(その1の続き)
インジェクター
コッペルの次位に連結した、機関士が乗る台車には水タンクが搭載されてあり、
その水が←@を通って、インジェクターに送り込まれます。ボイラーの蒸気は
↑Aを通って、インジェクターに送り込まれます。
そして、↓Bを通って、ボイラーに水が送り込まれます。
私のコッペルは機関車搭載の水タンクより、インジェクターに水を供給する影響で、
一度もインジェクターが正常動作したことがありません。
タンク機の場合、火室やボイラーの熱で、どうしてもタンク内の水が暖まってしまうためのようです。
運転説明書によると、水温が35℃を越えると、作動しにくくなる、ようです。
35℃というと、体温とほぼ同じですので、
手で触れてみて”暖かい”と感じるようなら作動困難と判断してよさそうです。
このコッペルのように、本機外から供給すると良いようです。 インジェクターへの水の供給
写真の左側がコッペルで、右側が台車です。台車に搭載されているタンクの水をインジェクターへ供給する場合、
このコック(↑)を開けます。写真では縦向きになっており、閉まった状態です。
横にすると開いてインジェクターへ供給されます。コックを横にしてインジェクターの排水口から水が排出されたら、
インジェクターグローブバルブを開けて、インジェクターに蒸気を送ります。はじめは排水口から勢いよく水が排出されますが、
更にインジェクターグローブバルブを開けると、排水口からの水の排出が止まり、”チュー”という音がして、
ボイラーに給水されます。短時間に大量の水が給水されますので、水面計と圧力計を注視し、
入り過ぎないよう、また、ボイラーの蒸気圧低下に注意します。 軸動ポンプ・ハンドポンプへの水の供給
コッペルにはサイドタンクと、更にボイラー下のフレームの内側にボトムタンクがあります。
合計で水容量は4リットルです。長時間連続走行する場合は不足し、供給のための停車時間が必要となります。
そこで、このコッペルのオーナーさまは、機関士が乗る台車に水タンクを搭載し、
このチューブ(↓)を通って、機関車のタンクに供給しています。
外観を損ねないよう、連結器内を通しています。 反対側から見てみます。写真の右側がコッペルで、左側が台車です。
このチューブ(↑)は一つ前の写真と同じチューブです。 前の写真のチューブを通った水は、ここを(↑)を通ります。
このコックを横にすると開いて、縦にすると閉まります、通常は横にしておき、コッペルのタンクに水を供給します。 前の写真のコックを通った水は、ここを(↑)を通ります。
そして、フレームの内側にあるボトムタンクに水を供給しているものと思われます。
ボトムタンクとサイドタンクは繋がっていますので、サイドタンクにも送られます。 ハンドポンプ
右側のサイドタンク内にはハンドポンプが搭載されています。
(↓)は、ハンドポンプの操作レバーです。前後に動かして、ボイラーに給水します。 機関士が乗る台車
写真の左端に見えるコッペルの次位に、この台車を連結しています。
機関士が座るこの下(↑)には、水タンクが搭載されています。
写真では水タンクを撮影するため、蓋を開けています。台車の前部には石炭を搭載しています。
ショベル、火かき棒が見えます。また、ブレーキが付いており、これが(→)ブレーキレバーです。
手動式です。 ライブスチームにおける給水機能について、整理してみます。 給水機器として、ハンドポンプ、軸動ポンプ、ドンキーポンプ、インジェクターがあります。 その特徴は次のとおりかと思います。なお、ドンキーポンプとインジェクターは実機にもありますが、 ハンドポンプと軸動ポンプは実機にはなく、ライブスチーム独自です。 ●駆動源 ハンドポンプ : 人力(手動) 軸動ポンプ : 車軸の回転運動 ドンキーポンプ : 蒸気 インジェクター : 蒸気 軸動ポンプは車軸が回転すれば動作しますので、蒸気で走行しなくても、手で機関車を動かせば給水できます。 ●蒸気の要否 ハンドポンプ : 不要 軸動ポンプ : 不要 ドンキーポンプ : 要 インジェクター : 要 (注)運転説明書によると 3Kg/cm2以上あれば使用可能なようです。 ドンキーポンプとインジェクターを動作させるには蒸気が必要で、蒸気が無いと動作させることができません。 それは蒸気を消費することも意味します。 ●停車中、走行中の給水可否(給水可能:○ 給水不可:×) 停車中 ・ 走行中 ハンドポンプ : ○ ・ ○ 軸動ポンプ : × ・ ○ ドンキーポンプ : ○ ・ ○ インジェクター : ○ ・ ○ 軸動ポンプは蒸気が不要である点はハンドポンプと同じですが、停車中は(車軸が回転しないと)動作しません。 蒸気が不要で、走行中でも停車中でも動作するハンドポンプはエマージェンシーポンプとも言われ、 この機器が故障している場合は、ボイラーに火を入れない方がよいですし、もし運転中に故障した場合はボイラーの火を消した方がよいです。 ●供給する水の温度 ハンドポンプ : 水温は動作に無関係 軸動ポンプ : 水温は動作に無関係 ドンキーポンプ : 水温は動作に無関係 インジェクター : 35℃未満 (注)水温が35℃を越えると、作動しにくくなります。 ハンドポンプ、軸動ポンプ、ドンキーポンプは水温が低かろうが高かろうが動作には無関係ですので、 ボイラーにとって好ましい高温の水(お湯)の方が良いので、コッペルの場合、サイドタンク(ボトムタンク)から供給するのが好ましいです。 一方、インジェクターは35℃未満でないと作動しにくくなるので、コッペルの次位に連結した台車のタンクから供給するのが好ましく、 このコッペルのオーナーさまは理想的な供給方法をとっておられます。 ●好ましい供給する水タンク ハンドポンプ : サイドタンクから 軸動ポンプ : サイドタンクから ドンキーポンプ : サイドタンクから インジェクター : 次位に連結した台車から(テンダー機ならばテンダーから) (その3に続きます) |