交響曲第5番セレクション
ちょいと何か聴いてみようかなぁと思うとき、交響曲第5番として手が伸びそうなものを選んでみた。世間様が名演奏だと騒ぐかどうかは全く考慮しないで並べてある。ただしステレオ録音、しかもライブ限定だ。
1.クレンペラー、ウィーン・フィル 1968/5/25 ウィーン/ライブ
シューベルトの「未完成」付
EMIから出ているフィルハーモニア管弦楽団との演奏に似ているが、ライブなので雰囲気が好きなのである。ウィーン・フィルだしね。
2.セル、ウィーン・フィル 1969/8/24 ザルツブルグ/ライブ
エグモント序曲と、ギレリスによるピアノ協奏曲第3番付
録音があまり鮮明でないが、エネルギー感は十分に録れている。「セルは音楽性のかけらも無い」と一部の団員が言ったというウィーン・フィルが、一応自身のプライドにかけて演奏したってことなのだろうか。一晩の演奏会を全て入れてあるという点も価値あり。
3.ベーム、ウィーン・フィル 1977/3/2 東京/ライブ
「田園」レオノーレ3番付、2枚組
誰かが「第5はイマイチ」と書いたままのライナーが封入されているが、それはあいつの感覚のみが為せることだ。この文章に引きずられている人は、自分は騙されやすいのかもと反省すべき。私は、かなり良い演奏だったと思う。これも一晩の演奏会。NHKは、これらのような良質の演奏家の録音を掃いて捨てるほど持っているはずだ。とっとと全部さらけ出せ。
4.秋山和慶、中部フィルハーモニー交響楽団 2006/12/6 犬山/ライブ
ドボルザーク「新世界」付
こういう地方の演奏団体の場合、どこにでもある普通の解釈になる(はず)と推測してみる。まさにその通り。生々しく聞こえるのは、編集であまりいじっていないせいか。したがって、妙な書き方かもしれないが安心して聴ける。これも演奏会1回分。ここで買えるそうだ。ローカルすぎたのか、意外と安い。気になって他の管弦楽団のをちょっと調べたら、ワンランク上の楽団では2000円以上するものが多かった。国内の全オーケストラは、このように録音を全部購入できるようにすべきだ。
5.カラヤン、ベルリン・フィル 1977/11/16 東京/ライブ
「田園」付
これも演奏会1回分である。こんなすごい演奏をするなら、カラヤンが演奏会そのものをそのままCDにしたら凄く売れたはずだよね、と思う1枚。だけどカラヤンは録音用のセッションばかり。CD買ったら次は本当の演奏会を聴きに来い!と実は言いたかったのだろうな、と思う。グールドが演奏会から手を引いたのとは違って、カラヤンは演奏会こそ本番と思っていたはずである。やはり演奏会を開く演奏家の音楽的実力は演奏会の演奏で評価すべきだろう。
そういう意味でカラヤンはLP、CDは「缶詰商品」であるとしっかり認識していたと思う。そうなると、協奏曲なんかではカラヤンの考え方を浸透させやすい子飼いのソリストがやりやすいってことになるのかな。
6.マゼール、ウィーン・フィル 1980/11/5 名古屋/ライブ
「未完成」付。レオノーレ3番付もある(写真のCD)。
我が地元、名古屋におけるライブ収録。記憶に間違いが無ければ、初回発売時に「フライング・ブラヴォーが酷い」と、名演奏にもかかわらず悪い評判になったいわく付きの録音だ。そういう評判だったので私は買わなかったのである。しかし最近の盤は修正されている。最近買った私の持っている1988年編集盤(写真のものではない)では修正されているように聞こえる(最後の音が鳴り終わった直後にカチッというノイズがあるが、あれは何?)。フライング・ブラヴォーは営業妨害で、訴訟相当のモノであると認識しておきたい。
7.シェルヘン、ルガノ放送管弦楽団 1965/2/26 ルガノ/ライブ
このCDは「田園」付
妙に長い休符のフェルマータ、音が弱くなるところで速度まで落とす指示があったのかおっかなびっくりで吹く木管楽器、叫び声で気合を入れた強烈なff、よくズレる縦の線。「ちゃんと練習したんか?」と言いたくなる荒れた迷演奏だが、おそらく誰もが一度やってみたくなるカッコいい名演奏でもある。放送局のクセに録音が悪い。
8.ショルティ、ウィーン・フィル 1990/5/5,6 ウィーン/ライブ
ショスタコービチ交響曲第9番付
面白いかなぁと思って買ったら、ショスタコービチのほうが面白かったでござる。第5番ということでは、ショルティはシカゴ交響楽団との(旧)録音のほうが良いと思うし、ウィーン・フィルは他の指揮者で良いのが多い(上の1,2,3,6など)。ただ、ライブだから買っただけ。たしかに第5番は良い演奏かなと思うが、ショスタコービチに隠れてしまう。
他にも何種類かライブ録音を持っているが、印象が薄いのでネタにならず、このあたりで打ち止めにしたいと思う。
(2014.10.13)