1. ベートーヴェン勝手解説大全集 >
  2.  
  3. メニュー >
  4.  
  5. 交響曲第9番の書籍

ベートーヴェンの「第9」書籍のご紹介


 「第9」に限らず、ベートーヴェン関連の書籍は、ドイツやフランスで数千にもおよぶそうです。その中で、日本で出版される著作が、いかに少ないことか。需要と供給の関係によるのですが、寂しい限りではあります。
 ここでは、日本で出版された「第9」関連書籍を紹介いたします。これは、私が所有するもののみです。興味のある人は、音楽に強い書店へ行こう!

A:初心者向け
B:中級者向け
C:上級者向け
:推薦

1.ロマン・ロラン 「第9交響曲」 みすず書房 (B)

 ベートーヴェンをモデルにしたといわれる「ジャン・クリストフ」(読んだことない)で有名なロランの著作で、ベートーヴェン・ファンの大先輩といってもよいでしょう。ベートーヴェンネタで大著作をモノにするくらいなのですから、大したものです。
 「第9交響曲」は、19世紀特有のロマン派解釈をたくさん盛り込んだ、作家らしい解説ですから、感情過多といえなくもありません。ロマン派音楽の時代に、作家が解説を書くとこうなる、という良い例です。ですが、しょせんはフランス人、「第9」はドイツ音楽圏の作品であるために、奥深いところまで見切っているかどうかは別問題です。

2.
小松雄一郎 「ベートーヴェン 第9 フランス大革命を生きる」 築地書館 (B)

 第9の理念と旋律の変遷を紹介するこの本は、スケッチや他作品、会話帳までも引用して、かなり読み応えがあります。シラーの詩と、ベートーヴェンの出会いから始まり、片手間では読めない重厚な内容になっています。「第9」がなぜ人の心を揺さぶるのか、考えるきっかけにはなりますが、ただし政治的な部分は完全に無視して読む必要があるので、そうすると内容は3分の1程度になります(笑)。著者が政治思想的に偏っているからです。ノンポリさんは、はなっからそういう記述は無視してお読みください。

3.武川寛海 「第9のすべて」 日本放送出版協会 (A〜B)

 この著者は、かつてゴダイゴで有名だったタケカワユキヒデのオヤジさんなのである。
 さて、この本である。この本は、前半が「第9」の誕生ということで、他著作とは要点で大差はないのである。がしかし、後半に「第9の演奏の変遷」が解説されており、珍しい内容になっているのである。
 ただ残念なことがある。この人の文章の書き方は、非常にくどいのである。読者にとっては、たいへんに読みづらいものになっているのである。いわんやおやである。
 とまあ、このような書き方のクセがあるのである。読みたくない文章なのである。

4.「第9のすべて(音楽の友別冊)」 音楽之友社 (絶版でしょう) (B)

 オムニバス形式で、各種記事がまとめられています。この中で面白い記事は、「シラーの詩の歌詞対訳を比較する」というものです。1986年の出版。「第9」の全ての録音に関する紹介などがあり、初心者にも興味を惹かれるものが多いものになっています。裏表紙には、山本直純氏出演の指揮者講座のVTR広告がついています。

5.小林幹太郎 「歓喜(よろこび)のうた 第9のはなし」 鷹書房 (A)

 初心者向けです。第9に少々重きを置いての伝記になっています。

6.「別冊太陽 ベートーヴェン交響曲第9番合唱付」 平凡社 (絶版でしょう) (B)

 雑誌「太陽」の別冊。この本の目玉は、1826年ショット社版の初版スコアであり、「第4楽章」を全て収録していることです。この本のほとんどは対談形式で進められる楽曲解説であり、基本をおさえるとともにマニアックな人も満足させられるものです。

7.
金子建志 「こだわり派のための名曲徹底分析 ベートーヴェンの第9」 音楽の友社 (C)

 ハイレベルの解説書です。詳しく読もうとするなら、スコアを傍らに置かないと読めない、大変な本です。ここまで書かれると、読みこなすのが大変です。現在出版されているスコアの問題点を洗い出し、今後の演奏や出版における問題点を提起しています。昨今、原典版で演奏する風潮が出てきましたが、これを片手(?)に聴きましょう。
 なお、これの増補追加として、「こだわり派のための名曲徹底分析 交響曲の名曲・1」があり、前半は「未完成」交響曲で、後半が「第9」になっています。

8.ワインガルトナー 「ある指揮者の提言」 音楽之友社 (絶版でしょう) (B)

 指揮者による指揮者のための、全9交響曲の解釈を示唆する本です。ここに書かれてあることの全てが正しいとは決して申しませんが、いわゆる19世紀巨匠時代の人から、ベーム、カラヤンあたりに至るまで、彼らがどのような楽譜解釈ならびに楽譜の修正を行なって演奏してきたかを知ることができる本です。今でも読む価値がある本でしょう。

9.
諸井誠 「名曲の条件」 中公新書 (A〜B)

 チャイコフスキー、ブルックナー、ショパン、ワーグナーなどの名曲が、なぜ名曲たりうるかの非常に面白い解説本です。この中に、「第9」第4楽章の「形式のコンプレックス」についての解説があり、一読に値するものです。単なる読み物としても、お薦めできます。

10.
諸井誠 「音楽の聴きどころ 交響曲」 音楽之友社 (A〜B)

 「5つの第9交響曲」「フルトヴェングラーの第5演奏比較」「大地の歌」という3章からなる解説本です。作曲家志望の架空の女子大生を相手とした対話形式で、非常にわかりやすく書かれているものです。ここでは最初の章で、「第9」全楽章の構造が簡明に説かれています。ここで出てくるような女子大生に会ってみたいものです。



トップに戻る メニューに戻る