1. ベートーヴェン勝手解説大全集 >
  2.  
  3. メニュー >
  4.  
  5. 交響曲第7番第2楽章

ベートーヴェンの交響曲第7番
第2楽章


何気ない動きの冒頭の主題からむのは、すばらしい対旋律。中間部で少々おだやかにさせた後のフガートの部分は、聴き所。

1.コントラバスが面白い
 第2楽章はどうしても旋律に注目してしまう。しかし、ここもリズム、特に低音弦のリズムを聴いてほしいものだ。最初はコントラバス(とチェロの半分)は、旋律の和声をになっているが、2回めの旋律からは、リズムを受け持つ。b.27(譜例5)からは、おどけたような面白いリズムだ。b.51からは、重心が低いどっしりした基礎を作っている。どっしりしているので、上の方に行ってしまった旋律との間が開きすぎてしまう。そのため、ビオラとチェロ(半分)が別の伴奏をしている。b.75からは3連符になる。
 主旋律のリズムを聴け、というような解説が多いが、コントラバスの伴奏も非常に面白い。この伴奏も立派なリズムである。そのように聴き続けていると、次のクラリネットの旋律でも、コントラバスの動きに十分注意して聴くことができ、工夫に感心できる。
 なお、この冒頭からの変奏は交響曲第9番第4楽章のあの旋律の出現の手法と同じだ。とにかく、主旋律に隠れた楽器もじつにいい動きをしている典型例である。

2.クラリネットが面白い
 第1楽章ではあまり目立たないクラリネットであるが、ゆっくりとした楽章になると、いい旋律(b.101〜)を任せてもらえる。これは第2、第4、第9交響曲でも同様であった。その独特の音色を響かせてみたかったのであろうか。演奏者は、どこで息継ぎをすればいいのか、と悩むであろうが、ベートーヴェン自身はそんなことなんて考えもしない(笑)。困難な息継ぎということでは、交響曲第3番の第4楽章でのフルートの長いソロなどがある。
 この中間部は、その前の旋律とは全く正反対の、豊かな、ひろがりのある音色だから、大変いい気持ちにさせてくれる。

3.ここはバイオリンが左右の両翼に展開しないと意味なし
 b.183(譜例6)からはフガートだ。細かな動きと旋律が、第1第2バイオリンに交互に現れる。そのために、実際の演奏や録音では、バイオリンが左右に分かれていないと、聴いている人には何に意味があるのか、さっぱりわからない始末となる。これは第4楽章のコーダでも同様だ。現代の人がこういうことをどこまで注意して聴いているかわからない。しかしこの曲が作られた当時の聴衆は耳が肥えていたし、フガート、フーガのような楽器間の旋律の受け渡しなどというものは音楽の基礎中の基礎であったはずだから、バイオリンが左右に分かれていることから当然のように発生した作曲方法であったのだろう。
 なお、このあたりでは4小節単位で動いていたものが、b.199,200,201では、3小節という半端な長さであるにもかかわらず、面白い動きをして展開しその次からは2小節単位の動きになる。じつに興味深い。

4.意味もなく面白い
 どこの解説にもある話であるが、最初の管楽器の和音と最後の和音は、全く同じものだ。そのため、誰かギャグで、冒頭に戻って演奏してくれないかな、と思ってみたりする。



トップに戻る メニューに戻る