(その4の続きです)
乗用台車の最前部の、この板(→)は、安全上、好ましいと思います。
この板(→)により、乗用台車の最前部に乗車したお客さまが、足を前に出すことなく、
足場(↓)に足を乗せておくことを誘導するからです。
もし、この板(→)が無く、
かつ、すぐ前にある車輪のカバー(→ →)が無かったら、
お客さまの靴が回転する車輪に接触する恐れがあります。
ところで、この乗用台車は、なんと10インチゲージなのです!!!。
ここ(|)は、5インチゲージで、
ドクターイエローなどの動力車輛が通り、
こちら(|)は、10インチゲージで、乗用台車が通ります。
乗用台車下部の画像です。
ライブスチーム/大型鉄道模型においては、小さいものから、HOゲージ、32ミリゲージ(Oゲージ)、45ミリゲージ(1番ゲージ)、
64ミリゲージ、89ミリゲージ(3.5インチ)、127ミリゲージ(5インチ)、191ミリゲージ(7.5インチ)、
かと思います。10インチゲージは聞いたことがありません。
「なぜ、10インチゲージにされたのか?」、お尋ねすると、
”事故・怪我が絶対にないよう、お客さまの安全を最優先に考えた結果”とのことで、
鉄道模型の規格に無いことは承知の上で、
”鉄道模型の世界から、たとえ邪道と言われようとも、安全に対して万全を期したい!!!。”、との決意を感じます。
とれいん No.115 1984年7月号に興味深い記事があります。
技功舎さまのオーナーさまの記事の「作って、乗って、走らせて(11)」です。
このなかに、89ミリゲージ、127ミリゲージ、191ミリゲージ、213ミリゲージ、381ミリゲージにおける、
乗車姿勢の図があります。図ではありますが、乗用台車に座っている人と車輪の位置関係から、
やはりゲージが広いほど安定性が良いことが想像できます。
10インチゲージ=254ミリゲージは、127ミリゲージ(5インチ)より、はるかに安定性が良いことは歴然としています。
5インチゲージの場合、乗車時、先に足場に足を乗せると、乗用台車が傾き、最悪は脱線することがありますが、
10インチゲージの乗用台車では、そのようなことはないそうです。
よさみ鉄道倶楽部の定例運転会が行われる、フローラルガーデンよさみのレイアウトは5インチゲージであり、
乗車時、乗用台車を跨いで、席に腰を降ろし、最後に足を乗せていただくよう、案内していますが、
ここでは、運営スタッフの方は、そのような案内はされておらず、
そのような案内をするには及ばないようです。
5インチゲージと10インチゲージとの4線式の線路は、市販されていませんので、手作りなのです。
ドクターイエローの運転士用乗用台車(↑)にも、
安全対策が施してあります。
運転士用乗用台車の車輪辺りの画像です。
これ(→)は、5インチゲージの車輪です。
一方、こちら(↑)は10インチゲージで、補助車輪です。
自転車に乗れないお子さまが乗る自転車に付いている補助輪のように、
10インチゲージの線路の少し上(2〜3ミリ上)に踏面があり、通常は浮いていて、車体が傾いたときに線路に接触して、
それ以上に傾くのを防止します。
運客列車の最後尾に、運営スタッフの方が乗っています(←)。
機関士/運転士は、お客さまの前に乗るのが良いのか、お客さまの後ろに乗るのが良いのか、
どちらが良いのでしょうか?。蒸気機関車の場合は、
運転操作上、通常、お客さまの前になります。
画像は、令和6年11月24日(日) つくで高原模型鉄道倶楽部 定例運転会において、運客走行中のOS製コッペルです。
名鉄7000系パノラマカーの運客列車です。
運転士さん(←)は、
最後尾で運転操作しています(令和7年3月23日(日) つくで高原模型鉄道倶楽部 定例運転会において、撮影)。
お客さまの前で運転操作する場合の利点は、前方の安全確認がしやすいことで、
線路上に障害物があることや前方列車が停車していることに気づきやすいことです。
欠点は、お客さまの動きが見えないことです。
たとえ、お子さまが足を降ろしていても、分からない/気づかないことです。
他方、お客さまの後ろで運転操作する場合の利点は、お客さまの動きが見えることです。
身体を動かしたり、手を横に伸ばして線路周辺の物体に触ろうとしたり、
足を降ろしたりされた場合、気づきやすいことです。
欠点は、前方の安全確認がしにくいこと、
前方線路に障害物が落ちていても、気づきにくいこと、
駅に停車中の前方列車との距離が分かりにくく、追突する事例もあります。
一長一短であり、最も良いのは、お客さまの前と後ろの計2名、乗車することだと思います。
機関士/運転士(↓)は、運転操作と前方の安全確認を担い、
最後尾の運営スタッフ(←)は、お客さまの動作確認することです。
この運客方法は、安全性が高いと言えると思います。
参考文献(敬称略)
とれいん No.115 1984年7月号.株式会社エリエイ 出版部,1984.
(その4へ戻ります) (その6に続きます)
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