最近はとても読み物が多くなっています。
学生の頃の書籍を読む量を基準にするならば、
どう考えてもその10倍は書籍を読んでいると思います。
その中にはたくさんの人が読んでいても良書と思えなかったような物、
どんな賞を取っていても愚作としか思えなかった物、
あるいは、読む者にとてつもないエネルギーを要求するが、
読み終えた時に名著と思える物もあります。

そういう物を紹介できたらな、と思いました。
 

☆フイクション

「君のためにできるコト」  著者:菊田まりこ 発行:学習研究社(学研) 価格:950円

 「気のきくくまお」君と「くちべたくまこ」ちゃんのお話。
 『お話』と表記している事から分かるように、この本は絵本です。
 好きなくまこちゃんの為に、なんでもしてあげるくまおくん。
 でもくちべたなくまこちゃんは自分が望んでいる事をうまく言い出せない。
 それはとても簡単で、でもとても大事な望みなのに・・・・・。

 作者の菊田まりこさんはぼくより5つ年下の方、
 グラフィックデザイナー、イラストレータとして活躍していて、「君のためにできるコト」と同時期に
 (実際には少し前?)「いつでも会える」を発表。
 「いつでも会える」は1999年度ボローニャ児童図書展のボローニャ児童賞特別賞を受賞しています。

 「いつでも会える」も非常に心が温まる(そして大泣きする)すばらしい絵本。
 でも、ここでは「君のためにできるコト」を紹介しました。
 多分に上記で提示したキーワードで検索すれば「いつでも会える」がどんなお話なのか、
 すぐに分かると思いますので多少ネタばれでもかまわないでしょう。

 僕の解釈で言えば「いつでも会える」は『死』をテーマにしているのに対し、
 「君のためにできるコト」は『生』をテーマにしています。
 (それゆえ、この2作品は一対の作品と考えています。)
 『死』を軽んじるわけではないのだけれども、僕は、絵本の中の登場人物が
 自分なりに一生懸命に『生きていこう』とする「君のためにできるコト」に強い共感を覚えました。

 無論、「いつでも会える」もすばらしい絵本です。
 (事実、本屋で立ち読みした時はマジで涙が止まらなくて困りました)
 『死』による別れは余りにも哀しく、辛い事なんだけれども、思い出の中には生き続けている。
 忘れなければ『いつでも会える』。(これは『死』という事実も忘れない、という事)
 ある意味『死』と向き合った絵本です。

 一般では「いつでも会える」の方が人気が高いみたいです。
 (実際に涙腺暴発度は「いつでも会える」は高すぎるです
 でも僕は「くまこちゃん」の伝えたい言葉と、それに対する「くまおくん」の言葉を読んだ時に
 すごく暖かかい物を感じました。
 ですから、こちらをお勧めしたい。
 でも、まぁ一番良いのは両方とも買う事でしょうな。(爆笑)

 ポニーキャニオンから戸田恵子さん(アンパンマン!)の朗読でDVDが出ています。
 どうでもいいゲームを買うのならば(爆笑)、絶対に買うべきです。
 

 「ずっといっしょにいてくれる?」
 「ずっと、いっしょにいてあげる。」
 

ジョニーは戦場に行った(Jonny Got His Gun)

☆ノンフイクション

「パンドラの箱の悪魔」  著者:広瀬隆 発行:日本放送出版協会 価格:1500円

 広瀬隆という方は「赤い盾(集英社)」の著作で知られるようになった小説家。
 (現在では運動家、という言い方が正しいかも)
 この人を知ったのはこちらのWEBページで知る事になった。
 ただ、この人の著作を始めて読んだのはこの本だった。

 誤解を恐れずに一言で言ってしまうのならば、世の中の動きに対する警告本である。
 「ワールドカップ・オリンピックの利権スキャンダル」「核スキャンダル」
 「核融合炉の危険性」「環境ホルモンの危険性」・・・・

 以前から広瀬隆という人の著作を知っている人には「何をいまさら」という言葉だが、
 この人の著作は大原則として「オープンソース」を題材にしている点である。
 「赤い盾」では膨大な家系図がひも解かれるが、このすべては一度は出版された
 紳士録を資料とし、それを地道に調べて血縁関係を調べぬいた点である。
 今時にこのような地道な作業をする人は希有と考えるべきだろう
 #10年前にはフリーのライターではたくさん居たのだが・・・・

 しかし、この本をどうしても最初に取り上げたかったのは、それらの事だけでは無い。
 彼はあとがきでこう記している。
 「日本人に決定的に欠けているのは社会性である。
  子供たちに残す風景を思いやっていない。」
 このあとがきを読んだ時(僕はノンフィクションを買う時は、あとがきを立ち読みして判断する。)
 即座にレジに持っていった事を覚えている。

 「子供達の為に」とか「子供達が安心して暮らせるように」という言葉はいろんな場所で見られる。
 (特に選挙の時は多く見られる。そして選挙の後は見られなくなる。よくある話だ。
 しかし「子供たちに残す」という表現は、僕がずっと心の中にしこりのようにあった物で、
 それを言い当てられたような気分になった事を覚えている。

 この本に限らず、広瀬隆の本は一度で良いから読む事をお勧めする。
 ただ、「赤い盾」は読む側にも膨大なエネルギーを要するから。
 最近出版された中では「アメリカの巨大軍需産業(集英社)」、
 または古本屋でなら「ドイツの森番たち(集英社)」が読みやすいかと思う。
 多分、この2作はそのうち紹介する事もあろうかと思う。

 彼の著作の批判精神はジャーナリズム、というよりは、自分の財産(子供)を守らんとする
 親の気持ちの発露ではないだろうか。
 ただ、信念と執念を持って物書きをする、という意味では
 日本有数の、そして数少ないのジャーナリストのうちの一人だろうと思う。
 

☆ここで皆様にお願い

 以下の書籍を探しています。
 もしもご存知の方がいらっしゃいましたら。
 ご教授くださいますよう、よろしくお願いします。

 「空飛ぶ円盤の真実」、著者不明、出版元不明
 題名は少しいかがわしいが、実際には軍需産業関連の書籍です。