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フェルメール展の作品の感想(2)

 第二室には、『ヴァージナルの前に立つ女』とお目当てのひとつ、『ワイングラスを持つ女』がありました。第二室には、10作品あったわけですが、6作品目に『ヴァージナルの前に立つ女』が、9作品目に『ワイングラスを持つ女』がありました。


ヴァージナルの前に立つ女


この作品は、自分のイメージした通りのものでした。


女性は、暖かい雰囲気の中で、たたずんでました。


1.画中画の描写、特に金の額が奇麗でした。

2.キューピットは、かわいかったです。ポコ○ンが、どのように描かれているのか、目を凝らしてみたのですが、よくわからなかったです。

3.この肩越しの淡い描写が素晴らしいです。少しアクセントで入れられた、赤い色(朱色)のリボンが素敵です。

4.青色のイスが、丁寧に描かれています。光が射している場所とそうでない場所の違いが、明らかです。

 私は、この作品を観て、ふと、思ったことがあります。私たちが、『フェルメール作品』を観る時に、抱くことには、おもに二つあるということです。一つは、その優れた描写を観ること、そして、もう一つは、目の前の絵は何を示しているか、しているかを、探すことです。


 覗き見して、ドキドキするような、気持ちを味わうこと、それは、フェルメールの大きな魅力の一つと考えます。後期のこの作品は、描写力はあるものの、そういうドキドキ感が、薄れている気がしました。

ワイングラスを持つ女


お目当ての作品の一つでした。

女性の赤いドレスが、とても奇麗でした。

私は、この赤色(朱色)を『フェルメール・レッド』と名づけることにしました。


1.まず、この紳士がとても悪そうに見えました\(^o^)/。フェルメール作品の中で、明らかに悪い人物がでるのは、珍しいです。

2.この袖口の描写は、とても奇麗です。

3.ワイングラスをしっかり女性は、持って、落とさないように、そえられた男性の右手との、やり取りに、なんともいえないものを感じ、絵の中心がここにあるのが、よくわかりました。

4.男性の衣装にマリン・ブルーが使われています。フェルメール作品では、珍しい色です。

女性のドレスに置かれた腕が、土色で、腕の色としては、やや色が悪い気がしました。死んだ人のような色でした。

5.このドレスの色が、素晴らしく奇麗で、皺の描写を含めて生きているようでした。

6.市松模様は、若干大小不同がありました。

7.テーブルクロスの青(群青色)が奇麗です。

8.白のデカンダが、光の反射も見られ、とても奇麗でした。

9.背後の紳士は、手前の紳士に、女性を口説くのを依頼している、という解釈もありのですが、寝てるようにも見られ、読み取れませんでした。

10.ガラスの描写は奇麗で、愛の女神が描かれているといわれたら、そのような気もしました。

11.画中画には、確かに紳士が描かれ、この現場を見つめているようでした。

この絵は、素晴らしい絵です。

ただ、追い詰めれば、追い詰めるほど、見つめれば、見つめるほど、謎は深まります。

フェルメールは、この絵の中で、はっきり描写しているものと、そうでないものがあります。

描かれている人間は、どちらかというと、オブラートにつつまれているように、ぼやけて描かれています。私には、女性が、死んだ蝋人形のように見えました。遺体解剖した人の腕、顔色、土色を思いだしました。

逆にはっきり、描かれているのは、テーブルの上の白のデカンダと、フェルメール・レッドのドレス、白のテーブルクロス果物(レモン?)、皿です。

このことは、何をあらわしているのでしょうか?生きている人間を語らないように押さえ、その周りのもので、語らそうとしている、ということでしょうか?

今でも、悩んでます。

もうひとつ、疑問が残ったのは、この絵の出す遠近法です。出てくるようで、出てこない感じです。奥行きを形成するようで、しない感じです。これは、多分手前の紳士が、ほとんど中間に位置しているためだと思います。もっと女性に近いものであれば、この作品は、さらに奥行きがでたと思います。


 このコメントは、その時観て、メモを取ったことを中心にまとめたものです。『ワイングラスの女』は、一番頭を痛めた作品です。結論がでないことのもどかしさを、痛切に思います。今の自分には無理なのかも、しれません。いつか、ブランシュバイツに訪れて、結論を出したいと思います。


 次のページでは、一番楽しかった、第三室について、述べたいと思います。

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