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2012年03月17日
プレスリーとビートルズ 〜楽曲としては大きな変化〜
エルビス・プレスリーとビートルズではざっと10年の違いがある。 ジョン・レノンが暮らした叔母の家をTVで見たが、プレスリーのレコードのジャケットが壁に貼られていた。 つまり、ビートルズの連中も当然エルビスの曲を聴いた世代である。 エルビスまでは「歌は独唱するもの」だった。 当時でもコーラスだけの曲はあったが、それは別物でメインとは云えなかった。 だから歌唱力が必要で、歌唱力のない歌手は長続きしなかった。 エルビスも初めから上手い歌手だったわけではないが、徐々に中音、低音も使う上手い歌手に成長していった。
エルビス以前はビング・クロスビーやフランク・シナトラのような美声でないとダメだった。 そういう意味では、エルビスと同時期にデビューしたパット・ブーンのほうが美声だったので、パット・ブーンのほうがうけるのではないか、と思った。 しかし、時代はロックに移っていたので、エルビスのほうがメインになっていった。
エルビスまでの「独唱力の壁」を、打ち破ったのがビートルズである。 ジョンにしてもポールにしても、歌唱力ではエルビスを超えるものではないが、ハーモニーを活かした曲づくりをすることで、見事に新しい時代を拓いていった。 日本ではGS(グループサウンズ)という形がつくられた。 ひとりひとりにさほどの歌唱力がなくても、楽曲としてはOKという時代になった。 しかし、長続きするかどうかは別問題で、グループ解散後に成功した例は少ない。 歌手としては歌唱力が不可欠なのである。 ロック歌手でバラードを唄えるのは少ない。 永ちゃんのバラードはいいが、B'zのバラードは聴くにたえない。
エルビス以外で、低音から高音まで地声で奇麗に唄っていた歌手は、シルビーバルタンと美空ひばりである。
投稿者 tadashi : 2012年03月17日 06:57