Ｗａｄａ Ｗｏｒｋｓ製 コッペルのスチームアップの準備をしています。
非公式側から運転室を見てみます。どんな機器があるのでしょうか。
Ｗａｄａ Ｗｏｒｋｓ製 コッペルの運転室
Ｗａｄａ Ｗｏｒｋｓ製 コッペルの運転室です。
各機器を見ていきます。
① ： 手ブレーキハンドル
手ブレーキハンドルです。 公式側から見た画像です。運転室の後方の公式側寄りにあります。 ＯＳ製のコッペルやクラウスの手ブレーキハンドルも、この辺りにあります。 走行時というより、留め置く時に使用します。
② ： フィードバックバルブ
フィードバックバルブです。 ＯＳ製コッペルと同様に、公式側のサイドタンク上にあります。
タンク上の手前側が丸く空いていて、そこから戻りの配管の端が見え（→）、 水の戻り量を確認できます。
③ ： シリンダー圧力計
シリンダー圧力計です。 ボイラーの圧力計と違って、走行時は針が左右に振れ動くのではないかと思います。
④ ： 水面計
水面計です。 ボイラーの水位を知る上で、とても重要な機器です。 一般のボイラーの世界では、１日に１回以上、機能試験を行い、異常のないことを確認することとなっています。
水面計を横（公式側）から見た画像です。 水位を知る機器ですので、取付け位置（高さ）が重要だと思います。一体、どこに取り付ければよいのでしょうか？。 手持ちの書物で調べてみました。
一般のボイラーの世界では、 可視範囲の最下部が安全低水面（これ以上水位が低いと危険である最低の水位）と同じ高さとなるよう、 取り付けることとなっています。 安全低水面はボイラーの種類により定められており、例えば、機関車形ボイラーの場合、火室天井板最高部上75ｍｍとされているようです。 また、ボイラー胴に直接取り付けるより、水柱管を設けて、それに水面計を取り付けることが多いようで、 水柱管とボイラー胴との連絡管は、水側は安全低水面より下に、蒸気側は水面計で見える最高水位より上に取り付けることとなっています。
一方、蒸気機関車（実機）の書物では、下方取付け孔中心の高さは、２５パーミルの下り勾配を前進する場合において、 ガラス管最下部が天井板最高部より７５ｍｍ（書物によっては７６ｍｍ（３インチ））以上上で、 上の孔の中心の高さは、２５パーミルの上り勾配を前進する場合において、 ガラス管最上部が天井板最高部より１８０ｍｍ（書物によっては１７８ｍｍ（７インチ））以上上とされています。
では、模型蒸気機関車の世界ではどう規格されているのでしょうか？。 「模型用ボイラー安全規格」には、水面計の取り付け位置に関する規格の記載はありませんが、 「ライブスチーム 模型機関車の設計と製作」において、ガラス管の最下部（画像の→の位置、 最上部は→の位置）が缶水の最低線より下にならないようにとされており、 例として、５インチゲージのボイラーにおいては内火室天井板より１０ｍｍ以上上方とされています。 縮尺を考慮すると、７５ｍｍ×（１/11.3）＝６.６ｍｍ、７５ｍｍ×（127/1067）＝８.９ｍｍとなり、 １０ｍｍはその数値（６.６ｍｍ、８.９ｍｍ）を上回っており、若干の余裕をみているようにも思えますが、 実機の世界の数値に縮尺を掛けた計算方法が妥当なのか不明ですので、若干の余裕をみていると言えるかどうか、不明です。
この機関車においては、ボイラー胴とは、水側（画像の←の位置）はガラス管の最下部（画像の→の位置）より下に取り付けられていることが確認できます。
なお、可視範囲の最下部が安全低水面と同じ高さとなるよう、取り付ける理由は、 ”もし、水面計の位置が無制限に低いと、火室天井板最高部上の水の量が極めて少なくても、 水面計にはいっぱいの水があって、乗務員が必要な水の量を知ることが出来なくなることとなり、危険であるから”、のようです。
⑤ ： ブロアーバルブ（通風弁）
ブロアーバルブ（通風弁）です。 石炭やオガ炭などの燃料の燃焼に大きく関わる機器です。 取扱いは簡単そうで、きめ細やかに操作を行う機器です。
参考文献（敬称略、順不同）
有原 俊二.最新 機関車工学.東洋書籍出版協会,1925.
小林 潔・飯田 政次.最新機関車講義.東洋書籍出版協会,1928.
樽谷 一郎.蒸気機関車.江島日進堂出版部,1938.
渡辺 精一.ライブスチーム 模型機関車の設計と製作.株式会社誠文堂新光社,1982.
小型蒸気機関車製造者協会.模型用ボイラー安全規格.小型蒸気機関車製造者協会,1998.
小谷松信一・酒井幸夫.ラクラクわかる！ 一級ボイラー技士試験 集中ゼミ（改訂２版）.株式会社オーム社,2019.
コンデックス情報研究所.いちばんわかりやすい！ ２級ボイラー技師 合格テキスト.成美堂出版,2021.
ボイラー実技テキスト.一般社団法人 日本ボイラ協会,2020.
[新版]ボイラー図鑑.一般社団法人 日本ボイラ協会,2023.
ボイラー実技講習補足資料.一般社団法人 日本ボイラ協会愛知支部,
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