CDレビュー(7)
今回は、弱小レーベルのCD特集だ。1990年前後はCDが安定供給され始めて、弱小レーベルがかなり増えたような気がする。逆に、2000年を過ぎると底冷えの時代で、そういった体力の無いレーベルが消えたのか、それとも業者が輸入してくれないのか、あまり見かけなくなった。たぶん生き残っていると思うが、吸収合併などで名前が変わっているかもしれない。
(1)無名の廉価盤
推定1990年代録音 MASTERS
RECORDS
弦楽四重奏曲第13番、大フーガ、弦楽五重奏のフーガ、プロメテウスの創造物序曲
ケッカート四重奏団、エンドレス五重奏団、レーデル指揮、ロンドン・フェスティバル管弦楽団
(な)テキトーに寄せ集めたCDで、1枚1000円ちょっとで売ってました。
(大)なぜに室内楽の余白に序曲なんじゃ?
(な)他に弦楽三重奏曲や七重奏曲などを買いましたが、もともとは室内楽のシリーズだったようです。
(大)どこの馬の骨やらわからん演奏家だな。エンドレス五重奏団なんて録音のための即席だろうな。そんな編成で常設なわけない。
(な)それでも普通に演奏してますから、普通に聴けます。
(2)雨後のタケノコのように古楽器レーベル
1986年録音 AMON RA
クラシカル・ウィンズ(オリジナル楽器)
八重奏曲 Op.103、六重奏曲
Op.71
(な)1980年代に古楽器のブームがあって、数多くの新興レーベルがそれに手を出したような気がします。このAMON
RA(アモン・ラ)は、LPからCDへの丁度移行期のものです。3枚ほど買いましたが、フォルテピアノの演奏とかバイオリンソナタとか、やはり古楽器でした。
(大)古けりゃいいってもんじゃないがね。
(な)まあ、可もなく不可もなく、ってとこです。
(大)気張って演奏する曲じゃない。しょせんはBGMですからな、そんなもんであろう。
(3)はっきり言って日陰でひっそりと。
2000年録音 EUTERP (Accordの系列)
Alexander Paley
ピアノ
リスト編曲 アデライーデ、七重奏曲
(な)リストの編曲版です。
(大)なんと、七重奏曲も編曲していたのか、あいつは。
(な)さすがに交響曲を編曲したわけではないので、無理なく演奏できるようです。
(大)しかし、つまらん演奏だな。何が悪いのだろう。おっと、曲が悪いなんて言うなよ。
(な)管楽器の色彩感が消えるので、モノクロの音楽になっちゃっているんです。交響曲ほどには刺激が無い音楽ですから、余計に聴いていて見栄えがしない。
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2008年現在も売っている気がするのでジャケットのCD番号をそのまま記すと、
ACCORD 476 1897 - LC
00280
(4)ジャケットが派手
1987年録音 Newport
Classic
アンソニー・ニューマン(fp)、サイモン指揮、フィロムジカ・アンティークヮ・ロンドン(オリジナル楽器)
「皇帝」協奏曲、エグモント序曲
(な)表舞台で古楽器を演奏して一世を風靡したのは1980年代後半で、ホグウッドとかノーリントンとかブリュッヘンがいて、そこにハノーヴァーバンドも加わってましたが、その裏ではこんな演奏もありました。
(大)これが、鮮やかで楽しいんだな。
(な)ジャーマン配置で、しかもピアノが楽譜に無い場面で演奏してくれるのがはっきりわかります。
(大)チェロなどの補強をするのだ。当時の慣習だな。絶対やっちゃいかんとは言わないが、控えめにしてほしいな。
(5)超珍品 歌劇「レオノーレ」第2稿
1998年録音 MDG
Soustrot指揮、Orchester der Beethovenhalle
Bonn(ボン・ベートーヴェンホール管弦楽団)他
歌劇「レオノーレ」第2稿(1806年)
(な)超珍品、第2稿の「レオノーレ」です。一般には第3稿の「フィデリオ」が演奏され、まれに第1稿が資料的価値として演奏されますが、これはさらに貴重な第2稿です。
(大)第3稿がフィデリオ序曲で、第1稿がレオノーレ序曲第2番が演奏されることになっておるが…
(な)これは第2稿なので、レオノーレ序曲第3番が演奏されていることになりますね。ややこしいです。
(大)しかもこのCD、金蒸着盤だ。力が入ってるな。
(な)ケースには「世界初録音」のシールが貼ってあります。さらに、通常の解説書に加えて、冊子には舞台の説明と歌詞が全て3ヶ国語で掲載されていて、台本の体裁になってます。
(大)さすがだな。
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2008年現在も売っていたらいいなと思うのでジャケットのCD番号をそのまま記すと、
MDG 337
0826-2
(2008.9.5)