CDレビュー(4)
大権現様とともに、CDのうんちくを、たれまくろう。
(1)4天王。
(な)とにかく超豪華です。バイオリンがオイストラフ、チェロがロストロポービチ、ピアノがリヒテル、指揮はカラヤン、管弦楽がベルリン・フィルの、3重協奏曲。
(大)こんな顔ぶれでは、予算がたてられず演奏会はできんぞ。
(な)グラモフォンは、してやられた、という感じでしたね(最初は、日本では新世界レコードというレーベルの発売だったはず)。この企画はすごい。4人の名前だけで売れそう。
(大)しかも演奏がすばらしい。この録音でこの協奏曲はメジャーになったのがありがたい。
(な)雰囲気としては、ピアノ協奏曲の第3,4,5番を混ぜて3で割ったようなものです。しかも今は廃盤のこのCD、リヒテルの名演「テンペスト」付きです。
(大)リヒテル最高! 「皇帝」を録音してくれなかったのは、どういうことだ?
(2)効率的なお仕事
(な)これ、ごく普通の演奏です。セル指揮/ウィーン・フィルのエグモント全曲。
(大)どこが面白い?
(な)序曲の「コーダ」と、この劇音楽の最後、つまり「勝利の交響曲」は、同じものですよね。
(大)そうだ。この2つは始まりの部分が若干違っているのみだ。あとは同じ。
(な)そこでこの録音。これは同じ演奏をどちらにも使っているのです。
(大)ナニ、それはサボりではないか。どうしてわかった?
(な)セルが同じところで同じように唸っているんですよ。
(大)黙ってりゃ、わからなかったのに。
(3)マニアなお仕事
(な)優秀録音で有名な、ASTREE(アストレー)の、ピアノソナタです。全曲ありますが、これは最後の3つのソナタ。パドゥラ=スコダのピアノ。当時のコンラート・グラーフ(1824)を使用しています。
(大)わしも使ったことがある。
(な)いい音してるんだ、この録音は。すばらしい。こういう楽器に慣れたスコダが演奏しているのもよい。
(大)わしは耳をピアノにあてて聴いたものだが、この録音はすぐ近くで鳴っているように聞こえる。
(な)この頃の楽器になるとかなり現代のピアノに近いですね。
(大)何気なく聴いてしまうと、違いがわからんだろう?
(な)それはあんたの耳だけですよ。
(4)甘いお仕事
(な)7重奏曲は、やはりコレが一番でしょう。ウェストミンスターによるモノラル録音です。最近はどこで発売してるのでしょう。オマケに6重奏曲が入ってます。
(大)発売権があちこち移っている、不遇なレーベルだ。
(な)ウラッハのクラリネットが甘くていい響きなのです。エールベルガーのファゴットもいい。バリリ4重奏団もいまして、ウィーンの古いのどかな響きになります。
(大)古く聞こえるのは録音が古いからだろう? それにしても、こうもうまく演奏されるとこの曲も捨てたものではないな。
(な)1954年録音ですが、これを超えるものはまだありません。
(大)名手を7人揃えるのが面倒臭いからだけなのであろう。
(5)若いって、すばらしい。
(な)千住真理子、諏訪内晶子、可愛いバイオリニストの双璧でした。
(大)でした、ってのは、どういうことだ?
(な)最近はすっかり化粧が濃くなってしまいました。
(大)ムターも、そうか?
(な)ヨーロッパ人種だからなのかは知りませんが、そうです。ムターは、すっかりオバさんになってしまいました。
(大)初々しさが消えるのは、つまらんな。
(な)今年(2002年)、バイオリン協奏曲を再度録音しました。お金が無いので買えません。
(大)昼飯食わずに、とりあえず買う努力をすること。
(な)こちらの古い録音はどうですか。カラヤン指揮、ムターのバイオリン、ベルリン・フィルです(
GRAMOPHON ,
最近、国内盤で再発)
(大)若い女性は許可。若いということは、よろしい。オバサンになったということは普通の演奏になったということだな。そういうことなら、オイストラフやスターンなどを聴けばよい。
(2002.10.16)