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(その3の続きです) 修理待ちのOS製 コッペル
![]() なお、その時、次の箇所の修理を依頼しました。 <修理依頼箇所> ・軸動ポンプの動作不良。給水できない。 ・ドンキーポンプの動作不良。水が外に飛び出て、給水できない。 ・公式側のサイドタンクから少し水が漏れる。 → 以前から水漏れしていたが、少量のため修理していなく、この際、修理を依頼しました。 ・ブロアーバルブからやや蒸気が漏れる。 → 以前に行ったボイラーの水圧試験で不具合が見つかったが、多少の漏れのため、そのままとしていましたが、この際、修理を依頼しました。 修理後のOS製 コッペル
![]() <修理していただいた内容> ・車体を洗浄しながら、ボトムタンクを外すため、ボイラー下ろし ・運転席周りの分解、洗浄、磨き、組み立て ・スモークボックス周りのスチームパイプ外し、洗浄、磨き、組み立て ・下周りはシリンダー以外すべて分解、洗浄 ・ボトムタンクは下周りを分解、軸動ポンプ分解、Yパッキン交換 ・軸受部P6 Oリング2つ交換、作動確認後組み付け ・ボトムタンクの組み立て、水漏れテスト ・サイドタンクの天板を外して、シール部分的に再シールし天板組み付け、水漏れ確認 ・ドンキーポンプの分解、Oリングの交換 ・ブロアーバルブは新品に交換 ・シリンダードレンバルブの曲がり修正 ・ルプリケータの分解・洗浄・組み立て ・ボイラーの水圧検査(0.85MPaで試験して、OK)、蒸気テスト(プロパンガスにてテスト)、牽引力測定 ・修理検査表にて、各機器の動作確認(安全弁は0.5MPaで開、0.45MPaで閉など) ・その他(防錆処理、拭き仕上げなど) <交換部品> ・軸動ポンプのYパッキン ・水面計のガラス管とOリング ・ドンキーポンプのOリング 牽引力(引張力)については、これまで、あまり関心をもっていませんでした。測定結果は、57.82N(5.9Kgf)とのこと。ライブスチームの牽引力については、鉄道模型趣味誌(TMS)No.346(1977.4)や渡辺さまの著書「ライブスチーム 模型機関車の設計と製作」に計算方法の記載がありますので、これらを参考に測定結果数値の意味を考えてみます。 <2気筒機関車の引張力> Tc = D2 × S × P / W Tc:シリンダー引張力(kgf) D:シリンダー(あるいはピストン)の直径(cm) S:ピストンの行程(cm) P:ピストンに作用する蒸気圧力(kgf/cm2) W:動輪の直径(cm) ★OS製 コッペルの場合 Tc = 3.02 × 4.4 × 4 × 0.6 / 8.6 ≒ 11.1kgf ボイラー圧力は4kgf/cm2とし、Pはその60%とする。 TD = Tc × e ー B × 1/20 TD:連結器引張力(kgf) Tc:シリンダー引張力(kgf) e:機械効率(0.8) B:運転整備における機関車(テンダーを含む)全重量(kg) ★OS製 コッペルの場合 TD = 11.1 × 0.8 ー (43+2.7+4(注)) × 1/20 ≒ 6.4kgf (注)重量(ドライ):43kg + ボイラー水容量:2.7L + サイドタンクとボトムタンクの水容量の合計:4L また、粘着力は、次の通り連結器引張力を上回っており、空転の問題はなさそうです。 粘着力:(動輪上重量43kg × 摩擦係数1/5) 8.6Kgf > 連結器引張力:6.4Kgf ボイラー圧力4kgf/cm2で計算しましたが、5kgf/cm2で計算すると、シリンダー引張力13.8kgfで、連結器引張力8.6kgfとなり、粘着力と同じになります。つまり、ボイラーの常用圧力は5kgf/cm2が最適のようです。それ以上の高圧にすると、連結器引張力は大きくなりますが、粘着力を上回ってしまい、空転してしまいます。 なお、ボイラー圧力を4kgf/cm2で計算した理由は、連続して運客走行する場合、常に最高圧力の5kgf/cm2を維持するのは容易なことではなく、私は3kgf/cm2から5kgf/cm2の間で運転していますので、その中間の値で計算したのです。 以前、パーパス製 5インチゲージ C571の試運転をさせていただいたことがあります。安全弁の吹き出し圧力が9kgf/cm2ぐらいになっており、加減弁を開けると、動輪が空転してしまいまして、運転しずらかった記憶があります。計算してみます。 ★パーパス製 5インチゲージ C571の場合 Tc = 5.62 × 7.6× 9 × 0.6 / 20.8 ≒ 61.9kgf ボイラー圧力は、9kgf/cm2で計算する。 TD = 61.9 × 0.8 ー (191.4+110.0+14+25(注)) × 1/20 ≒ 32.5kgf (注)機関車:191.4kg + テンダー:110.0kg + ボイラー水容量:14L + テンダーの水容量:25L 次に、粘着力を計算するのに、動輪上重量を知りたいのですが、仕様に記載がありませんので、実機から推定してみます。実機においては、機関車重量(運転整備)67.50t、動輪上重量(運転整備)41.32tであり、同じ比率と仮定して、計算してみます。 動輪上重量(推定)=(191.4kg+14L) × (41.32/67.50) ≒ 125.7kgf 粘着力=動輪上重量125.7kg × 摩擦係数1/5 ≒ 25.1kgf 連結器引張力は32.5kgfであり、粘着力25.1kgfを大きく上回っていたのです。 その後、オーナーさまは安全弁の吹き出し圧力を6kgf/cm2に下げられました。最適な圧力を計算してみます。 まず、Tcを求めます。 TD = Tc × 0.8 ー (191.4+110.0+14+25) × 1/20 = 25.1kgf Tc × 0.8 = 25.1 + ((191.4+110.0+14+25)×1/20) Tc = (25.1 + ((191.4+110.0+14+25)×1/20)) / 0.8 = 52.65kgf 次に、ボイラー圧力を求めます。 Tc : 52.65kgf = 5.62 × 7.6× ボイラー圧力 × 0.6 / 20.8 ボイラー圧力 = 52.65kgf/(5.62 × 7.6× 0.6 / 20.8)≒ 7.7kgf/cm2 動輪上重量を推定していますので、必ずしもボイラー圧力7.7kgf/cm2が最適かは不明ですが、オーナーさまが設定された6kgf/cm2は、空転しない妥当な値ではないかと思われます。 コッペルに話しを戻します。私のコッペルの牽引力(引張力)の測定結果は5.9Kgfとのことですので、計算値6.4kgfより、やや小さいようです。 では、牽引重量はどれぐらいでしょうか?。平坦・直線の線路上で、球軸受のトレーラーを牽引するとき、走行抵抗はトレーラーの重量kg当り0.01kg(つまり、1/100)ぐらいだそうですが、実際には発車時の抵抗や上り勾配により、その半分以下(1/50)のようです。ですので、私のコッペルの牽引重量は、5.9Kgf / (1/50) = 295kgで、大人5〜6名ぐらいが限度と考えた方がよさそうです。 令和7年(2025年)12月6日(土)
![]() ・灰などで汚れていたので、洗浄してから修理作業を行ったとのこと。お手数おかけしました。走行終了後、エンジンクリーナーで油を落とし、CRCなどをかけておくとよいとアドバイスしていただきました。 ・ドンキーポンプのOリングを交換すると共に、給油器の洗浄を実施した。 ・ルプリケータの底にゴミが溜まっていたとのことで、今後、気に掛けるとよいとのこと。 ・シリンダードレンバルブが曲がっていたので、修正した。 ・軸動ポンプのYパッキンを交換した。 ・インジェクターの逆止弁から蒸気が逆流していた。給水できなかった原因は、逆流によりインジェクターが熱くなっていたからと思われるとのこと。これまで、てっきりインジェクター自体の問題か、タンク機ゆえに水が温まっていることが原因と考えていましたので、勉強になりました。 ・ブロアーバルブは新品に交換した。 ・水面計のガラス管とOリングを交換した。 ・動輪が擦り減っているものの、直ちに修理を要すほどではない。ただ、交換部品は無いので、修理するとなると、リングを嵌めることになるとのこと。 修理費は、「修理作業一式」+「交換部品代」でした。修理の内容とその品質から十分納得しました。なお、自分で運搬しましたので、梱包+送料はかかっていません。 TREC Corporationさま、ありがとうございました。 令和8年(2026年)5月6日
![]() ![]() 参考文献(敬称略、順不同) 渡辺 精一.ライブスチーム 模型機関車の設計と製作.株式会社誠文堂新光社,1982. 鉄道模型趣味 1977年4月号.株式会社機芸出版社,1977. 蒸気機関車EX Vol.63 2026Winter.イカロス出版株式会社,2026. (その3へ戻ります) (その5に続きます) |