北京音楽留学体験記
by てんてん

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(2000/8/24)
第一話:「学校選びの巻」


 初めまして。kanaさんの友人のてんてんです。2年前に北京から帰国しました。
留学期間は1年半という短いものでしたが、それでも時々、北京であったこととかが頭をぐるぐる回っています。
この場を借りて、このぐるぐるを消化したいと思っています。
そして、これから留学しようかと思っている人のなにかの足しになればいいなと思います。
 どうぞよろしく。
 まずは、なぜ北京へ二胡を習いに行ったか?という経緯についてです。

 一番初めに中国音楽に興味を持ったのは、敦煌古楽という怪しげなテープを購入したのがきっかけで、中国の琵琶を習っていました。
その延長で、なぜだか、二胡を習うはめになり、はまってしまい、ついには、北京へ行ってしまったわけです。

 中国には音楽を専門に学べる高等機関が結構あります。
音楽学院と言われる所や、芸術学院の中の音楽系とか。
(国費留学とかでしたら、いろいろ制限があるようなんですけど、私は年齢オーバーで最初っから、私費留学を決めていたので、選択は広いものでした。でも、探せば、いろんな奨学金制度があるらしいですね。)
 留学を考えるにあたって、北京のZG音楽学院、ZY音楽学院、上海のS音楽学院の学報を1年半ほど取り寄せ(日本で中国書籍を扱っている書店なら、取り寄せてくれるはず)、また、できるだけ、楽譜や録音の資料などを集めて(当時は東京の某書店から取り寄せるか、北京に直接購入に行きました。最近はインターネットでも販売しているみたいですね。)、それぞれの学校の傾向と教授陣を調べました。
 (画像をクリックすると別ウィンドウで拡大表示されます。)

 二胡を始めて、間もなくでしたので、基礎的なことが勉強できること、歴史的な背景も勉強できること、楽器自体についても教えてほしいと、いろいろと思い描いていました。
その頃、日本で習っていた先生はS老師と言って、北京で勉強された方でしたので、北京のZ老師を紹介して下さることになりました。ほんとに感謝しています。
 音楽は出会いの連続で、人が繋いで下さるから、次の何かを知ることができるんだなあというのを実感しています。

 さて、学報を調べた結果ですが、上海のS音楽学院は外国の学者の論文ものっていて、海外ともひらけているイメージがあり、装丁もなんだかあかぬけていて、さすがと思われました。
北京のZG音楽学院のものは、表紙が古風な好みで個人的には好きでしたが、内容的に少しもの足りなさを感じました。
最終的に決めた北京のZY音楽学院のものは、なんだか古くさい感じで田舎びていました(それがよかったんですけどね)。
その上、その頃、私が興味を持っていた劉天華と阿炳(この二人についてはいずれまた記述します)についての特集やそれに関する記述が多いような気がして(たまたまその年に何かがあったのかも知れませんが)、取りあえずは一番の候補になりました。
 前述のS老師から紹介されたのはZ老師と言って、北京のZY音楽学院の名誉教授で、劉天華の孫弟子にあたり、演奏家と言うより、教育家で、二胡の技術面についての本を書かれています。もう絶版なんですけど。台湾では黙って売られているようですね。
 Z老師についてはこれからの中心人物なので、詳細はひかえます。

 この話をすすめていく中で、迷いはありました。
この頃、江南地方(長江以南)の民間音楽を勉強し始めていたこと、また、二胡が南胡と呼ばれていた地域で学んだ方がいいのではないかという思いがありました。
 結局は北京に決めたのですが、その後、とてつもない混乱が待ち受けているのです。それは後ほど。

 さて、大体の方針は決まりましたが、あいにく私は語学がからきしだめでしたので、結局、半年を語学学校で勉強し、二胡の基礎をできるだけあげて、その後に音楽学院の普通進修生という聴講生レベルの学生となることに決めました。
 語学ができれば、専門の大学でも普通進修生のレベルなら誰でも入学は許可されるでしょう。
確か、HSKの6級以上でしたっけ?間違ってたらごめんなさい。
とにかく入学手続きなどが一人ででき、なんとか生活できたらいいのかな?


 学校選びの参考に:人民音楽出版社<世界各国音楽院校名録>
 劉天華のCD:ROI PRODUCTIONS<劉天華 誕辰百週年記念専集>
 阿炳のCD :ROI PRODUCTIONS<華彦釣(阿炳) 記念専集>

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