ライブスチームの運転


729. 5インチゲージ ノース・イースタン・レイルウェイ クラスーT 1272 (その2)  (R5.7.12掲載)

 (その1の続きです)

 
 テンダーの後ろに、8620形のテンダーを連結している、もう一つの理由は、ボイラーへの給水機能にあります。 この機関車には、ハンドポンプと軸動ポンプがなく、インジェクターを2基装備していたそうです。 特にエマージェンシーポンプともいわれるハンドポンプがないのはびっくりで、8620形のテンダーに搭載しているハンドポンプを利用するためです。 右の画像は、8620形のテンダー搭載のハンドポンプから送り出された水を、前方に送るための配管・パイプをアップして見てみたものです。
 私はハンドポンプと軸動ポンプを装備するのがあたり前のように思っていましたが、よく考えてみると、それはライブスチームの世界の話しであって、 実機の世界では、”インジェクター2基”、又は”インジェクター1基+給水ポンプ(ドンキーポンプ)1基”が一般的であり、 ハンドポンプと軸動ポンプは存在しない機器です。ですので、この機関車は、実機に忠実に設計・製作されたと考えるべきなのでしょう。


 試運転の列車編成の全体です。 列車のブレーキは、8620形のテンダー搭載のブレーキを使います。 まとめますと、8620形のテンダーは、@運転する機関士兼機関助士の乗車、A水の積載とボイラーへの給水、B列車ブレーキの3つの機能を有して、この機関車を補完しているのです。


NER (North Eastern Railway) クラスーT 1272の運転室
NER クラスーT 1272の運転室です。 各機器を見ていきます。

 @ : 圧力計
      
      ボイラーの圧力計です。

      
      アップして見てみます。単位は、Lbf/in2(psi)ポンド平方インチでしょうか???。 ちなみに、1Lbf/in2(psi)は、7.031×10-2kgf/cm2ですので(つまり、kgf/cm2に換算するには、0.07を掛ければおよそよい)、 もしそうであれば、約2.3kgf/cm2(約33×0.07031≒2.3)であることを示していることになりますが・・・。 なお、この画像は火を入れた後に撮影したものです。針の支点の下の”FSD”は、メーカー名でしょうか?。

 A : ドンキーポンプ
      
      ドンキーポンプです。 元から装備していたのではなく、インジェクターと載せ替えて、オーナーさまが装備されたもので、WADA WORKS製だそうです。 これにより、給水機能は、これと8620形テンダー搭載のハンドポンプの2系統になりました。 (インジェクター2基 → ドンキーポンプ+ハンドポンプ(8620形テンダー搭載))


 B : 水面計
      
      水面計です。OS製の水面計と比べると、ガラスパイプが短いように思われますが・・・。


 C : ドレンコックレバーハンドル
      
      ドレンコックレバーハンドルです。


      
      公式側のシリンダードレンコックです。運転室のドレンコックレバーハンドルを操作して、コックを開閉します。


 D : ブローダウンバルブ
      
      ボイラーのブローダウンバルブです。運転室側の左下にあります。 正方形の部分を回して、バルブを開閉します。OS製クラウスなどのブローダウンバルブも正方形です。 でも、どうして正方形なのでしょうか?。六角形ではいけないんですかね?。 六角形であれば、ボックスレンチが使えるのですが・・・。

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