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  5. 交響曲第7番第3楽章

ベートーヴェンの交響曲第7番
第3楽章


1.ベトちゃんの、そっとやってみよう
 第3楽章では、これまで以上に強弱の対比が重要になる(b.2とb.3譜例1、b.28、b.32,とb.33等譜例2,3)。b.32とb.33の差が激しく演奏されると面白いが、なかなか良い演奏に出会わない。しかし、それよりももっと面白い部分がある。それはb.260からの部分だ。
 説明の前にこの楽章のおさらいをすると、形式はA−B−A−B−Aのロンド・スケルツォ。中央のAは最初と同じなのか、と思われるが、じつは強弱関係の変更という手段で変化をつけている。中央のAでは、もともとfやffであったところが期待に反してpやppとなっており、面白い効果をあげる。この手法は弦楽4重奏曲第10番「ハープ」の第3楽章でも使っている。

2.ベトちゃんの、ドーンとやってみよう
 この楽章の聴き所は、やはり中間部Bのトランペットとティンパニ(b.207)であろう。第1楽章から始まって今の今まで、あまり目立った動きをさせてもらえなかったトランペットであるが、ここで鳴らなかったら、どこで鳴らせというのであろう。ここは一発、fffの気分で、吹きまくっていただきたいものだ。逆に、ここがあるために、この中間部Bはあまり早くしてしまうと効果半減なのかもしれない。実際のところ速度はあまり遅くしないでほしいが、ここで高らかに鳴ってほしいための適切な速度も考慮しないといけないので、難しいところだ。
 ちなみに、この部分の後ろでトランペットが階段を降りるように下がっていくとホルンが後を続ける部分(b.221)があるが、ここは、楽器の違いがわからないように音色を注意させて鳴らせると面白い。

3.ベトちゃんの、なんでそうなるの
 拍子がずれる、面白いところをお話ししよう。それは、たとえばb.63だ。ここでオーボエ等が主題を演奏するが、そこまでに至る小節の関係を説明すると、b.45-48の4小節、b.49-52、b.53-56、b.57-60、というように4小節単位で連続していることになる。ここからb.61-64で4小節単位で続くはずのところ、管楽器が割り込んできて、b.64-65の2小節で拍子の一発変換!があって、b.66-69からは4小節単位に強引にずらしてしまうのである。
 もともとこのスケルツォの主題は、楽章冒頭にもあるように、2+4+4という小節数の構成による、ちょっとずれたような主題だ。もともと、有無を言わせぬ流れを導く変な能力を持っているのかもしれない。
 ずれているということでは、b.101、b.106のティンパニとトランペットのように、他の楽器とはおかまいなしに鳴らしているものもある。諧謔性というものがうまく出ている場面であろうか。

4.ベトちゃんの、裏番組をぶっとばせ
 昔、コント55号の坂上二郎サンが、ゲストの女性歌手などと野球拳をして、負けた方が身につけたものを1つずつ取ってオークションにかけるという番組があった。二郎サンはジャンケンが強いので、たまに、女性の方が全部脱いでしまった(つまり、下着までオークションにかかった)ということがあった(ヤラセと思うが)。私は小学生であったため、あまりコーフンしていなかったのが残念だ。本題との関連は無いが、一応書かないと上の4つのタイトルの意味がわからんのじゃないか、と思って書いているのだ。納得していただけただろうか。全部知っている人は40代後半以上の年齢である。
 さて、この楽章で非常に気になるのが、管楽器で裏に回っているクラリネットだ。冒頭や、b.126、b.141、同じことでは第1楽章のb.101以降もそうであるが、他の木管楽器、フルートやオーボエ、ファゴットとは別の動きをしている。音の性質なのか楽器の性能なのか、何かの理由で違う動きをしているのだろうか。特に意味はないが、ベートーヴェンの管弦楽法では、時折気になる使い方だ。誰かの教えを請いたい。



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