(その6の続き) ”その6”で、このC57運転時、「通風弁(ブロアーバルブ)を常時、少し開けた状態」としていることを記しましたが、 このあたりを紹介したいと思います。 蒸気圧を維持する上で必要な通風を得るには、ある一定速度以上でピストンを前後動させる必要があり、 動輪直径が大きいほど走行速度が早くなります。しかし、安全面を考慮すると出せる速度に限界があります。特に運客時、 カーブでお客様を遠心力で振り落としてしまったら大変です。よって、 シリンダーから排出されたドラフトだけでは通風が不足してしまいます。その不足分を補うため、通風弁を開けることになります。 C57の動輪は大きいです。 通風と石炭燃焼・蒸気発生の流れは、こんな感じでしょうか? @ → ピストンが前後動する → 吐出管より排出(ドラフト)する → 煙室内に真空が生じる → 火室内の燃焼ガスが煙室方向に引っ張られると共に、火室下部より空気を吸い込む → 石炭が活発に燃焼する → 蒸気が発生する → 蒸気がシリンダーに入る → @へ 次に安全面を考慮し最高速度を6Km/時とした場合の ”ピストンの前後動の速度” について考えてみます。 時速 6000m/時 = 分速 100m/分 = 秒速 1666.66・・・mm/秒 ピストンの前後動1往復(ピストンの前と後ろに給気して2行程)で進む距離は、次のとおりとなります。 ○C57 動輪直径208mm × 円周率 = 653.45mm ○OS製コッペル 動輪直径86mm × 円周率 = 270.18mm 時速6Kmにおける1秒間あたりのピストンの往復数(動輪の回転数を意味します)は、次のとおりとなります。 ○C57 1666.66・・・mm / 653.45mm = 2.55往復/秒 ○OS製コッペル 1666.66・・・mm / 270.18mm = 6.17往復/秒 C57の動輪直径は 208mm あります。 OS製コッペルの動輪直径は 86mm です。 C57は2.55往復/秒、一方、コッペルは6.17往復/秒で、C57はコッペルの半分にも満たないのです。 これまで感覚としてコッペルとの違いを感じていたのですが、この機に数値化してみてみました。 数値的にも裏づけられたようです。 このC57以外で常時、ブロアーバルブを開けておいた方が蒸気圧を維持する上で良いと思われる機関車は、 ・動輪舎 C56 ・セントラル 8620 が、あげられます。 一方、 ・OS製 コッペル、ドルテ、フォルテ、SUPER-6、C21、マウンテン、シェイ は、その必要は無いと思われます。停車中などに開ける程度でいいと思います。 C57のブロアーバルブ なお、燃料や石炭の種類によって、必要な通風量は異なります。 今回、焚いているウェールズ炭は多くの通風を要する石炭で、通風がまったくないと消えてしまいます。 有煙炭の場合はウェールズ炭ほどの通風は要しないと思います。 また、オガ炭は通風が弱くても、かまわない燃料で、 お昼休みで停車中、ブロアーバルブを全閉しておいても、火は消えません。しかも、蒸気圧も下がりにくいです。 使用する燃料によって、運転操作方法は少し違うようです。 (その8に続きます) |