ライブスチームの運転


765. 令和5年9月 ミニSLフェスタ in おやべ  (その5)  (R5.11.15掲載)

 (その4の続きです)

OS製MOUNTAIN 4−8−2です。 毎年運客に大活躍している機関車です。今年も参加されました。 画像は臨時のレイアウトの駅です。


 オーナーさまとはOSさまの法隆寺定例運転会で、よくお会いしており、 列車最後尾のカブースに乗車させていただきました。 そして、オーナーさまの運転操作方法を学びます。 駅でお客さまが乗車された時の画像で、前方のお客さまの背中が写っています。


 その後、オーナーさまのご厚意で、このOS製MOUNTAIN 4−8−2を運転させていただきました。 よさみ鉄道倶楽部のメンバーの方のOS製MOUNTAIN 4−8−2は何度も運転させていただいたことがありますが、 このOS製MOUNTAIN 4−8−2の運転ははじめてです。なお、この画像は翌日撮影したものです。


 
 投炭は発車前にオーナーさまがなされまして、1周600mを走行中に投炭する必要はありません。 また、フィードバックバルブは一定量開いた状態にセットされていて、走行中に開閉操作する必要はありません。 つまり、走行中、常に一定量を給水します。 オーナーさまが次位の台車に乗車されまして、ご指導していただきました(この画像も翌日撮影したものです)。

<ご指導していただいた運転操作方法>
 前提条件
 ・投炭は発車前に完了しており、走行中の投炭には及ばない。
 ・フィードバックバルブは適量給水されるようセットされていて、走行中にフィードバックバルブの開閉操作は行わない。

 運転操作方法
 〇逆転機を前進フルギアにセットする。
 〇運営スタッフの方の発車合図で、加減弁を少し開ける。
 〇動き出したら、ブロアーバルブを全閉し、ドレンを3回切る(シリンダー排水弁を3回開閉する)と共に、 更に加減弁を少しずつ開けていくと共に、逆転機を少しずつ引き上げていく。 逆転機を引き上げることにより、蒸気の使用量を減らすことができます。
 〇走行速度は6km/hまでとし、時折、左後方を振り返り、お客さまの乗車状態を確認する。 右後方ではなく、左後方を振り返るのは、臨時のレイアウトは円になっており、反時計回りに走行するので、 お客さまが見えるのは左後方だからです。
 〇前方を注視し、追突を防止すると共に、お子さまなどの飛び出しにも注意する。
 〇停止するときは、加減弁の開閉操作で調整し、テンダーのブレーキはできるだけ使わない。


 逆転機はテコ式です。前進・後進共に2溝ですが、もっと細かく調整するため、溝(歯)を切られたそうですが、 微調整ができないため、切った溝を埋めたそうです。 溝を切らなくても逆転テコをミッドギア方向に扇上を滑らせるように動かすことで、微調整が可能とのことで、 オーナーさまの指示に従って、やってみました。私は必ず扇形上面の溝(歯)と噛み合わせないといけないと思っていましたので、 この扇上を滑らす方法は驚きました。走行による弁装置類の動きの影響を受けて、逆転テコが前又は後ろに動いてしまわないかと思いましたが、 まったくそんなことはありませんでした。弁調整などが完璧に行われているものと思われます。

 以上が教えていただいた運転操作方法です。が、もっと驚いたことがあります。 ”ボイラー蒸気圧と水位をいかにして長時間にわたって維持し続けられるか?”、が課題ですが、 それを実現するためのアプローチの考え方が私と異なるのです。 ”蒸気の発生量(蒸発量)”と”蒸気の消費量”のバランスがとれていれば、ボイラー蒸気圧と水位は維持できるものと考えています。 しかし、石炭はドンドン燃焼していきますし、シリンダー排蒸気による通風も変化する中、常に一定量の蒸気を発生させることは難しいと思っています。 また、線路勾配状況や曲線/直線、更にお客さまの総重量などにより、蒸気の消費量も変動します。 つまり、蒸気の発生量も消費量も変動するため、両者のバランスをとるのは大変難しいと思っています。 そこで、火床を整え適量の投炭で石炭の活発な燃焼に努め、蒸気の発生量が消費量を上回りそうなタイミングでボイラーに給水して、 バランスをとろうというのが、私の考え方です。よって、フィードバックバルブの開閉具合いは一定ではなく、 ボイラー蒸気圧と水位に応じて、変えているのです。

 一方、教えていただいた運転操作方法は、蒸気の発生量(蒸発量)も蒸気の消費量も、一定に維持しようという考え方のように思います。 そして、可能な限り逆転機を引き上げ、蒸気の消費量を必要最小限にしようという考えのように思います。 これを実現するには、機関車をしっかり整備・調整すると共に、石炭の燃焼を一定にするため、相当上手に焚く必要があり(火床の整理、投炭量、投炭のタイミング)、 また、フィードバックバルブも絶妙な加減にセットする必要があります。 運転操作技術に、初級、中級、上級があるとすれば、明らかに上級レベルだと思います。感服しました。


2日目(令和5年9月18日(月))
 2日目の朝、目覚めると、天気が怪しそうです。朝食後、ホテルを出発しようとしたときは土砂降りで、駐車場に行くのも躊躇します。 天気予報では2日間共、晴れの予想だっただけにびっくりです。通り雨のようで、止んだところで、イザ出発です。 しかしながら、”クロスランドおやべ”までの間も雲行きは怪しく、到着時も雨です。 ターンテーブル周辺の機関車は、ブルーシートで覆われたままです。


テントの中で雨宿りする方や傘をさしている方がほとんどですが、お一人だけスチームアップを行っている方がいらっしゃいます。


前日、運転させていただいたOS製MOUNTAIN 4−8−2です。


 雨にもかかわらず、運客走行の準備をされています。 ライブスチーマーの鑑のようで、 2日目も早朝から運客に活躍されることでしょう。

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