ライブスチームの運転


658. 名古屋市伊勝学区 春フェスタにおけるミニSL運転会 (その4)  (R4.7.30掲載)

 (その3の続きです)

 OS製3.5インチゲージ C6216を運転させていただきました。 このC6216は以前、オーナーさまのご厚意で、OSさまの法隆寺運転会において、運転させていただいたことがあります。 それゆえ、オーナーさまから運転を依頼していただくことにつながったのかもしれません。 運転操作に不安はなく、ワクワクします。が、C6216で運客するのははじめてですので、 事故を起こさないよう、緊張感もあります。 運客するのですから、安全のため、むしろ、ある程度の緊張感があった方がいいと思います。
 なお、石炭と水の補給をやり易くするため、乗降場の線路の近くに石炭()と、 水()を置いておきます。 お客様は線路の向こう側(エンドレスのレイアウトの外側)から乗り降りされますので、邪魔にならないよう、触れないよう、線路の手前側(内側)に置いてあります。


 
 OS製C62のパンフレットによると、最小通過半径は5mとあり、まさにその半径5mの曲線を走行しています。 相当の抵抗があり、歩くより遅く、停車する寸前の速度で走行していたところ、後ろを走行される、コッペルのオーナーさまより、 ”もっと速く走って欲しい”旨のご要望がありました。通風が弱く、ボイラー蒸気圧が下がってしまったのかもしれません。

 試験走行において、半径5mの曲線走行中、先輪が脱線したことがあったので、加減弁延長ハンドルをなかなか左に回せなかった(加減弁を開けられなかった)のです。 オーナーさまの大切な機関車を脱線・横倒しにならないよう、慎重に運転していたのです。


運転をオーナーさまと交代しました。


 
 オーナーさまはけっこうな速度で曲線を運客走行されましたが、まったく脱線しません。 しばらくC6216を走らせていなかったとのことですが、油が回ってきたのでしょうか。 とにかく、脱線しないことが確認できました。なお、これまではC6216の列車が前で、後ろがコッペルの列車でしたが、 コッペルが自分の速度で走行できるよう、画像の通り、入れ替えました。


 
 オーナーさまと交代して、再びC6216を運転させていただきます。 脱線しないことが分かりましたので、今度は曲線で加減弁をしっかり開けることができます。 なお、運客走行は、レイアウトを2周(約105m)走行します。


次位に連結した乗用台車の運転席から前方を見た画像です。このように前方が見えます。


 このレイアウトを運客走行するポイントを考えてみます。

 〇この程度の走行距離(2周で約105m)ですと、乗降場で投炭しておけば、走行中に投炭する必要はありません。 お客さまが乗降りされている時間中に、乗用台車から降りて、火かき棒で火床を均して整え、火床の厚さを確認して、投炭の有無や投炭量を判断します(画像参照)。 乗用台車から降りるのは、火室内を見て、火床の状態を確認するためです。 頭を低くしないと、火室内を見ることができませんので。 乗用台車に乗ったままでも投炭することはできますが、火室内を見ずに投炭することになります。

 〇発車の準備が整ったら、乗用台車に乗り、運営スタッフの方の発車の合図を待ちます。 もし、発車まで時間があるのであれば、ボイラーの水面計と圧力計を見て、必要に応じてテンダー後方にあるハンドポンプで給水して、水を作ります。

 〇運営スタッフの方の発車合図がありましたら、汽笛を鳴らした後、加減弁延長ハンドルをゆっくりと左に回して発車します。 シリンダードレンコックはシリンダーが温まっていれば、開けなくてもかまいません。

 〇走行中は前方の安全確認と、後方のお客様の動きに注意します。 2本の列車が走行しますので、前方の列車に追突しないよう、注意します。 脱線などで、思わぬところで、前方の列車が停車していることがあります。 また、自分の後方に乗車されているお客様を見ることはできませんが、 例えば、足を地面に降ろされると、ブレーキがかかったようになりますので、異常を察知することができます。

 〇半径5mの曲線で速度が著しく落ちないよう、曲線にさしかかる前にしっかりと加減弁を開けます。

 〇ボイラーへは軸動ポンプを中心に給水しますので、走行中、ボイラーの圧力計と水面計を見つつ、適宜、フィードバックバルブを開閉操作します。 一挙に給水すると、ボイラー蒸気圧の低下を招きますので、長時間、フィードバックバルブを全閉することを避けます。 ボイラーの圧力計の針が下がりはじめる前に、フィードバックバルブを全開するといいと思います。

 〇1周走行して、乗降場を通過するときは、次に乗車されるお客さまなどが、線路に立ち入っていないことを確認して、通過します。 必要に応じて、汽笛を鳴らして、列車が近づいていることを知らせます。

 〇2周目で乗降場に近づいたら、停車している前の列車に追突しないよう、加減弁を閉めていき、適宜ブレーキをかけます。

 〇停車中、テンダーの水槽への給水や石炭の積載、機械式給油器へのスチームオイルの補充を、適宜行います。


午後2時になり、運客を終了しました。側線にコッペルが戻ってきました。


C6216も側線に戻ってきました。これから火を落とし、後かたづけを行います。


コッペルは収納・運搬ケースに入れられました。この後、オーナーさまの車に積載します。


C6216を車載のリフトで吊り上げて、車に積み込んでいます。 一人で容易にできるのがミソです。


乗用台車や工具、石炭なども積み込みました。

 線路やテントなどは運営スタッフの方々により、撤去されました。 常設レイアウトと違って、臨時の運転会は、線路の敷設や撤去が必要で、多くの人手を要します。 学校の校庭は一見平坦に見えますが、機関車にとっては無視できない高低差があるため、平坦に線路を敷設することはなかなか骨が折れます。 消防団のみなさんはじめ、伊勝学区の多くのみなさまのお力添えによって、春フェスタは事故などもなく、無事終了しました。
 みなさま、お疲れさまでした。ありがとうございました。

(その3へ戻ります)  


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