2007年01月14日
WことVさん
昨日前の大学から、「アメリカからの年賀状」が転送されてきた。 Sさんのおかげであるが、Xmasカードでなく Season’s Greeting であるところとわざわざ封筒に入れてくれてるところ、が日本人的である。 送り主はベトナムからの留学生だったVさん。 メルアドが書いてたので、早速 Thanks というメールを書いた。
Vさんは、南ベトナムのサイゴン(現ホーチミン)市から日本に留学し、学部は他大学だったが、広島大学の院へ進学した。 昔の広島市内のキャンパスの時代である。 始めて研究室に来たとき、一緒にランチを食べに行ったレストランで傘を取られた(が、あとで店の人から代替品をもらった)。
日本語が得意だったので、入試では、面接するまでは外国人とはわからなかった。 答案は「ちゃんとした日本語」で書いていたからである。 東南アジアからの留学生に多い「英語より日本語が得意」というタイプであったが、非常に優秀な学生で、立派な修士論文を「日本語で」書いている。
気の毒に在日中に「南ベトナム」が消滅したので、帰国せずに日本企業に就職した。 そのうち、家族はボートピープルになってベトナムを脱出し、アメリカへ移住した。 その結果、彼も数年後アメリカへ渡ったのである。 (要約すればこれだけであるが、本当は長い話である。) アメリカへ行くたびに彼と会ってたし、学会でアメリカに行ったときに彼と会った研究室の(元)院生も多い。
アメリカでは、最初、5年くらいはLA(Los Angeles)郊外のアルハンブラに居た。 LAは人種の「るつぼ」であり、アルハンブラ市にはベトナム系が多い。 ベトナム風のラーメンを食ったのも、このアルハンブラ。 ボーリング場を覗いたら、ほとんどベトナム人だった。 その後、シリコンバレーの会社へ移ったので、Bay Area(サンフランシスコ郊外)で会うようになった。 ところが、3年くらいまえからメールが途絶えていた。 こちらから出したメールが戻ってきていたのである。 メルアドの変更通知を忘れたみたいであるが、こちらも aial アドレスがなくなったので、彼も同じことをいってるかも知れない。
Vさんのことを、「WことVさん」と書いた表題については、追記にします。
*************
ベトナムは、(かなりの数の)多民族国家である。 彼は中国系で漢字に強い。 南方の中国人と似ているから、見かけは日本人そっくりでもある。 3年まえ修士を出たベトナム留学生Cくんもそうである。
Vさんは正確には Voung さんで、「ブン」さんと呼んでいる。 アメリカでもしばらくは Voung さんだったのが、Wang (王)さんに変わった。 結婚した頃だけど、養子になったわけではない。 「どうして?」と聞いたら、「アメリカでは中国系の名前のほうがいいから」という返事だった。 「昔から付き合ってる人とは Voung のままで」とも。 「WangことVoungさん」と書いた理由である。
このへんの詳しい事情はわからない。 アメリカは多民族から出来ている国で、いろいろ複雑な問題がある。 ベトナム人の中でも、ベトナム本国(ホーチミン傘下)の連中と、アメリカ在住のベトナム人(旧南ベトナム出身が主流)の間には確執がある。 去年だったか、仲直りをした、とのCNNの報道もあったし、今年ブッシュが(ベトナム戦争終結以来)初の米大統領としてベトナムを訪れた。
ベトナム出身ではあるが、こういうややこしい問題を避けてアメリカでは中国系のほうがいい、と判断したのかな、と推定している。 名前(姓)が簡単に変更できるのもアメリカらしい。
投稿者 tadashi : 2007年01月14日 02:00