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フェルメール展の作品の感想(3の1)

 第三室を見た時、息を呑んだのは、私だけではないと思います。「さすが、プラド美術館の学芸員!」、賞賛の声を上げました。第三室には、11作品が並べられ、その5作品目に、『窓辺で水差しを持つ女』を、6作品目に『天秤を持つ女』が配置されていました。そして、9作品目に『窓辺で手紙を読む女』です。


 こうして、第一室から第三室を見て行くと、一番人の目が行く、5〜6番目(つまり右の壁の正面)と、9番目(入って一番に目が行くところ)に、フェルメールの絵を持って来ている、わけです(⇒『フェルメール展』の配置)。見事です。


 しかし、アメリカ合衆国の、フェルメール・ファンが見たら、さぞかし悔しがるでしょう。自国のチームの美術館の4番バッターである2作品を、異国(スペイン)、で並べて来たのですから・・・。実に、素晴らしい!痛快です。


窓辺で水差しを持つ女


この作品は、昨年の暮れに見ました。


でも、再会はとても嬉しかったです。


1.やっぱり、この水差しの受け皿に映る、袖口の描写が、素晴らしいです。


2.水差しを持つ、左手の丸み、窓からの光による、影の出来方が素晴らしいです。『左手』の描写は、作品をみる上で、時代を見ることができることに、気付きました。今度まとめてみようかと思います。


3.窓を持つ右手も、しっかり描かれています。

4.優しい顔で、窓の外を見つめています。

5.壁に、窓から光が入るのが、奇麗に描かれてます。

6.下の窓枠から光が漏れて影ができる描写は、フェルメールが得意とするところで、この作品には特によく描かれてます。

7.宝石箱から、リボンをつけた真珠が出ているのが、描かれてます。

 この作品は、『フェルメール作品』の中でも、明るい作品に入ると思います。光をいっぱい浴びた作品の代表といえるでしょう。


 一方、決して明るくなく、光の入るのを、極力抑えた作品が、『天秤を持つ女』でしょう。ですから、この二作品の対比は面白いのです。

天秤を持つ女


この作品も昨年の暮れに観ました。

ただ、もっと暗い感じだった、と思いました。

ナショナル・ギャラリーでの環境が、そうなのだと思います。


1.まず、光が入ってくるところが、制限されて、そのことが、この作品の神秘性を、かもしだします。

2.宝石箱から、出てくるネックレスは、様々な色で見事に描かれ、それは、滝の頂上から、流れ出す水のようです。

3.置かれたネックレスは、『真珠の首飾りの女』がつけていたものと同じであることが、さっき観て来ただけに、よくわかります。


4.天秤を持つ右手が繊細で、この薬指が細く、ささえてあげたくなります。そして持った天秤が、さらに細いのです。それは、『レースを編む女』の編んでいる糸に、つながるものがあります。


5.左手は、机の上に置かれてある、はずなのですが、それは、やはり空に、ある気がします。地球に手を置く、マリアのようです。

6.スカートの橙色が、とても奇麗で、お腹はやはり出ています。同じスカートでも、テーブルの上と、下では、かなり色が違います。


7.コートは、濃紺です。その紺も限りなく、黒に近いものです。

8.画中画が素晴らしく、ここからも、何かを放っているように思えます。

 この絵の素晴らしさは、ワシントン・ナショナル・ギャラリーで、十分堪能したつもりでしたが、さらに、その素晴らしさを、さらに痛感しました。


 それは、やはり、となりに、『窓辺で水差しを持つ女』が来たからでしょう。


 私が観た期間中、この二作品の前が、一番沢山の人が集まってました。私も観に行ったのですが、私の中に、どうしても昨年観たことが、残っていて、必死でしがみつく感じがなくなってました。しかし、考えてみたら、今度この作品を観る機会は、いつになるかわからないので、もっと真剣に観るべきだったと、後悔しています。


 実は、『天秤を持つ女』の左(7番目)には、ビーデル・デ・ホーホの『金貨を量る女』(ベルリン国立絵画館)が置かれてました。よく本で引用されている作品です(⇒フェルメール・72ページ)。実際に、その作品を観たのは、初めてだったすがが、『天秤を持つ女』の前では、かすんでしまいました。


 私個人的には、ビーデル・デ・ホーホは好きな画家で、実際絵を描いてみると、描くということは大変なこと、というのがわかるので、けちをつける気はもうとうありません。ただ、比較に置かれたのが、不幸としかいえないのです。それ程、『天秤を持つ女』は凄い作品なのです。鳥肌が立つようでした。


 最初は、『窓辺で手紙を読む女』も、このページで述べるつもりでしたが、紙面が多くなったので、次のページで掲載します。


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