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  5. 雪の降る夜は楽しい音楽

大権現様の、わしの音楽を聴け! 第26回
「雪の降る夜は楽しい音楽」


(大権現様)このあいだ歩いていたら、とある音楽が横断歩道で聞こえてきたのだ。こんなふうに。
 「ゆきの降る夜(よ)は、たのしいペチカ〜♪」(歌ってみてください)
(なかさん)ううむ、冬ですね。それはともかくペチカなんて、今じゃ知らない人多いんじゃないでしょうかね。とかいう私も、ペチカがある家に住んでいたわけじゃないんですが。
(大)で、街中でそんな音楽が聞こえてきたことに、わしは耳を疑ったわけだ。
(な)そんな耳をして、何を今さら。
(大)しかし、よく聴いてみるとだな、
 「おうまのおやこは、なかよしこよし〜♪」
 だったというわけだ、わっはっは、こりゃまいったね。わしの耳もどうかしてるな。
(な)もともとどうかしてる耳だったはずなんですけどね。
(大)じつは横断歩道での、渡っていいぞという案内だったわけだってことで、ツカみはOKだったかな。
(な)それはそうと、似ているシリーズ言いますか何といいますか、そういうネタを最近見つけてきました。
(大)かなり以前に、ここで話題にしたな。交響曲第5番の兄弟たち、ということで、いろいろな曲から探し出してきたわけだが。
(な)そして、また使いまわしを発見したということです。今回発見したのはコレです(譜例@、以後矢印の音に注目)。
(大)ハ短調のピアノ協奏曲の冒頭だ。
(な)それがなんと、これと同じだったという。(譜例A)
(大)ピアノソナタ第6番ヘ長調の最終楽章だ。
(な)これまで何気なく聴いていたのですが、突然発見したわけです。どちらも、ド、ミ、ソというように上がり、ファミレド、と下っていきます。調は違いますが、結局同じことですね。調べてみると、この2曲は作り始めたのがどちらも1798年頃ですから、同じ音型でまたやっちゃった、ということで結論づけていいんでしょうか。
(大)いかにも! 矢印のように音を拾うと、全く同じものであることがわかる。ピアノソナタのほうは、装飾がいっぱいあるから気付かないと思っていたが、バレてしまったか。
(な)これについては、さすがに気付くのが遅かったですよ。もう20年以上前から聴いていたのに。@は陰気に始まるし、Aはすこぶる陽気で走り回るし。全く違う音楽ですからね。
(大)曲が充実しているから、そんなことに気付く間もなかったということだな。
(な)それで、この音型でちょっと探してみたら、まだありますね! なんと、交響曲「英雄」の葬送行進曲の中間部にありました(譜例B)
(大)つまり主和音(ハ長調なら、ド、ミ、ソ)にあたるわけだから、いたるところに出てきても、全くおかしくないわけだ。そしてハ短調でドミソと出てきたら、フラットがついているから暗い雰囲気を作りやすいし、長調なら明るい雰囲気なんてお手のもの。しかし、この音型はファミレド、と下っていくところがミソなわけだ。@ABとも下っているな。
(な)ということで、今思い出しましたよ、大御所を(譜例C)。ずばり交響曲第5番最終楽章の冒頭ですね。ここまで高らかに演奏されると、どれほど使いまわしても全くもって恐いものなしですね。
(大)ところで、最後に葬送行進曲があるが、どうしたわけだね?
(な)いや、これも仲間じゃないかと思ったのです。
(大)ううん、この旋律は最初のソが重要だから、そこまでしてほじくり出すのは、どうかとも思うな。過ぎたるはナンとか、というやつだ。



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(2008.3)



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