ライブスチームの運転


46. 久しぶりの1番ゲージライブスチーム (その9)  (H28.2.27掲載)

 (その8の続き)

森林鉄道 B形タンク機関車
森林鉄道 B形タンク機関車
 アスターホビー社さまの初期の頃の機関車です。たしか1976年発売かと思います。 オーナーさまが大変嬉しそうに、この機関車を見ておられましたので、”どうしてこの機関車がお好きなのか”をお尋ねしたところ、 ”オシレーチングエンジンに大変ご興味がある”とのことでした。 また、横浜ライブスチームクラブの他のメンバーの方から、「オシレーチングエンジンは安全弁の役目を果たす」旨、 伺いました。たぶん、バネでフレームに押しつけられているエンジンが、 高圧になるとバネの力に勝ってフレームから離れることにより蒸気を逃がすのだと思います。 なるほど、オシレーチングエンジンはシンプルですが良く考えられていると思います。 オーナーさまはこのあたりに魅力を感じておられるのかもしれません。


森林鉄道 貨車
森林鉄道 貨車
これを書いていて、そういえば森林鉄道 B形タンク機関車の貨車を持っていたのを思い出し、 家の中を探しました。ほこりで汚れていましたので清掃し注油しました。


森林鉄道 貨車
車軸受けにはバネが入っており、車輪が上下動するのが魅力的です。よく考えてみると、 森林鉄道ですが運材台車ではないのですから、この鉄道では木材を運搬していないのかもしれません。 でも、そうだとすると何を運搬しているのでしょうか? 模型の世界ですので、それはオーナーさまの自由でしょう!。


森林鉄道 B形タンク機関車+貨車
森林鉄道 B形タンク機関車+貨車
画像上で貨車を連結してみました。ちょっとサイズが合っていませんが。


森林鉄道 B形タンク機関車 2両
森林鉄道 B形タンク機関車 2両
2両、仲良く並んでいます。左側の機関車はアスターホビー社さまの車両で、 ショールームで展示してあるのを取り出してきて並べたのです。カウカッチャーもちゃんと付いています。 良くみると、オシレーチングエンジンの傾き具合いも揃っています。偶然でしょうか?。 それともオーナーさまが合わせられたのでしょうか?。


 さて、アスターホビー社さまの建物の2階にショールームがありました。 1975年から41年間に製作・販売されてきた全車両と思われる物凄い数のライブスチームが所狭しに展示してありました。 私はたぶんここに1日居ても飽きないと思います。
 私が昨今、探している、V&T R.R. Reno 4-4-0 も有りました。見たら益々欲しくなりました。 全長1mを超える、BIG BOY は壮観でした。是非走行する姿を見たいと思いました。 たぶん、大人一人を牽引する力を持っているでしょう。 シェイ(Shay)、クライマックス(Climax)。そして、 ガーラット(Garratt) も製作されていたのですね。 知りませんでした。JNRの9600、C11、C12、C57、C62。 物凄く精巧な D51 にはびっくりしました。まるで、 天賞堂製HOゲージのD51かと思うほど細部まで精密に作り込んでありました。表示してある価格を見て、 なるほどこれではこのぐらいの価格になるのだろうと納得しました(私はその価格には残念ながら手が伸びませんが・・・)。 この機関車、走行させて高架から落下させては大変だと思います。

 さて、私の8550は以前ご紹介させて頂いたとおり(27.アスター製 ”8550”のこと  (H27.12.27掲載))、 新幹線のような高速度で走り、ついには曲線を曲がりきれず高架から落下し、排障器が破損してしまいました。 では、どうしたら上手く走行させることができるのでしょうか?、考えてみます。

JNR 8550
JNR 8550

 その前にどうしてそうなったのでしょうか? 原因はなんでしょうか?

 <想定される暴走の原因>
  ・機関車の単機走行、つまり無負荷であったこと。
  ・暴走しはじめても、機関車のみのため、手で止めにくい、掴みにくい。

 では、どうすればよいのでしょうか?

 <8550を上手く走行させるには?>
  ・負荷として車両を連結する。
  ・連結する車両の数は実際に走行してみて適宜調整する。
  ・車両は貨車よりも客車の方が良い。なぜなら、貨車より客車の方が走行中の列車を止めやすいからです。 貨車でもトラックよりワゴンの方が屋根がある分、止めやすいでしょう。客車は長いほど、 客車を多数連結しているほど、手で掴み易く止めやすそうです。

 今回、幸い8550に付いているものと、たぶん同じと思われるバッファーをアスターホビー社さまから、わけていただいてきたので、 これを利用して客車を製作することができます。

バッファーの部品
バッファーの部品

バッファーの部品
仮に組み立ててみました。Eリングは仮組みですので、まだはめていません。


 私は客車の知識は乏しく、とても実車両をスケールダウンしたような精巧には作れそうにありませんし、 製作技術も持ち合わせていません。小学生か中学生程度の工作で、”ヨシ”とします。
 テーマ名のとおり、久しぶりの1番ゲージライブスチームですが、 5インチゲージのライブスチームとの運転の相違を考えてみます。

 <1番ゲージライブスチームと、5インチゲージライブスチームとの運転上の相違点>
    (注)1番ゲージはJNR 8550などのアルコール焚きを、5インチゲージは石炭焚きライブスチームを前提とします。
  ・走行前の準備として、衝動部などに注油する点は同じです。1番ゲージでは容易に上下をひっくり返すことができますので、 機関車下部への注油がやり易いと思います。
  ・5インチゲージでは投炭量は火床の厚さを見て適宜調整を要します。そして、その適正度は蒸気圧の維持に影響します。 この投炭調整は難しく、経験を要します。一方、1番ゲージでは燃料サンプにより供給量が自動調整されますので、 おまかせでよく、気にする必要がありません。
  ・圧力計と水面計を監視し、ボイラーの空焚きを防止することは、同じです。
  ・走行速度の調整は、5インチゲージではテンダーもしくは機関車の次位に連結した台車に乗るので、 常に加減弁や逆転機の操作が可能です。一方、1番ゲージではラジコン等でリモートコントロールしない限り、 一旦走り出したら調整困難で、暴走しそうになったら手で掴んで列車を停めて、加減弁を調整するか、 連結する車両数又は貨車への積載量を調整することになります。
  ・5インチゲージでは運客可能なの対し、1番ゲージでは客車や貨車を多く連結・編成して運転を楽しめます。 1番ゲージの列車が白煙をはいて走行する姿を見るのは楽しいです。写真を撮るにも絵になります。
  ・1本のエンドレスレールに同時走行できるのは1番ゲージでは1列車ですが、5インチゲージでは複数の列車が走行できます。 1周が長ければ長いほど多数の機関車(列車)が数珠つなぎに走行できます。
  ・5インチゲージでは運客可能ですので、人身事故の防止に注意を要します。特にお客様は第三者ですので注意を要します。それゆえ、 運客する場合は万一の損害賠償請求に備えて保険への加入を考えることになります。一方、 1番ゲージでは第三者の方を傷付ける可能性は少ないと思います。 1番ゲージではアルコールの漏れ・引火による火災や火傷に注意を要すると思います。


 アスターホビー社さまのホームページをよく見ますと、ノウハウがちゃんと書かれています。 でも、それがさりげなく(?)書いてありますので、ご存知の方でないと、その重要度が分からなく、 ご存知でない方は読み飛ばしてしまうかもしれません。それにしても、 アスターホビー社さまはじめライブスチームメーカーさまは、 設計・製作の技術はもとより運転も相当高い技術を持っておられると思います。 私はそのレベルに一歩一歩近づいていきたいと思っています。
 別のテーマ(6.運転のポイント (H27.11.11掲載))において、上手な運転(名機関士)について、記載していますが、今回気づいたことがあります。 機関車の整備の他に、連結する車両や線路・ポイントなどの整備も必要な要素だと感じましたので、追記しました。 (6.運転のポイント (H27.11.11掲載)を参照してください)

 今回のテーマはその9まで続きました。 横浜ライブスチームクラブの会長さまはじめ多くのメンバーの方に貴重なお話しを伺うことができました。 憧れの和田さまにもお会いすることができました。また、アスターホビー社さまにもお世話になりました。 皆さま、お世話になりました。ありがとうございました。

横浜ライブスチームクラブの皆さまとの記念写真(右端が私です)
横浜ライブスチームクラブの皆さまとの記念写真
 


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