(その4の続き) 2B1 タンク機関車
33年ぶりに見る2B1タンク機関車です。オーナーは横浜ライブスチームクラブさまの会長さまです。
33年前、市ヶ尾のレイアウトでの本機の走行を私が懐かしんだため、わざわざご持参していただいたものと推察します。
ありがとうございました。 2B1タンク機関車は渡辺さまが設計された機関車で、「模型とラジオ」誌に製作方法が掲載されたようです。
また、科学教材社から車輪・ボイラーなどの一部の部品や、完成した下回り(シリンダー部、弁装置、先輪、動輪、従輪、
主連棒まで完全に作動するよう調整されたもの)が販売されていました。完成した下回りはたしか52,000円だったかと思います。
今はもう販売されていないかもしれません。
私は何年も前に「模型とラジオ」誌に掲載された製作方法のコピー(設計製作参考プリント)と、車輪(鋳物)を購入しました。
いまだに手つかずですが。 2B1の車輪(表面)
2B1の車輪(鋳物)です。未加工です。 2B1の車輪(裏面)
2B1の先輪、従輪として使用します。 2B1タンク機関車はイングランドの旧グレートセントラル(GREAT CENTRAL)鉄道の蒸気機関車で仕様は次のとおりです。 <2B1タンク機関車の仕様> ・シリンダ 内側単気筒 ボア12.7mm × ストローク20mm ・スライドバルブ トラベル6mm ラップ1mm カットオフ89% ・ボイラ 水管ボイラ ・給油装置 ロスコー給油器 ・バルブギア 滑り偏心輪弁装置(Slip Eccentric) ・車輪径 先輪30φ 動輪50φ 従輪30φ ・安全弁 2.5Kg/cm2 ・ゲージ 45mmゲージ ・バックゲージ 41mm ・アルコールタンク容量 30cc フレームの内側に弁装置とシリンダーがあり、外から見るとシンプルに感じます。 弁装置はこれを書くまで、”滑り返りクランク(slip return crank)弁装置”だと思っていましたが、 ”滑り偏心輪弁装置(Slip Eccentric)”でした。逆転機はなく、前進でも後進でも手で押した方向に走行します。単気筒ですが良く走ります。 渡辺さまの設計の素晴らしさを感じます。2B1タンク機関車は45mmゲージのライブスチームの名機だと思います。 この機関車のバックゲージは41mmです。会長さまから”今の45mm(1番)ゲージの機関車のバックゲージは違う”と伺いまして、 後日、所属する倶楽部のメンバーにお尋ねしたところ、友人に問い合わせられまして、今は40mmのようです。 以前はバックゲージに関して全く気にしていなかったのですが、 「ライブスチームB20製作奮闘記」(2008年 誠文堂新光社発行)を読んで、技巧舎さまのB20(5インチゲージ)のバックゲージは117mmで、 市川蒸気鉄道クラブさまの行徳レイアウトではそのままでは走れないため、動輪を片側0.5mmずつ削り、 バックゲージを118mmとしたことを知りました。5インチゲージではそういったことも気にしないといけないと、 はじめて知りましたが、1番・45mmゲージでもバックゲージを気にする必要があるようです。 「ライブスチーム 模型機関車の設計と製作」(1982年 誠文堂新光社発行)は、2B1タンク機関車を設計された渡辺さまが書かれた本ですが、 45(1番)ゲージの規格寸法は、バックゲージ41mm、タイヤ幅5.5mm、フランジ厚さ1.25mmとなっています。 また、「模型蒸気機関車製作の手引」(1978年 プレス・アイゼンバーン発行 著者MARTIN EVANS)においては、 13/4”(45mm)ゲージの推奨標準寸法はバックゲージ41mm、タイヤ幅5.0mm、フランジ厚さ1.25mmとなっており、 いずれもバックゲージは41mmとなっています。いつ頃から今の40mmになったのでしょうか? 8550のバックゲージ
1975年にアスターホビー社さまより発売された8550のバックゲージを測定すると 41mm でした。 LGBのバックゲージ
ちなみに手元にあったGゲージLGBの車輪のバックゲージを測定すると 39.8mm で、
測定誤差等を考慮すると 40mm のようです。 なぜ、1mm狭くして40mmになったのでしょうか? フランジの厚さ1.25mmでは細いので厚くしたのでしょうか? アスターホビー社さまは外国に輸出されているので、国際的な規格に合わせたのでしょうか?いずれにしても、 45mm(1番)ゲージでも、5インチゲージでも、楽しく走行させるにはバックゲージを気にした方が良さそうです。 バックゲージの違いのため、脱線したりポイントを通過できないのでは楽しくありませんので。 (その6に続きます) |