二胡について



「二胡」を演奏するにあたり必要な用具、揃えておきたい小物や便利グッズを紹介します。
普通の楽器店では手に入らないものもあるので、常に民族楽器店や中国雑貨を扱ったお店、周りで中国旅行をしそうな友達の情報を手に入れておきましょう。

(二胡購入後の具体的なセットアップ手順は「初歩の初歩」ページをご覧下さい。)




二胡の用具


用具名は教本や参考書によって異なっている場合もありますので最初にご了解下さい。
これは人(店、地域、音楽院)によって呼び方が異なっていたり、中国語の漢字を日本語のどの漢字に当てはめるかによって変わるからです。



二胡本体【内弦軸、外弦軸、琴杆、琴筒、琴托、琴皮、デンペン】
基本的に交換不可。修理・交換は専門家に委ねること。
必要消耗品【弦(内弦・外弦)、千斤、琴馬、控制綿、弓、松脂】
好みや音色の追求のために自由に交換可能。
便利グッズ【上記以外のもの】
あれば便利的な品。必要に応じて好みで用意しよう。


二胡の用具は、上の3種類に分類できます。(ってか、私が勝手に分類しました^^;)
個別用具の詳細説明は、下の表をご覧下さい。




【二胡本体】
二胡本体
弦軸(糸巻き・ペグ)、琴杆(さお)、琴筒(共鳴胴)、琴托(台座)、琴皮(蛇皮)、デンペン等から構成される。(カッコ内は日本人愛好家の間で使用されている一般呼称。)
北京製・上海製・蘇州製で、形状や素材、音の響きが若干違うらしい。
自然素材の楽器なので弾き込むほどに音色が深くなる。
(写真の二胡は北京製、弓等の「必要消耗品」装着済み)
デンペン
二胡本体に含まれるが、同時に消耗品でもある。
弓の摩擦から琴皮を守るためのものなので、弾き込むうちに弓でこすれて摩耗してくる。
あまりに薄くなったら上から補強テープを貼ったりデンペン自体を張り替えたりすることが必要。そうなったときは専門家や専門店に相談しよう。
(写真の中の、白く細長いのがデンペン)



【必要消耗品】

内弦がD弦、外弦はA弦。内弦のことは里弦とも言う。
メーカーによって太さや弾力に若干差があり、音質や弾きやすさが変わる。
不意に弦が切れた時のことを考え、常に換弦(予備弦)を用意しておくこと。
(写真は各メーカーの換弦の外袋)
千斤(千金)
紐千斤が一般的だが、金属製、樹脂製、微調ネジ付き、などの種類がある。
千斤の位置を高くすると弦上の指間隔が広くなり、位置を低くすると指間隔が狭くなる。自分の手の大きさ・指の長さを考えて自分に合うように調整すること。
(写真は紐千金)
琴馬
蛇皮の中央に置き、弦の振動を蛇皮に伝えるための駒。
素材や形状で二胡の音色が変わるので、自分の二胡の音色が気に入らない場合は、まずは琴馬を換えてみること。
(写真は蛇皮の中央に置かれた琴馬)

(控制綿) 
琴馬の下あたりに装着するスポンジや厚手の布。
皮に当たる弦の振動を押さえることによって雑音を軽減する働きを持つ。
(「蟄」の虫を土に換えた漢字を使うのが正式名称ですが、日本語フォントにありませんので、このサイトでは巫謝慧さんの教本に倣って「控制綿」と表記しています。)
(写真の控制綿は厚手のフェルト製)

竹棹に馬のしっぽの毛が張ってある。
通常は2本の弦の間に弓毛が挟み込んであり、弓の交換以外は二胡から取り外さない。
北京製品と上海・蘇州製品では形状が少し異なる。
(写真は北京弓の持ち手側)
マツヤニ
松脂(松香)

演奏前に弓に塗る(弓毛に松脂のかたまりをこすり付ける)。塗る量が少ないと弓が滑って音が出ず、塗りすぎると弓が粘ったり、雑音の原因となる。
二胡用の上質な松脂は日本では手に入りにくく、その場合バイオリン又はチェロ用松脂でOK。
松脂アレルギーの場合は樫(オーク)製のものや合成樹脂(カーボン)製のものを探すとよい。
(写真の松脂は中国製)



【便利グッズ】
調音器
チューナー

電子チューナー、音叉、調子笛などいろいろあるが、初心者はランプや針の揺れなど目で見て確認できるタイプの電子チューナーが使いやすい。
原則として手前の弦(内弦)をD音、向こう側の弦(外弦)をA音に合わせる。
(写真は電子クロマチックチューナー)
微調器具
機械式弦軸(ネジが仕込んである金属製弦軸)ならば調弦しやすいが、摩擦式である木製弦軸の場合、微調器具を取り付けると調弦しやすくなる。
微調器具の中で一番入手しやすく装着も簡単なのは「分数ヴァイオリン」用アジャスター。他にも微調ネジ付き金属千斤を使用する方法や、千斤の上方あたりの弦と琴杆を糸で巻きその糸を動かすことで微調する方法などもある。
(写真は「分数ヴァイオリン」用アジャスター)
長琴馬
(長馬)

二胡を弾かないときは弦と皮の間に長琴馬を差し込んでおくと皮が痛まない。単品では売っていないことが多く、通常鉛筆を琴筒幅に切って作る。
また長琴馬をつけたまま弾くと音が響かないので、大きな音を出せないときに弱音材として使う。
(写真は琴馬の上に差し込まれた長琴馬)
弱音器
二胡用定番弱音器というのは今のところないが、楽器店によってはオリジナルの弱音器を作成・販売しているので、いろいろ探すとよいのが見つかるかも。
長琴馬を差し込む、琴馬をクリップで挟む、ヘアピンで弦を挟んで振動を押さえる、琴馬の上の皮面に消しゴムをおくなど、自分で工夫している人も多い。
(写真は蛇皮の振動を押さえて弱音させる弱音器)
本体滑り止め
服装や椅子の高さによって演奏中二胡が腿から滑り落ち易い場合、ゴムシートなどを腿の上に広げてその上に二胡を置くとよい。面倒な場合はシール式の薄いゴム材を二胡の琴托の下に直接貼り付けると便利。(音色に影響はない。)
ホームセンターやカー用品店でゴム材を探すか、邦楽器店で三味線用滑り止めシートを購入しよう。
(写真は琴托の下に張り付けられたゴムシート)
左手の汗止め
塗装(ニス)仕上げの二胡の場合、左手に汗をかくと換把しにくくなるので、ベビーパウダーや制汗スプレーなどを左手(人差し指と親指の間)にまぶすと演奏しやすくなる。
ただし薬剤が弓毛に絶対かからぬよう十分注意すること。(毛にかかると音が出なくなることが有り。)
(写真は制汗スプレー)
柔らかい布
(ハンカチ)

演奏後、弦についた松脂や皮脂をぬぐう。(弦の錆び防止)
また二胡をしまうとき、弦に弓の松脂が付かないように、弦と弓の間に布を挟んでおくとよい。
黒っぽい服装で二胡を弾くと服に松脂が付いたとき目立つので、黒系の衣装の時は腿の上にハンカチを広げてガードしておこう。
(写真は弦と弓の間にハンカチを挟み込んだところ)
弦軸調整剤
木製(摩擦式)弦軸で、弦軸の回り具合が悪く調弦しにくいときは、弦軸に回転調整剤を塗ると、微調整しやすくなる。
弦軸が固い時の潤滑剤には市販のペグコンポジション・干からびた石けん・3B以上の柔らかい鉛筆の芯等、弦軸が滑りやすい時の滑り止めには黒板用チョーク(色は無関係)・松脂の粉等が良いらしい。
必ず様子を見ながら少しずつ弦軸に付けること。
(写真は市販のペグコンポジション(peg composition)。ペグソープ(peg soap)、ペグドープ(peg dope)とも言う。)
メトロノーム
一定のリズムを刻んでくれるので、楽譜指定の速度を確認したいときや、揉弦練習・早弾き練習のときにあると便利。
(写真は電子メトロノーム)
二胡ケース
<ハードケース>型くずれしない木製や金属製などケース。頑丈なので保存や長時間の移動向き。
<セミハードケース>主に発砲スチロール製の軽量ケース。肩紐付きが多い。
<ソフトケース>軽くて持ちやすく肩紐付きだがハードケースに比べれば衝撃に弱い。短時間の移動の時に重宝。
(写真はセミハードケース)
立奏ホルダー
立ち弾きするためのツール。ベルト(自前で用意)にホルダーを引っかけ、その上に二胡を置いて腰のあたりで固定する。
各専門店でいろんなオリジナルホルダーが販売されているが、二胡(琴托)の形状によっては取り付けできないものもあるので、購入前によく確認すること。
(写真は立奏ホルダーに二胡をセットして立ち弾きする姿)
教材
教本や映像教材(ビデオ・VCD・DVD等)がある。
最近は日本人向けの教本・教材が日本の出版社から発売されるようになった。(「日本語教材・楽譜」のページ参照)
中国製の教材は民族楽器店や二胡教室に問い合わせるか、中国旅行の際に現地で探すとよい。(中国の考級教材は第一〜第十級となっており、第一級が初級、第十級が最上級である。)
(写真は中国・人民音楽出版社の考級教本)
譜面台
軽いものは持ち運びに便利だが、重い教本(ぎっしり綴じられたファイルとか)を載せると不安定になるので、購入するときはそのあたり考慮しよう。
(写真は折り畳み式譜面台)



[index]