ライブスチームの運転


51. 5インチゲージ C571  (その2)  (H28.3.16掲載)

  (その1の続き)

5インチゲージ C571の運転室
C571の運転室

1:圧力計(プレッシャーゲージ)
  ボイラーの蒸気圧を表示します。大きくて見やすいです。常に監視する重要な計器です。 まだ、火を入れていませんので、0Kg/cmを指しています。
圧力計(プレッシャーゲージ)

2:ネジ式逆転機
 前進・後進の切り替えと、効率良く蒸気を使用するよう調整します。OS製コッペル等はテコ式ですが、 このC571は実機同様のネジ式です。テコ式では掛金ハンドルを握って、逆転テコを前又は後ろに動かしますが、 ネジ式はハンドルを右回し又は左回します。テコ式はダイナミックに動かせますので、前進、後進の切り替えがすぐに行えます。 一方、ネジ式は前進・後進を切り替えるには、ネジをくるくると何回も回さないと切り替わりませんが、微調整ができます。
上から見たネジ式逆転機
ネジ式逆転機

ネジ式逆転機
写真の上が前(煙室方向)、下が後ろ(テンダー方向)です。実機では目盛板に細かく刻んであるようですが、 後進フルギア、ミッドギア、前進フルギアの3点のみ刻んであります。
:指針(目盛針)がこの位置にあると、ミッドギアです。 現在、火をいれる前ですので、ミッドギアになっています。
:指針(目盛針)がこの位置にあると、後進フルギアです。


ネジ式逆転機
反対方向から見てみます。写真の下が前(煙室方向)、上が後ろ(テンダー方向)です。
写真のの上から下へ、後進フルギア→ミッドギア→前進フルギアです。

 ここで、何かお気づきでしょうか?蒸気機関車に詳しい方は疑問をもたれたのではないでしょうか。 実機とは、後進フルギアの位置と、前進フルギアの位置が反対のようです。 実機は、機関士から見て、前進フルギアの位置が手前で、向こうが後進のようです。
 実機がピストンバルブのところを、スライドバルブで作ると、前進と後進が反対になってしまいます。 それゆえ、SUECHIKA(スエチカ)ライブの1番ゲージのC62ではポートを前後入換えているようです。 このC57もスライドバルブなのでしょうか?加減リンク内の滑り子が耳軸より下だと前進し、上だと後進する点は実機と同じなのですが。 蒸気機関車メカニズム図鑑(発行:グランプリ出版)で調べてみると、 実機のネジは一重、二重、三重ネジの3種類あり、三重ネジでは1回転で3ピッチ滑り子が進むそうですが、 3種類とも、逆ネジのようにも見えます。 が、そうでしょうか? 実機が逆ネジのところを正ネジにしたため、 フルギアの位置が前後反対になったのでしょうか?動輪舎のC56やC58の逆転機もネジ式ですが、この点、どうなっているのでしょうか? 今度、このC571のネジをよく見てみます。

3:ブレーキ弁
 なんと、蒸気で作動するブレーキ弁なのです。はじめて見ました。ハンドルを動かすと、制輪子(ブレーキブロック)を動輪の踏面に押しつけて、回転を止めます。 実際に動作させると、制輪子を押しつける力が強すぎて、動輪をカチッとロックしてしまい、滑走してしまいます。 自動車のようなアンチロックブレーキであれば良いのですが・・・。

4:(テコ式)加減弁ハンドル
 逆転機と違って、テコ式です。実機同様の方式でテコハンドルを引くと、 加減弁が開いて蒸気溜から蒸気が蒸気室を通ってシリンダーに蒸気が送られます。テコハンドルを押すと、加減弁が閉まります。 普段はOS製のネジ式を扱っていますので、実機同様のテコ式を扱うのはワクワクします。また、加減弁引棒がボイラーの外にあり、 引棒の前後動を見ることができます。この点も実機と同様で、パーパスさまのこだわりを感じます。

5:汽笛弁
 下に押すか、輪を下に引くと鳴ります。比較的実機に近い低い音がします。 C57に甲高い”ピー”は似合いませんので。発車時に勢いよく鳴らすと、乗客の皆さまに発車をお知らせするのと同時に、 喜んでいただけます。でも、大きな声では言えませんが、蒸気圧やボイラー水位が充分でないと、鳴らすのを躊躇してしまいます。 汽笛を鳴らすことは、蒸気を運動エネルギーに使用せずに外部に放出するものであり、蒸気圧低下の要因になりますので。

6:通風弁(ブロアーバルブ)
 火室内の石炭を活発に燃焼させて、蒸気圧を維持するため、適宜開けます。 このC571はオーナーさまのご厚意で数回運転させていただいておりますが、蒸気圧を維持するには、 常時少し開けておいた方が調子が良いです。停車中はもちろん、走行中も少し開けた方が良い結果が得られました。 使用した石炭はウェールズ炭です。

7:焚口戸
 焚口戸を開けて火室に燃料(石炭など)を投炭します。写真をよく見ると、何かお気づきではないでしょうか? たしか、実機のC57の焚口戸はD51と同様に左右に開くバタフライ式かと思います。が、このC571は9600形や8620形などと同じ手動式となっており、 鎖を引き上げて投炭します。実機とはこの点が異なります。が、実用的には開閉が楽です。それに、 上についている通風弁に鎖を引っ掛ければ、常時開いておくことができ、運転終了後、 火室内の石炭をショベルで掬いだすときに便利です。

8:水面計(ウォーターゲージ)
 ボイラー内の水位を表示します。圧力計と同様に重要な計器で常に監視します。上り坂では水が後ろにきますので高くなり、 下り坂では水が前にいきますので低くなります。

9:ドレンコック(蒸気操作式シリンダー排水装置)
 OS製コッペルではドレンコックレバーを持ち上げて、ドレンコックを開きます。つまり、手動式です。 このC571は蒸気を使って、開閉棒をスライドさせ、排水弁を開閉します。蒸気を使って開閉する機関車は私はこのC571がはじめてです。 実機が圧縮空気を使っているところ(空気操作式シリンダー排水装置)を、蒸気に置き換えているだけで本格的です。 このドレンコックからもパーパスさまのこだわりを感じます。

10:フィードバックバルブ
 「このバルブを閉めるとボイラーに給水されます。開けるとテンダーの水タンクに戻ります。 ネジ式ですので給水量を微調整できます。」と書けば、ごく普通に思われるでしょうが、このC571はちょっと違うのです。 このバルブを開けると、普通はボイラーに給水されずにテンダーに戻ってくるのですが、 このC571では蒸気も出てきてしまいます。どうやら、ボイラーへの接続点(給水口)に一般に付いている逆止弁が付いていないようなのです。

ボイラーの下から見てみると
ボイラーへの接続点
軸動ポンプを出た水は、ボイラーの下から中に入ります。 でも、その接続点に逆止弁が付いていない???


(その3に続きます)  


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