。ホームが狭いのと、臨時列車を走らせても10分に1本しか電車が来ないために、際限なくホームに人を入れているととんでもないことになるために、駅構内の入り口で入場制限をして、円滑な人の流れを生み出そうということなのだろうが、その駅構内に入る人の波が約5、600mは続いているというのはいかがなものか…
でも、輪駆は電車に乗らないととりあえずどうにもならない(この諏訪湖岸で眠るなんてのは確実に自殺行為的な寒さなのだ)ので、その列に並ぶ…
並んでいるとまた回りの楽しそうなあの祭り後の雰囲気に圧倒され、どんどん凹む。
ので、友達なんかに電話したりして、何とか寂しさを紛らわせる…
(電話の相手してくれた人、ありがとうございます)

 そうしているうちに、何とか電車に乗れる。とりあえず岡谷駅を目指して、その辺のネットカフェかなにかに入ろうかな、と思っていた。
が、岡谷駅の風景を車窓から見ていると、「これはヤバイ」と思い始める。何せ、暗いのだ。
慌てて目的地を松本に定める。松本なら大きな町だし、ネットカフェ位あって当然やろ、と思う。
松本に着いたのはもう23時を過ぎた頃。
まだ、宿泊先はもちろん、夕食だって食べてない。「メシより宿」とはいうがまずはメシだろ、と思って辺りをぷらついてみると、全国展開のファストフードが2,3店と、地元のラーメン屋が数点。
迷った挙句、とりあえず地元のラーメン屋へ…
しかし、あんまり美味くはなかったなぁ、ま、松本だししょうがないか。

 で、いよいよ宿である。ネットカフェなんて歩けばすぐ見つかるだろ…と思っていた。
が、その考えが10分ほど歩いて甘かったことに気付く。
っていうか、12時を過ぎてくると、駅前以外はもう真っ暗なのだ。
開いてる店を探す方が大変な状況、当然、ネットカフェなんてありゃしない。
どうやら少し松本を勘違いしていたらしい、駅前はホテルが立ち並び、なかなか豪華な面構えをしていたが、一歩駅前を離れるともう、コンビニくらいしか店がない。
いや、それでもどこかにあるはずだ、と、必死になって辺りを探す、いや、辺りだけじゃなく松本城の周辺まで歩いて探すのだが、どこにもそんな店はない。まるで、松本市民はインターネットしてねぇんじゃねぇか?と疑いたくなるくらいに、だ。
結局松本の町を1時間位さまよい歩いてみたものの、収穫一切なし。
そして、1時を過ぎると駅構内は閉鎖されてしまう…
外は異常なくらい寒い(多分17度、いや、それよりも下なのでは?だって、1時間歩いても汗一つかきゃしねぇんだもの)ので、こんな風の吹き抜ける駅の軒下で寝ようものなら、多分死ぬ。
それだけは避けなければ、と思うのだが、ホテルに泊まるのは気が引けるし、何せ現時点での所持金は僅か¥5,000ちょっと。ホテル泊まった瞬間に文無し決定である。
生を取るか、金を取るか、もしくは住み心地の良い場所を探してあてのない旅に出るか…
輪駆が選んだのは3番でした。
きっと、国道(√19)沿い歩けばなにかあるだろ。
またしても軽い考え、でも、人間ってそんなもの。
というより、じっとしていたら寒いのだ。ただ、歩いていれば寒さも和らぐ。
だから、輪駆は歩くことを選んだに過ぎない、それだけだった。

 ということで、√19とかかれている看板を目指して南へ歩く。
店の明かりも全くない、ただ街頭の明かりだけを仲間にして、南へ歩く。
しかし、松本くらいまで来ると、さすがに星が綺麗だ。
星の光を頼りに、南へ…
そして、3km位歩いたのだろうか?ようやく車窓から見えた風景に出会う。
ココから頑張って歩けば…そういえば駅があって、そこからもう少し歩けば温泉(銭湯)があったっけ?で、その次の駅の近くには健康ランドがあるって言ってたな、最初からその健康ランドにいっておけばそんな苦労もしなかったのにな、人の厚意には甘えるべきだな…
そんなことが頭をグルグルと回りなから、気がつけば南松本駅到着。

 駅の周囲こそ閑散としているが、駅はさり気に無人駅。そして、入り口はばっちり開いてます。
そして、今日は諏訪湖、松本と異常なまでに歩いていたので、疲れもピーク(汗はほとんどかいてないが)。
と、言うわけで…
「ここを、キャンプ地とする」(駅だけどさ)
ということで荷物を置き、ベンチへ。
でも、またベンチがアレなんだよね、肘置き付き。このベンチは横になって眠れないからもう辛いのなんのって。
それでも、せめて上半身だけでも横にしようと試行錯誤して、なんとか思い通りの寝相を作る。
そして睡眠…入り口は締めることが出来たので、それだけでも全然違う。
風呂に入るときに使おうと思って持ってきたバスタオルを上半身にかけて、とりあえず眠る…
とはいえ、結局1時間寝たところで一度目が覚め、もう一度頑張ってはみたものの、今度は30分で目が覚める。体は痛いし、何せ寒いのだ。
また、コレだけ寒いのにもかかわらす、自販機は冷たいジュースしか置いてないのもツライ。
それこそ「ヨーロッパリベンジ」での車中の大泉洋氏の気持ちが良く分かった、
そんな南松本駅での一夜であった。
ただ、「生き延びた」
それが唯一の収穫ではなかっただろうか。

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