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  5. 英雄の主題の演奏

単発講座「英雄の主題の演奏」


主題をどう演奏するか。
 Kapellmeisterさん御希望の調査がありましたので、私の所有分における結果を報告します。

リサーチ依頼( Kapellmeister , 若干編集)

「英雄」のフィナーレ、前奏の後、弦のピッツィカートで低音主題が出て来ますが、よく見ると一回目は8分音符、2回目が4分音符になっています(画像参照)。
 以前、此の曲を振った時、オーケストラにその事を言ったら、「難しいけれど、2回目にヴィブラートを強く掛けてみよう」といって試してみたら実に上手く行って皆で喜んだのですが、私の持っている録音を聴く限り、そこにこだわっているものは皆無でした。
 お持ちの録音でそう演奏しているものはありますか。

sym3_4-1.gif (16183 バイト)


結果

 というわけで結果発表。数字は録音年(月、日)、M:モノラル、S:ステレオ、D:デジタル。特に記載が無いのは、1回目、2回目の違いが聞き分けられなかったもの。


ワインガルトナー、VPO    1936 M 2回めをアルコ
トスカニーニ、NBCSO    1938 M
シューリヒト、BPO      1941 M
クナッパーツブッシュ、BPO  194? M
フルトヴェングラー、BPO   1944.12.? M
フルトヴェングラー、VPO   1952 M
トスカニーニ、NBCSO    1953 M
モントゥー、VPO       1957 S
クリュイタンス、BPO     1958 S
ショルティ、VPO       1959 S
クレンペラー、PO       1959 S
コンヴィチュニー、ライプツィヒ・ゲバントハウスO 1959 S
ベーム、BPO         1961 S
レイボビッツ、RPO      1961 S
ミュンシュ、ボストンSO    196? S
カラヤン、BPO        1961,2 S
シェルヘン、ルガノ放送O    1965.2.12 S
岩城宏之、NHKSO      1968 S
クーベリック、BPO      1971 S
ベーム、VPO         1972 S
ショルティ、CSO       1973 S
コレギウム・アウレウム     1976 S
カラヤン、BPO        197? S
バーンスタイン、VPO     1978 S
コンドラシン、ロイヤル・コンセルトヘボウO 1979.3.11 S
ザンテルリンク、フィルハーモニアO 1981 S
マルケヴィッチ、ベルリン放送O 1982 D 2回めをアルコ
カラヤン、BPO        1984 D
アバド、VPO         1985 D
カツァリス (リスト編)(pf)   1985 D
ハノーヴァーバンド (古楽器) 1987 D
ホグウッド、ACO (古楽器) 1987 D
ブリュッヘン、18世紀O(古楽器) 1987 D 2回めをアルコ
ノーリントン、ロンドン・クラシカルプレイヤーズ(古楽器) 1987 D 2回めをアルコ
若杉弘、ドレスデン・シュターツカペレ 1985 D
山田一雄、新星日本交響楽団   1990.7.7 D
ティボリス、ボースラフ・マルティニューPO(マーラー編曲) 1994 D
ジンマン、チューリッヒ・トーンハレO  1998 D


 違いを気にしているのか、1回めを指定通りのピチカートにしながら、2度めは弓で弾くアルコにした演奏が、4種。ワインガルトナー、マルケビッチの積極的改訂派(?)と、ブリュッヘン、ノーリントンの古楽器派でした。その他は、違いが全く無いと言ってよいでしょう。もしかすると違いを気にする指揮者がいるかもしれませんが、結果は、気にしていないのと同じ。
 発売当時は「楽譜に忠実」という触れ込みだった、ショルティ指揮シカゴSO(1973)も、結局違いがわからない演奏でした。違いがわかる男の岩城宏之も、同じだったのです。
 まあ、6秒ほどで過ぎ去るので、気にしない理由もわかります。



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