日高見国から

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どんなハイテクで調べるのかなぁ

DNA分析
 犯罪捜査や親子関係の確定などに使われるDNA分析を、遺跡からの出土品に適用します。

例えば、
  三内丸山ではクリをDNA分析し、人工的に栽培されていた可能性を突き止めました。

 DNAは、遺伝子の本体とされている物質で、1953年にその分子構造が解明され、
その分子構造の中に遺伝的形質を支配する情報が含まれています。

 種や個体によって配列などに特性が有り、それぞれ次世代に個体の持つ遺伝情報として
 継承されます。
残留脂肪酸分析
 人間に限らず、肉・野菜・魚・等は蛋白質や脂肪、炭水化物等などが含まれていますが、
これらが地下に埋蔵されるとほとんどが土に還ります。

 所が脂肪分の一部が微粒に残っている事が有ります。この脂肪分から脂肪酸の種類を
分析する事によって動物の種類などを推測します。

 例えば宮城県馬場檀A遺跡(約20万年前の旧石器時代)では、「ナウマン像」「オオ
ツノ鹿」の脂肪酸が石器とその周辺土壌から分析され、解体・調理をしていた事が解かった。
プラント・オパール分析
 植物の中の珪酸体にガラスでおおわれた細胞がふくまれていて、これが何千年も土中
に残っています。

 宮崎大学の藤原宏志先生が研究してきた検査方法です。植物毎に特有の形が有って、
特に稲のプラント・オパールによって、水稲農耕の年代がどんどん溯っています。

 例えば、岡山県姫笹原遺跡の縄文時代中期の土器から、イネのプラント・オパールが
発見されたらしい。縄文時代でもイネは知っていた事が解かります。
レーダー探査法
 放射した電磁波が物体に依って屈折される性質を利用するものです。戦争によって
進歩した技術ですが、こういう平和利用にどしどし使って欲しいものです。

 例えば、島根県荒神谷遺蹟で、358本の銅剣が発見されましたが、その後レーダー
探査によって銅剣発見地から7m程離れた場所で、銅鐸6個と銅矛16本が見つかり、
銅剣・銅鐸・銅矛が同一遺蹟で見つかりました。これによって、「近畿の銅鐸文化」と
「九州の銅矛・銅剣文化」の見直しが考えられている事でしょう。
ファイバースコープ探査法
 胃カメラ飲んだ事が有りますか?そうファイバースコープを使って胃の中を検査します。
これを遺蹟に応用するのがファイバースコープ探査法です。

 昭和52年に最初に使用されましたが、最も有名なのが奈良県藤ノ木古墳の石室を
映し出した調査でしょう。学会や古代ファンをはじめ期待されていましたが、マスコミも
大きく取り上げました。(昭和63年6月2日)画面にはまっかな「朱」と水の中の副葬
品が見事に映し出されたのです。
 それから4ヶ月後実際に石棺が開けられ、豪華な副葬品が膨大に保存され、藤ノ木
フィーバーが起こったのです。
X線透過測定法
 一般にはレントゲン撮影と呼ばれて、やはり医療に使われるのが知られています。
健康診断の時、よく胸部を撮影しますね。このレントゲン撮影を出土品に行ないます。

 埼玉県の稲荷山古墳から出土した73.5cmの鉄剣から115字の文字が写し出さ
れました。昭和53年9月の事でした。この文字の中に「辛亥」の年号と「オワけ臣」
が代々大王に仕えていた事や、その大王が「ワカタケル大王」と読めるという事で、
西暦471年の21代雄略天皇か531年の26代継体天皇のどちらかの時代とされて
います。
 どちらにしても5世紀末から6世紀初めには関東地方がヤマト朝廷に服属していた
証拠になりました。
その他の分析や学問
1.鉛同位体比質量分析法

2.花粉分析法

3.貝成長線解析

4.航空写真測量

5.赤外線透過法

6.コンピュータ画像解析法

7.地震考古学

8.水中考古学

9.実験考古学

10.動物考古学

11.形質人類学

12.トイレ考古学

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