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  5. 交響曲第9番第1楽章の速度

補足「交響曲第9番第1楽章の速度」


どんな速度にしたかった?

 ベートーヴェンの、特に交響曲における速度にはメトロノームによる指定があるのは広く知られているが、これが間違っているのではないかという指摘が多くて混乱しているのも周知のこと。たとえば、交響曲第9番の第1楽章の自筆原稿には、冒頭の右上に「108か120、メルツェル」と読めるメモがある。メトロノームの指定(つまり四分音符が108か120)ということになっているが、これでは速すぎる。ちなみに、第2楽章以降には速度の書き込みが1箇所しか無い。
sym9-1-man.jpg (165179 バイト)

下例のショット社の初版(1826年)では、メトロノームの指定は無い。

 この初版の直後に、四分音符=88を指定したそうである。したがって、sym9-1-sh.jpg (47360 バイト)
 現代の印刷譜では下のようになる。この速度で演奏すると13分弱になるが、これでも速すぎると思う。だから皆困っているのだ。というより、世の指揮者たちは自分の思うところの速度で演奏するしかないのだ。ちなみに、現代で容易に聴けるかなり速い演奏では、トスカニーニの指揮による13分30秒という録音が残されている。自分としてはこれが限界だろうと思う。

sym9-1-bh.jpg (96635 バイト)


(2011/8/20)



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