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+南野秀一+


眉目秀麗、その他賛辞は彼にふさわしくあるでしょう。
イチオシは13巻の海藤との頭脳戦。近来稀に見る名勝負でした。
誰が見てもうなるシーンだと思います。

賢いなあと思いました。
幽助には主人公という作者の大きなバックボーンが
ありますが彼にはありません。
それにもかかわらず彼にはなんと魅力の多いことでしょう。

頭のよさも顔の良さも、母親のために命をかけた芯の強さと儚さと
裏浦島をまんまと信じた彼の甘さすらも魅力でした。

心理描写も誰よりも分かりやすく、丁寧に描かれていました。
心情を追いやすいので見ていてそのまま感情移入できます。
それにもかかわらず、突発行動らしい行動もありません。
さすがは1000年以上生きた妖狐の魂と精神を持つ男です。

彼は長く生きてる分底知れぬ過去があるのでしょう。
鈴木の薬で覚醒するまで妖狐のときの性格がすっぽり抜け落ちていたんでしょうね。
今までとは対照的な台詞を発して、そのギャップにも驚きました。
ここまで蔵馬影響を与えたお母さんの存在もひどく感心です。

いずれにしても美系ですね。

お母さんが病気になるまでずっと心の底では妖狐を意識してたんでしょうね。
一度は人間であることより妖怪として出て行こうとした蔵馬。
年を重ねても割り切ることもできずに、人の姿であってはいても
自己はずっと大事にしてたんですね。
その気持ちすら母親に命にかえて差し出そうとしました。




_蔵馬の進路について

大学進学せずに義父の会社に就職したあたりが彼の生き方のかっこいいところだと思います。このことについて意見が割れてましたがわたしは蔵馬の先見の明に感動!
今や学歴より即戦力の時代。資格や能力を持つ人は強いのです。
彼は元盗賊。隊をまとめる力はお手の物。またその賢さは折り紙付なのです。

中小企業で一番足りないのは人材です。おりしも大企業人気で安定を求めるならそちらへ行くでしょう。小さい会社は不況が来ると仕事が来ないと思いがちですがそれは逆。
人員削減や残務処理、請負などが無償になったり、立場は滅法弱く仕事は増すのにお金はたまらない状態です。
正社員は保障がいり、アルバイトも雇いにくく、後継者も悩みどころなのです。
中小企業の場合は取締役から見たら世襲制が安心できるでしょうね。
また彼の妖狐の一端から、鶏口となるも牛後となるなかれ。でしょう。
大企業に入れば参謀として活躍はできますがね。

才能がありながらおそらく黒衣に徹し、見事に会社をのし上げていくことでしょう。
家族円満を保ちながら。
お母さんとその夫を立てた所以でしょうね。自分の力を試してみたい部分もあるでしょう。
中小企業は可能性を秘めているともいえます。蔵馬なら大丈夫だと思います。

大学で研究職を求めるのもありでしょうが、いずれ魔界は人間界と交わっていくでしょうし、その優れた技術などが流出してくる限りには物足りないでしょうね。どこにいっても彼の才覚ならうまくやるでしょう。家の仕事を選んだ彼がかっこよいです。

_蔵馬の今後

人間としての体に妖狐の力が戻るという表現はたいへん曖昧です。
南野秀一の肉体がそのまま年を重ねるか、妖狐のごとく年を取らないまま長らえるか、
はたまた一度人間の肉体を追えて、
再び妖狐に覚醒するかはっきりしたことはいえません。

それでも彼も幽助同様人間として生きる基盤を作り、
その生活を守るために必死なのです。

浦飯幽助でも語りましたが世の中が妖怪も受け入れ態勢なのでこのことに関しては問題はないでしょう。彼の心を射止める人物があらわれるかどうかのほうが気になるところです。