ライブスチームの運転


49. OS製Super-6  準備から走行まで!!! (その3)  (H28.3.9掲載)

 (その2の続き)

蒸気圧上昇中!
蒸気圧上昇中!
圧力が上がりはじめると、水面計の水位が上下動します。また、 頑固にまったく動かなかった圧力計の針の動きが、まるで眠りからさめたように活発に動きはじめます。


安全弁から蒸気が噴出しました
安全弁から蒸気が噴出しました。安全弁から蒸気を噴出させるのは安全弁の動作のテストを兼ねています。 万一、安全弁が故障していたら危険です。例えば、中に入っているステンレスボールが弁座に固着していたら困ります。 安全弁は2つ付いていますが、2つ同時に噴出するわけではありません。設定してある圧力は実機同様にそれぞれ異なります。 実機では、一つはボイラー使用圧力+0.3Kg/cmで、 もう一つはボイラー使用圧力+0.5Kg/cm以上で噴出するようです。 ライブスチームではどのぐらいの圧力の差をつけているのでしょうか?


走行開始前に
走行開始前に
 安全弁から蒸気が噴出しても、すぐには走行開始しない方が良いです。 この時点では充分な火床は出来上がっていませんので。もし、発車すると圧力が低下してしまう可能性大です。 風船がしぼむようにまたたく間に圧力が低下してしまいます。 発車前にしっかりと投炭して、火床を作りをはじめます。 安全弁から蒸気が噴出して勢いづいている今がチャンスなのです。 先に燃焼している木片や有煙炭(太平洋炭など)が燃えつきる前にしっかりと投炭します。 いつまでも勢いづいているわけではありません。状態は刻々と変わっていきます。
 では、そのしっかりの加減、つまり「どのくらい投炭するのか?」は表現がしづらいところですが、 適正な火床の高さを上回ってよいと思いますし、火室内が石炭で黒くなるほどです。Super-6の場合、 適正な火床の高さは焚口の最下点より数ミリ下だと思われます。この時点では、 その高さを上回るほど投炭してもよいと思います。


さー出発です。
さー出発です。
 しっかりと投炭したら、出発します。写真ではテコ式逆転機はミッドギア(中立)になっています。 Super-6の逆転機は前進、後進共に2歯ありますが、進行方向(前進又は後進)のフルギアにします。 フルギアとはミッドギアから離れた方です。
 走行開始後の最初のうちはこまめに投炭します。つまり投炭の時間間隔を短くし、その度に注意深く、 火室内の石炭燃焼状態を確認します。また、最初のうちは、機関車に負荷がかからないようにした方がよいと思います。 例えば、走行開始地点から上り坂になっている場合、テンダーもしくはタンク機の次位に連結した乗用台車には乗って運転すると、 機関車に大きな負担をかけます。シリンダーが温まっていませんので、ドレンコックを開けないといけませんが、 長時間開けておくと、蒸気圧が低下してしまいますので、牽引重量を抑えてさっさと坂を上り、 早くドレンコックを閉めたいのです。”乗用しないと運転してはならない”わけではありませんので。


お客様がご乗車されました。
さー出発です。
乗用台車を連結し駅に向かいます。駅ではお客様がお待ちで、早速ご乗車になられました。


出発進行!
出発進行!
駅に居る運営スタッフの発車指示に従います。運転操作手順は次のとおりです。@逆転機を前進フルギアにし、 Aドレンコックを開いて、B汽笛を鳴らして、C加減弁を開いて、走り出したら、Dドレンコックを閉じて、 最後に、Eブロアーバルブを閉めます。操作がたくさんに思われるかもしれませんが、 慣れれば自然に手が動きますので。

出発進行!
シリンダー排水弁(ドレンコック)よりシリンダー凝水を排出しながら、勇ましく発車します。 寒い季節は、よく見えて絵になります。


機関士の操作
出発直後、機関士さんが何か操作しているようです。 ブロアーバルブを閉めているように見えますが・・・。


運客
おおぜいのお客様がご乗車になっています。Super-6は力持ちです。 動輪は空転することなく元気に牽引していきます。


給油中
駅で停車中です。機関士さんは何をされているのか、分かりますでしょうか?  蒸気室・シリンダーに給油するスチームオイルを機械式の給油器に補充されているのです。スチームオイルの容器は、 写真の容器が好ましいです。残量が分かりやすく、口が広いので短時間にドバっと補充できますので。 100均で売っているものでいいと思います。長時間走行する場合は時々補充が必要です。 運転に夢中になっていると忘れてしまいますので、要注意です。


運客
 スチームオイルの補充が完了し、走行再開です。多くのお客様に楽しんでいただくには、 「安全第一」を心がけます。事故をおこしてしまったら大変です。 お客様もこちらも折角楽しんでいるのが、台無しになってしまいますので。 安全については、 「777. ”安全”について(その1)(R6.1.14掲載)」を参照していただければと思います。 なお、走行中は力が必要な上り坂以外では、 逆転機のテコハンドルを1歯引き上げて、蒸気の締切り(カットオフ)を早くすると蒸気が節約できます。

<エンドレスのレイアウトにおける給炭・給水について>
 写真のレイアウトは1周約270mのエンドレスで、所要時間は4〜5分程度です。 給炭・給水はどのように行うとよいか考えてみます。
 ・1周約270mですので、駅で停車中にちゃんと投炭しておけば、走行中に投炭する必要がありません。 投炭するのに最も良いのは停車中です。走行中の投炭は出来るだけ避けた方が良いです。 停車中ですと、火室内をよく見て投炭することができるメリットがありますし。 なお、この機関車は平成27年9月の”ミニSLフェスタinおやべ”に参加しており、1周600mのレイアウトを走行中、 無投炭で走行できましたので、1周約270mのレイアウトでは無投炭で充分走行できます。

 ・給水機能として、この機関車は、軸動ポンプ、ハンドポンプ、インジェクターの3つあります。 常に使うのは軸動ポンプです。ハンドポンプとインジェクターは必要に応じて使います。走行中は、圧力計・水面計を見つつ、 フィードバックバルブを開閉して、給水量を調整します。フィードバックバルブはネジ式ですので微調整ができます。 急激に給水すると、言い換えますとフィードバックバルブを全閉したまま長時間走行すると、 蒸気圧維持にダメージを与えてしまいますので、こまめにフィードバックバルブを調整します。

 ・ボイラーの水位が低下し水面計から見えなくなりそうで、かつ、蒸気圧低下時はピンチです。そうならないよう、 注意します。蒸気圧は少なくとも、3Kg/cmは欲しいところです。 3Kg/cmを下回っている状態での運客は厳しいでしょう。

 ・蒸気圧を維持する上では、火床の高さを適正に保つことが重要です。”Super-6の場合、 適正な火床の高さは焚口の最下点より数ミリ下”と前述しましたが、実はこの高さの許容範囲は、 Super-6は広いと思います。広ければ広いほど、運転操作が容易になります。そういう意味では Super-6ははじめて石炭焚きライブスチームを扱う方に向いている方だと思います。 求められる運転操作技術を、初級・中級・上級の3つのレべルに分けるとするならば、 Super-6を運転する上の必要な技術レベルは ”中級” だと思います。


 Super-6の機関士さまは、運転会終了時間まで事故なく無事に運客されました。お疲れ様でした。  


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