ライブスチームの運転


188. 倶楽部のメンバー宅訪問  (その7)  (H29.7.12掲載)

  (その6の続きです)

C12形蒸気機関車
C12
旧国鉄においては小型タンク機のC12が、模型の世界では、威風堂々 としています。


C12
シリンダー前部をアップしてみます。 シリンダー安全弁()が見えます。 小型機ですので、ピストンに尻棒はありません。それゆえ、大型機ではシリンダー安全弁の上にある、 尻棒案内は有りません。


C12
オーナーさまに運転室の屋根を取り外していただいています。


C12形蒸気機関車の運転室
C12
C12の運転室を見ていきます。C56の運転室と似ています。 が、よく見ると少し違うところも見受けられます。それでは、詳細に見ていきます。

@:フィードバックバルブ(軸動ポンプからボイラーへの給水量の調整弁)
  右に回して閉めると、水タンクに戻らずボイラーに入ります。 走行中、ボイラー圧力計と水面計を見て、適宜操作(開閉)します。C56の運転室と違って、 機関士席の後ろの敷居?がありませんので、回しやすそうです。

A:ネジ式逆転機
  実機と同様のネジ式です。クルクルと回します。 C56では、操作し易いよう、少し横にずらしてありましたが、C12は実機同様のまっすぐです。

B:目盛板
  指針(目盛計)が上方にあると後進で、下方にあると前進でしょうか。

C:ブレーキ用の蒸気バルブのようです。

D:水面計
  ガラス管の径が太いほど、水位が見易いと思います。

E:軸動ポンプの圧力計
  これを装備している機関車はあまりないと思います。フィードバックバルブを閉めると圧力がかかって、針が振れるのでしょう。

F:ブレーキ弁
  実機同様のようです。

G:ドンキーポンプ(蒸気駆動の給水ポンプ)の作用コック

H:通風弁(ブロアーバルブ)
  使用する石炭によりますが、走行中も少し開けておいた方が蒸気圧を維持する上で好ましいと思います。 ただ、開け具合いは加減を要します。 開け加減が少ないと、石炭が活発に燃焼しません。逆に、開けすぎると蒸気を無駄に放出することになりますし、 通風により火室内の石炭が必要以上に活発に燃焼し結果、安全弁をふかしてしまうことになりますし、 それは石炭を無駄に消費することになります。なお、開閉度が同じであっても、ボイラー蒸気圧が高いほど、通風が強力になりますので、 通風により蒸気圧が上がってきたら、絞った方がよいと思います。 蒸気機関車の運転操作には、加減を要することが多く、 その適正度を追及することが大切だと思います。

I:インジェクターの作用コック
  インジェクターを使うと、すばやくボイラーに給水できます。 短時間に大量に給水されますので、水面計を注視し、コックを開けている時間に注意します。

J:シリンダー圧力計
  公式側(機関士席側)のシリンダーの圧力計です。

K:(テコ式)加減弁ハンドル
  実機同様のテコ式です。”グッと引く”と発車するのですが、 どの程度引くと動輪が回転しはじめるのか、加減を要します。 一気に引くと動輪が空転してしまいますので、緊張します。ネジ式との違いがここです。 ネジ式では一気に加減弁を開くことが出来ませんので、動輪を空転させてしまうことがありません。 逆に走行中においては、緊急事態発生時に、いち早く加減弁を閉めることがテコ式ではできますが、 ネジ式では出来ません。 ダイナミックに操作できるのがテコ式で、開き加減の微調整ができるのがネジ式です。 テコ式とネジ式、それぞれ一長一短だと思います。

L:焚口戸
  手動式です。実機通りです。

M:汽笛弁
  汽笛は2つあるようです。こちらは実機に近い音で鳴動するものと思われます。

N:ボイラー圧力計
  水面計と同様に重要な機器です。常に監視します。圧力計の針が上がっていきそうなのか、 下がりそうなのか、よく見ていると分かってきます。

O:汽笛のハンドル
  実機同様に機関助手席側に付いています。形状が実機と良く似ています。 下方に引くと鳴動するのでしょう。ただ、汽笛がスケール通りの作りですと、甲高い音になります。

P:発電機用の蒸気バルブかと思われます。

Q:圧縮空気の取り込み用バルブ
  外部のコンプレッサーより圧縮空気を取り込む時に開けます。その時以外は閉めておきます。

R:給油ポンプの圧力計
  シリンダーに給油する圧力を表示します。左右のシリンダー用にそれぞれ1個、計2個付いています。

S:ハンドポンプのレバー
  給油ポンプの圧力計の下方にハンドポンプ本体が見えます。普段使うことはあまりないかと思いますが、 緊急時に使用しますので、ちゃんと動作することを火を入れる前に確認しておきます。

〇21:シリンダードレンコックのレバー
  シリンダーが温まっていないとき、シリンダーに入った蒸気の一部が水に戻ってしまいます。 この水がシリンダー内に留まっていたのでは具合いが悪いので、 排出するため、このレバーでシリンダーの前後2つあるコックを開けます。でも、 長い時間開けると、ボイラー蒸気圧が低下してしまいますので、 必要最低限の時間しか開けない方がよいです。シリンダーが温まれば、発車時でも開けなくてもかまいません。 実機の最近の走行映像を見ていると、発車時でもなく、走行中にもかかわらず開けているところを見かけることがあります。 写真撮影/ビデオ撮影しているSLファンなどへの、機関士さまのサービスかと思います。


雨の中、ドレンをきって発車するC58形蒸気機関車
C58363
昭和63年5月7日午後、秩父鉄道波久礼駅を発車する、 熊谷行きのパレオエクスプレス です。 牽引するのは、C58363です。昼間ですが、雨雲が広がり薄暗くなっているせいか、 前照灯を点灯しています。蒸気で駆動するタービン発電機から前照灯に給電しているのでしょう。 よく見ると、その明かりが前方の線路を光らせています。 また、機関士さまが、シリンダードレンコック(シリンダー排水弁)を開いているのでしょう。 左右のシリンダーの前後から交互に排出された蒸気が絵になります。 午前の熊谷発、三峰口行きは上り勾配箇所が多く撮影場所も多いのですが、 午後の三峰口発、熊谷行きのパレオエクスプレスは上り勾配箇所が少なく、煙を出す箇所が限定されます。 波久礼駅は数少ない煙を出す箇所で、なんども撮影に訪れた場所です。


(その8に続きます)  


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