二胡について
〜二胡の演奏〜
基礎的なことだけ・・・(^^;;
日記を理解してもらえる程度の、ごく簡単な説明です。
専門的な内容は、専門家に聞くか、専門書でお調べ下さい。
演奏の姿勢
まず椅子に座ります。
皮面を右にして二胡を左腿の付け根に乗せ、左手指で弦を押さえて音階をとりながら、右手に持った弓で弦をこすり音を出します。(左利きの人はどうするのだろう(謎))
慣れないうちは左手指と右手とのバランスに悩みます。
でもピアノよりは簡単かも。足は使わなくていいし(笑)
近年、華やかな立ち弾き奏者の影響で立奏スタイルに憧れている初心者も多いですが、初心者であればこそ、最初は腰を据えて取り組みましょう。
立って弾くのは二胡を自在に操れるようになってから、です。
なお立奏は、旅芸人や民間奏者の昔からの奏法の一つであり、現代の華やかな立ち弾き奏者たちが生み出したオリジナル奏法というわけではありません。
映画『ラストエンペラー』にも、胡琴を弾きながら行進する民衆たちがちらっと登場します。
kanaによる立奏体験談はこちら。
【過去日記2005/03/26-03/30】
二胡の楽譜
二胡は五線譜ではなく数字譜を使用します。
初めて見るととまどいますが、二胡の音域は三オクターブ程度なので、慣れると割とラクです。(私にとっては。)

数字譜の読み方について詳しくは、市販の日本語教本などをご覧下さい。
二胡の調弦(チューニング)
二胡には外弦・内弦の2本の弦がありますが、外弦の糸は内弦の糸より細くて短いので、内弦より外弦の方が高い音が出ます。
通常調弦するときは、弦に指を置かない状態で
内弦:D (ピアノの鍵盤上では「レ」の音)
外弦:A (ピアノの鍵盤上では「ラ」の音)
に合わせます。

弦のどこにも指を置かないで、ただ右手で弓を押したり引いたりするだけの状態を「開放弦(空弦)」と呼びます。
一部の特殊な曲でない限り、調弦するときは、必ず開放弦でD-Aに合わせます。
調弦は、弓で開放弦を弾きながら内弦軸、外弦軸を回し、弦の張り具合を変えることによって合わせます。
二胡の調
二胡で言うところの「調」とは、ひとまずは「運指の型」だと考えて下さい。
音楽理論的な勉強は後からで構いません。私もいまだに理論はよく分からぬままやってますが、個人で楽しんでいる限り困ることはありません。
二胡にはD調、C調、♭B調、A調、G調、F調の、6つの調(運指パターン)があります。
初心者がまず習うのはD調、次にG調、F調の運指です。
C調、♭B調、A調は中級以降で習います。
二胡の楽譜は数字で書かれています。
D調は内弦開放弦を「1(ド)」、外弦開放弦を「5(ソ)」とみなす運指です。
G調は内弦開放弦を「低5(低ソ)」、外弦開放弦を「2(レ)」とみなす運指です。
F調は内弦開放弦を「低6(低ラ)」、外弦開放弦を「3(ミ)」とみなす運指です。
開放弦の音を楽譜上そうみなしているだけであり、実際のチューナーの測定音(実音)とは違います。
チューナーは、二胡が正しく調弦されている場合、内弦開放弦はD、外弦開放弦はAを示しているはずです。
西洋音楽に慣れている人や、五線譜の読める人、絶対音感のある人は、
「実際はDの音なのに、運指パターンによってその音を1(ド)とみなしたり、5(ソ)とみなしたり、6(ラ)とみなしたりする」
という二胡の楽譜の考え方(移動ド式)に、大きな戸惑いを感じるそうです。
でも、これは西洋音楽の「移動ド唱法」の理論を思い出すと、理解しやすくなるらしいです。
左手の運指と把位(ポジション)
二胡は左手の指で弦を押さえることによって音程をとります。
弦の上の方の位置を指で押さえると低い音が出て、下の方の位置を押さえるに従って音が高くなっていきます。
基本となるD調運指では、開放弦で弾いたとき、内弦が「1(ド)」、外弦が「5(ソ)」となります。
次に千斤(弦を軸に結びつけているヒモ)から数センチ下を左手人差し指(一の指)で軽く押さえ、弓で内弦をこすると「2(レ)」、外弦をこすると「6(ラ)」の音が出ます。
同様に人差し指から数センチ下を中指(二の指)で軽く押さえると、内弦で「3(ミ)」、外弦で「7(シ)」の音が出ます。
さらに中指から数センチ下を薬指(三の指)で軽く押さえると、内弦で「4(ファ)」、外弦で「高1(高ド)」の音が出ます。
最後に薬指から数センチ下を小指(四の指)で軽く押さえると、内弦で「5(ソ)」、外弦で「高2(高レ)」の音が出ます。
まとめると
| | 内弦 | 外弦 |
開放弦 | → | 1(ド) | 5(ソ) |
一の指(人差し指) | → | 2(レ) | 6(ラ) |
二の指(中指) | → | 3(ミ) | 7(シ) |
三の指(薬指) | → | 4(ファ) | 高1(高ド) |
四の指(小指) | → | 5(ソ) | 高2(高レ) |
となります。
内弦四の指の5(ソ)と外弦開放弦の5(ソ)は同じ音です。
内一から内四で2(レ)〜5(ソ)、外一から外四で6(ラ)〜高2(高レ)の音を出すとき、動かすのは指だけで、左手自体は千斤付近に置いたままです。
このときの左手の位置を第一把位(または上把・第一ポジション)と言います。
高3(高ミ)以降の音を出そうと思ったら、左手を第一把位の位置から10センチほど下げます。
この第一把位より下げた手の位置を第二把位(または中把・第二ポジション)と呼びます。
D調第二把位では、
| | 内弦 | 外弦 |
一の指(人差し指) | → | 4(ファ) | 高1(高ド) |
二の指(中指) | → | 5(ソ) | 高2(高レ) |
三の指(薬指) | → | 6(ラ) | 高3(高ミ) |
四の指(小指) | → | 7(シ) | 高4(高ファ) |
四の指(小指) | → | 1(ド) | 高5(高ソ) |
となります。
第二把位の下は第三把位(または下把・第三ポジション)です。中級以降の曲になるとよく使用されます。
(初心者のうちはあまり使用しませんので割愛します。)
なお、G調は内弦を「低5(低ソ)」、外弦を「2(レ)」とみなします。
よってG調の指使い(第一把位)は
| | 内弦 | 外弦 |
開放弦 | → | 低5(ソ) | 2(レ) |
一の指(人差し指) | → | 低6(ラ) | 3(ミ) |
二の指(中指) | → | 低7(シ) | 4(ファ) |
三の指(薬指) | → | 1(ド) | 5(ソ) |
四の指(小指) | → | 2(レ) | 6(ラ) |
となります。
D調第一把位の曲というのは「1〜高2(ド〜高レ)」、D調第二把位の曲というのは「1〜高5(ド〜高ソ)」の音域の曲のことです。
G調第一把位の曲というのは「低5〜6(低ソ〜ラ)」、G調第二把位の曲というのは「低5〜高1(低ソ〜高ド)」の音域の曲のことです。
各調の運指について詳しくは、教本などに載っている運指一覧表をご覧下さい。
二胡の換把(ポジション移動)
演奏の途中に把位を換えることを換把と言います。
例えば、D調外弦で演奏しているとき、6(ラ)の次に高3(高ミ)の音を出したいと思ったら、第一把位から第二把位に左手を素早く移動させないといけません。
ところが、第一把位はほぼ千斤のあたり、という目安があるのですが、第二把位・第三把位には左手を置く目安が何もありません。
慣れるまでは位置感覚が大変ですが、これに慣れてうまく換把ができるようになると、二胡特有のうねるような音色が出ます。
(慣れないうちは、弦に油性マジックで印をつけたろかと思った(爆))
数字譜と五線譜、移動ド式と固定ド式
この項は、特に意味が理解できなくても困りませんので、初心者さんは読み飛ばしてくださって構いません。
私も理論は勉強中なので、少しあやふやです^^;
民族ごとに民族楽器がある以上、民族ごとにいろんな種類の楽譜が発展して存在しているのは当然です。(民族ごとに音階も違うそうですしね。)
日本の邦楽器の一部は縦書きの難しい楽譜を使うようです。また、ハーモニカや大正琴は数字を使った数字譜を使っているようです。
二胡で現在標準で使用されている移動ド式数字譜は、日本から中国に伝わった数字譜を元に近年改良されたものと言われています。
実音と移動ド式数字譜の関係
↑このように、二胡の数字譜では調によって、ド(1)の音がDになったりGになったりFになったり、と移動します。
読み方によってド(1)の音が移動する楽譜のことを「移動ド式」と言います。
(正確には、楽譜の読み方よってド(1)の音を移動させる考え方を「移動ド式」と言います。)
現在の音楽の主流は西洋音楽の五線譜であり、五線譜は「固定ド式」が標準です。
(五線譜でも移動ド式の読み方はあるのですが、正式に理論を習わないとなかなか出会わないそうで、義務教育の音楽の授業ではたいてい「五線譜=固定ド式」と扱われているのが実状だそうです。)

「固定ド式」では、上の図のように「ド=C」で固定されていますので、「ドと言えばC、Cと言えばド」を当然と思う人たちが世の中には大勢おられるでしょう。
そのような人たちには、数字譜の移動ド式(ドがDになったりGになったりFになったり)は、最初はなかなか馴染みにくいかもしれません。
でも、要は慣れです。
移動ド式数字譜だと、難しい理論も必要なく、運指パターンを数種覚えるだけでたいていの曲は弾けます。
臨時記号が出てくることもほとんどありませんし、転調させたいときには運指パターン換えるだけで済みますし(例えばF調運指で弾いていたフレーズをG調運指で弾くとか)、音楽理論の勉強をした事のない人には、実はこちらの方がかえってとっつきやすいのです。
もちろん欠点もありますよ。五線譜を使う他の楽器と合奏しづらい、ってこととか。これが一番大きいかな。
移動ド式と固定ド式、数字譜と五線譜、どちらが優れているかを論じるつもりはありません。
どちらも一長一短があり、特徴を理解して自分がなじみやすい方を選択して好きに採用すればよいはずです。
ただ、最近の固定ド式二胡譜には、「移動ド式は初心者には難解で上達を阻むもの」などというように記述されているものが多く、これによってこれから入門してくる多くの初心者さんが移動ド式に対して誤った先入観、食わず嫌いによる嫌悪感を持ってしまうのではないかと、少し心配しています。
(固定ド式二胡譜は、日本のとある一派(教室)が開発したオリジナル譜のようです。日本でも、たいていの教室では、中国に倣って移動ド式数字譜を使用しています。)
日本で発売されている二胡譜については「日本語教材・楽譜」ページをご覧下さい。
五線譜から移動ド式数字譜を作成する手順も紹介しています。
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