イブ生まれの人
(1)
(まじ話です。ノンフィクションですが、登場人物は全て仮名です。)
12月24日
他県の大学へ行っていた友達、小原から、電話が来た。
”今、駅に着いたから迎えに来てくれ”
何ヶ月会ってなくたって、前に別れた瞬間にいつでも
つながっていく。小原はそんな友達だった。
車で駅へ迎えに行き、ついでに田村も誘って、
夜の海なんかを見に行って、適当に遊んだ。
”俺んちで飲むか?”
そういう小原の家に、俺たち3人は向かった。
小原には妹が一人いた。
名前はひろ子。
ひろ子はクラスメートを何人か家に呼び、
クリスマスパーティをしていた。
半ば当然のように俺たちはその輪の中へ入っていった。
高3の女の子4人と20の男3人で飲めば、
楽しく過ごせるのは当たり前。
シェーカーを見つけた俺は、普段からバイトで振っているので、
カクテルを作ったりもしていた。
2時間くらい騒いでそろそろお開き。
俺たちは2階の小原の部屋で寝ることにし、
彼女達は1階で寝ることになった。
しばらく、小原の部屋で話していると、
彼女達が勉強を教えて欲しいと言ってきた。
数学くらいならと俺が一人で教えに行った。
教えに行ったはいいが、5分もしないうち、自分達の話しに
夢中になる彼女達に腹を立てた俺は、
”勉強する気ないんだろ?俺行くよ”
小原達のところへ戻った。
”どうだった?”とか聞く2人に
”なんでもねーよ。あいつら勉強する気さっぱりないから、戻ってきた”
12月25日
何故か彼女達の料理を食う事になり、
買出しまで付き合わされて、晩飯まで食った。
1月7日
どうやら、小原と田村のバイト先の駐車場へ時々遊びに
行っていたらしい彼女達と、ボーリングをする事になった。
ボーリングをして、うまいが辛いカレー屋でカレーを食って、
海にでも行くかという事になった。
俺の車には、小原、なつみ、ゆみが乗り、
田村の車にはひろ子、みかがのった。
俺の助手席には、なつみが乗っていた。
俺は車を飛ばし、田村の車をはるか後方に置いてきた。
そんなばかな事がおもしろかった。
車に乗るのに慣れていないというなつみは、
左にハンドルを切る度に俺にもたれかかってきた。
悪い気のしない俺は急ハンドルを切りまくっていた。
1月9日
徹夜のバイト明けでぼーっとしているところに、ゆみから電話が来た。
”好きです” と
考えのまとまらない俺は、
好きですう? で?どうしたいんだよ!と思いながら。
”それで?”と俺。
”それだけです”とゆみ。
電話を切ってからだんだん目が覚めてきて、
自分が何をしたかを悟った。
ゆみの電話番号を知らない俺は、小原の家に電話をし、
ひろ子にゆみの電話番号を聞いた。
理由を聞かれ、話した。
”なつみも好きなんだよ”とひろ子は言った。
”今、好きだって言ってくれてるのはゆみだけだから、
恋愛対象になっているのはゆみだけだね”
ずるい奴。
ひろ子を通じてなつみが俺に告白するよう仕向けている。
高校の時、応援団をしていて、告白される事に心が麻痺していた。
結局、ゆみの電話番号は聞かなかった。
1月12日
なつみから、電話が来た。
話したい事があるから、16日に会いたいと。
1月14日
小原に電話で聞いた。
なつみとゆみが田村と祭りへ行ったと。
彼女たち、特になつみがどういうつもりで行ったのか。
小原と2人で、
”わけがわかんないよな?あいつら”と言った。
小原の家に、なつみとゆみ、田村が遊びに来ているらしい。
俺は小原の家に行った。
田村はハイテンションで、なつみとゆみと話していた。
俺を見た、なつみとゆみは驚いていた。
暇を持て余した俺は、部屋に転がっていた占いの本を見た。
三角関係だの、告白されるだの、ある意味当たってる事が
書いてあったので、ひろ子に見せた。
2人でけらけら笑った。
なつみとゆみが帰る時に、小原が言った。
”海へ行こうぜ”
俺と小原は海へ行く事にし、田村にだけ
”じゃあな”
と言って出た。
駐車場まで歩いている間に追いついて来た田村が、
”どこの海に行くんだ?”と聞いた。
彼女たちも海に行きたがっていたようだ。
小原がそれをむげに断った。
俺たちは勝手に車を走らせた。
小原と俺はいろんな話しをしてた。
何故だか田村と彼女たちに対して、俺たちは怒りを覚えていた。
1月16日
なつみに会った。
制服のままの彼女にとまどいながら、喫茶店でどうでもいい話をして、
海へ行った。
海へ向かう車の中で、なつみは俺を好きだと言い、
俺もゆみではなくなつみを好きだと言った。
だが、海岸を歩きながら、
なつみはしきりに考え直せと言った。
何故自分を選んだか、いつ選んだか彼女は聞いた。
彼女の家に着いても、まだ話し足りなかった俺たちは、
車を停めて、話しつづけた。
田村に惹かれ始めていると彼女は言った。
それでも俺の事を好きだと彼女は言った。
彼女は泣き出した。
俺は黙って肩を抱いた。
彼女は俺の肩に頭をのせた。
俺は彼女にキスをした。
”田村なんか気にしていない。俺を好きだと言った君を信じる”
と俺は言い、ずっと肩を抱いていた。
別れ際に”電話くれよ”と言って別れた。
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