ホームフェルメールと巨匠たちルーべンス(1)

ルーべンス(1)

 ルーベンス(1577〜1640)ほど、栄光と賞賛をあびた画家はいないでしょう。フェルメールファンは、どちらというとマニアックな面を持ち合わせているため、私を含めて、ルーベンスがあまり好きでないのではないでしょうか?


 ただ、ルーベンスは、修行時代が8年(14歳〜22歳)とレンブラントやフェルメールより長く、彼らが行かなかったイタリアにも行ってます。多分人望も厚く、優秀な画家だったのだと思います。長い期間、確実な道を歩くことは容易なことではありません。例えが悪いかもしれませんが、彼は徳川家康タイプの人物だったのかもしれません。

 純粋に作品を観た場合、3,000点という作品の中には、友人・弟子との合作も多々あると思われます。そこで、私は、なるべくルーベンス自身が全てを制作したと思われる作品を観て行くことにしました。


 『麦わらの帽子』は、縦79.0cm×横55.0cmの板に描かれてます。制作年は、1625年頃です。今、ロンドンのナショナル・ギャラリーにあります。作品のモデルは、ルーベンスの晩年の妻エレーヌ・フールマン(彼女は、富豪の娘で、ルーベンス53歳、彼女が16歳の時に結婚)の姉ジュザンヌと言われてます。美人姉妹だったみたいです。


 この作品を観て、うっとりしない人はいないでしょう。大きな目と、すっきりとした鼻筋、いかにも奇麗な肌、どうしても、この女性に会ってみたい、と思う人は出てくるでしょう。また、黒い帽子(これが麦わら帽というのは?だが・・・)も丁寧に描かれ、背景のブルーも美しいです。


 ルーベンスの描く女性は、ルノワールも絶賛したように、とても美しいです。その中でも、この作品が1番かもしれません。

麦わらの帽子

 女性を描くことに長けていたルーベンスの作品の女性とフェルメールの作品の女性を比較した場合、甲乙つけがたいと思います。ただ、私は、やっぱりフェルメールの女性を選びます。理由を聞かれると困るのですが、『フェルメールの女性は、手の届くところに居る感じ・・・』、と答たいと思います。


 女性を上手く描けるかどうか?というのは、画家の一つの才能と思います。この『麦わら帽子』で、ルーペンスは胸ほ膨らみを実に見事に描いてます。そう考えるとフェルメールファンとしては、マウリッハイス王立美術館の『ダイアナとニンフたち』をフェルメールの作品として認めたくありません。フェルメールなら、もっと上手く描ける(ダイアナの胸の膨らみを)と信じたいですから・・・、皆さんはどう思いますか?


 次のページでは、ルーベンスはこんな作品も描くのか、と驚く、『黒人の頭部習作』について掲載します。


(2002年9月10日作成)



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